第3款 振興費  第1項 振興総務費

 

 

 あいち航空ミュージアムについてお尋ねします。

 

 

 

昨年の11月30日のオープンから3か月が経ち、入館者数も10万人を超えたということで、盛況であると伺っております。私も、大変楽しみにしていたところであり、足を運びました。

 

 

 

その中で気づいたのは、率直な言葉でもって表現するならば、大きな工場のような中に飛行機やヘリコプターが配置されてはいるものの、華がない、味気ない展示のように感じます。特に、2階から見る光景です。

 

 

真正面、東側の階下から見ると、展示された飛行機等が見られます。広い東壁面を見ると、左側が「北」、右側が「南」です。ここに、例えば、北斗七星や南十字星が輝くLEDイルミネーションを設置すれば、今の無機的な感性から、少しでもロマンが感じられるのにとの思いをいだきました。

 

 

 

そうした、ロマンを感じさせるような改善が求められると思います。

 

 

 

また、あいち航空ミュージアムには、MU−2、MU−300、零式艦上戦闘機など、三菱重工業の航空機ばかりが展示されており、展示に偏りがあるように感じます。

 

 

日本には、三菱重工業の航空機の歴史以外にも、着目すべき歴史が多くあります。

 

 

例えば、江戸時代中期にライト兄弟より先に空を飛んだとされる鳥人「浮田幸吉」や、明治時代に飛行機の原理を発見し、日本の航空機の父と言われる「二宮忠八」など、世界と比べても先進的であった日本の航空機産業をぜひとも全面的に打ち出していくべきです。

 

 

3月24日に、岐阜県各務原市の「かかみがはら航空宇宙科学博物館」が、岐阜県と各務原市により「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」、愛称「空宙博(そらはく)」として、リニューアルオープンします。

 

 

岐阜県は、平成28年3月議会で補正予算20億1500万円を計上して「かかみがはら航空宇宙科学博物館」を全面大改修、リニューアルしてきました。

 

 

その中で、あいち航空ミュージアムの課題を研究して絶対に負けないとする体制でもって臨んでいます。

 

 

愛知県の展示場とは違うという気合すら感じます。

 

 

展示の建屋も従来の1.7倍に増床して、あいち航空ミュージアムよりも大きくしました。

古田岐阜県知事と浅野各務原市長は、常に一体連携して、スミソニアン航空宇宙博物館(米国スミソニアン協会)やNASA(米国航空宇宙局)とも連携協定を結ぶとともに、日本国内では、JAXA(宇宙航空研究開発機構)とも連携協定を締結し、常に一緒になって出向き行動しています。

 

 

あいち航空ミュージアムは、期限付きで、零戦を三菱重工業に借りていますが、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館では、実物大の零戦の模型を始め、実物の三式戦闘機「飛燕(ひえん)」、また、実物大の複葉機、翼が上下にある飛行機の模型を展示して、飛行機の発展の歴史を学ばせています。

 

 

さらに、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館の目玉でもある宇宙開発の歩み、歴史を学べる展示を強調しています。

 

 

岐阜県、各務原市は、「自分たちの岐阜かかみがはら航空宇宙博物館には、単に航空機だけではなく、宇宙に関する展示、学習を学ぶ」という点を強調しています。

 

 

ロケットエンジン(H−UロケットのメインエンジンLE−7)を展示、ロケットが運ぶ衛星を守る「フェアリング」をシンボル展示。さらに、今もこの広大な宇宙には各国が協調して宇宙基地があり、人類共通の願いでもある「きぼう」があります。

 

 

 

日本人の宇宙飛行士がロケットに乗り込んで活躍することが報道され、今や、子どもや学生にとって宇宙は大きな憧れ、夢です。

 

その夢の展示が「はやぶさ2」で、宇宙に浮かぶ宇宙ステーション「きぼう」の模型の展示です。特に、「きぼう」の内部をそっくり実現した展示は、いったいどんなものなのだろうと、公開を今か今かと待っています。

 

 

この岐阜かかみがはら航空宇宙博物館とあいち航空ミュージアムを比較すると、展示面積でも展示機体の数でも規模が小さく、また、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館では航空・宇宙の両分野にまたがった博物館であるのに対し、こちらは航空だけであるなど、施設、展示、学びのスケールなどの面において遅れをとっていて、多くのお客様を奪われてしまうのではないかと危惧しております。少なくとも、この愛知には、宇宙関連産業も数多く立地していて、また、若い人たちに宇宙への夢を持たせていくということは、人材育成の点からとても大事なことだと思います。

 

 

 

(1) あいち航空ミュージアムを拡張し、宇宙分野を取り扱うべきではないでしょうか。(答弁を求めます。)

 

 

 

年間来場者目標数について、あいち航空ミュージアムは初年度65万人、平時は35万人としていますが、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館は、オープン以降50万人を目指しております。

 

岐阜かかみがはら航空宇宙博物館が、2年目以降も高い目標を掲げているのに対し、あいち航空ミュージアムは2年目以降が初年度の半分程度であり、及び腰ではないかと考えます。

 

 

そうした中で、愛知県と岐阜県、各務原市の予算規模を比較すると、岐阜県・各務原市の合計の予算規模よりも、当然、愛知県の予算規模の方が大きいわけですが、こと平成30年度のミュージアムに関連する経費については、予算項目として単独で計上されておらず、予算上は、ミュージアムの充実に向けどう取り組んでいくのか意欲が感じられません。

 

 

展示実機の数や、スケールで負けている状況ならば、わくわくする効果的な展示の充実などに、知恵を絞っていかなければ、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館にお客様を取られる一方で、あいち航空ミュージアムへの来場者が、どんどん減っていくのではないのでしょうか。

 

 

また、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館は、展示の詳細をインターネット動画として配信するなど、全力で広報を行っております。また、3月24日のオープンから7日間、米国から「月の石」、ロシアから「月の砂」を展示するという見事な企画も相まって、日本中のテレビ、新聞も含めた広報によって華々しくスタートします。

 

 

未だに我があいち航空ミュージアムは、広報の動画の配信も行っていないことを考えると、これでいいのかと思います。岐阜かかみがはら航空宇宙博物館のオープンをただ見守っているのではなく、インターネット動画の広報も含め、戦略的にPRを行っていくべきだと考えます。

 

 

 

(2) 今後、ミュージアムの利用者を増加させていくためには、何らかの対策が必要と思うが、何か考えはあるのでしょうか。答弁を求めます。

 

 

 

また、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館の入館料は、中学生以下無料としています。私はこれまでも、あいち航空ミュージアムの入館料は、中学生以下無料とすべきだと主張してまいりました。しかしながら、あいち航空ミュージアムの入館料は、小中学生は500円、学校利用でも300円です。

 

 

このままでは小中学生の入館者が、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館に取られてしまうのではないかと思います。これからの航空機産業を担っていく小中学生に対して、お金を取る必要があるのでしょうか。

 

 

岐阜かかみがはら航空宇宙博物館とセット料金を設定するのであれば、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館と同じ料金体系にすべきだと思います。

 

 

さらに、三菱重工業のMRJミュージアムについても、学校利用は無料だと聞いています。学校の社会見学で来て、お金を取るのはあいち航空ミュージアムだけです。このままでは、MRJミュージアムと岐阜かかみがはら航空宇宙博物館をセットで見学し、あいち航空ミュージアムには行かないというツアーができてもおかしくありません。

 

 

 

(3) 私は、少なくとも全国からの修学旅行や社会見学などの小中学生の学校利用については、無料とするべきだと思います。(答弁を求めます。)

 

 

 

あいち航空ミュージアムには、高校生の学校利用の料金がありません。私は、このミュージアムが、社会科見学や修学旅行の受入先として、ものづくりの愛知の魅力を伝えるという大きな役割が期待できると感じておりますが、高校生が有料で、団体利用の料金しか適用されない状況では、高校の修学旅行では使われなくなることでしょう。修学旅行生は、MRJ量産工場の見学コースにのみ訪れ、あいち航空ミュージアムを横目に帰っていくこととなると思います。

 

 

また、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館の休館は月1回、第1火曜日、あいち航空ミュージアムは月4回、毎週火曜日です。駐車料金は、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館は無料、あいち航空ミュージアムは、初めの1時間こそ無料ですが、それ以降は1時間ごとに200円の駐車料金が発生すると伺いました。

 

 

これでは、修学旅行などの学校利用で来た時に、来場者を早く帰らせるよう、急かしているように見えます。落ち着いて見学してもらえなければ、足早に館内を一周しただけで、細かい展示内容を見てもらうことができません。

 

 

私は、このミュージアムのコンセプトである「人材育成」の中心となる小中学生はもとより、高校生など学校利用がどれだけ伸びるかが鍵になると思います。学生の皆さんに多くの知識、体験を持ち帰ってもらうことこそ、この地域から人材が輩出する礎となるのではないでしょうか。

 

 

あいち航空ミュージアムは、大村知事自身でアメリカ、シアトル航空博物館に赴いたことが縁となって、あいち航空ミュージアムと、世界有数の規模を誇り、人材育成にも取り組んでいるシアトル航空博物館とが協力協定を結びました。結んだからには、シアトル航空博物館が持つ様々なノウハウを活用していかなければ意味がないと思います。

 

 

あいち航空ミュージアムのコンセプトの一つである「次代の航空機産業を担う人材育成の推進」を達成するためには、このような協力協定を活用しながら、一人でも多くの子どもたちをミュージアムに呼び込み、航空機産業の素晴らしさを伝える必要があります。

 

 

 

(4)多くの学校にミュージアムを訪れていただくために、今後どのような取組をしていくのでしょうか。(答弁を求めます。)