平成21年11月 健康福祉委員会
12月7日
発達障害の診断について
(質問)筒井タカヤ
発達障害に関連して質問します。
平成17年4月に発達障害支援法が施行され、発達障害の定義がされました。
発達障害については、一般的には乳幼児から学童期に現れると言われております。市町村が実施している1歳6か月検診や3歳児検診において「言葉の遅れ」「多動」「対人関係の未熟」など、様々な成長の遅れがある乳幼児が発見されますが、実際の検診場面において、特に知的な発達の遅れがない場合には、発見しにくいこともあります。
小学校入学時に、他の子にはない多動など様々な行動が見えてくる子に対しては、教育現場等からの支援が可能となりますが、その反面、学習面などにはあまり問題がなく、社会性に問題を抱えながらも発達障害という認識がないまま、中学、高校そして大学を経て、社会に出るケースもあります。
そして、社会に出て、他人とのやりとりが苦手であるとか、他人の考えていることや感情が読みにくい、注意が散漫若しくは細かいところに注意が向き全体が見えないなど、社会適応力がないことにより働くことができないケース。あるいは、就職したもののすぐにやめてしまい、自立した社会生活を営むことが困難であると初めて分かったその時点で、発達障害が疑われることになります。
こうした発達障害が疑われる青年については、一人ひとりの特徴を明らかにし、その特徴の強みは何かを探りながら、その特徴を生かした仕事を見つけ出す支援が必要となります。その支援を探る方法として、特徴を見極めるため得意分野・不得意分野を明らかにすることによって、生き難さやつまずきを解消することが可能となります。
その環境を整える支援策の一つとして、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構の「障害者職業センター」が行う、障害者本人にあった職業を選択するための相談や助言などを行う職業指導及び本人が職場に対応できるよう本人や事業主に職場に適応できるための必要な助言などを行う職場適応援助者いわゆる「ジョブコーチ」による支援などがあります。
ジョブコーチなどを利用するためには、医師の診断書等により発達障害障害であることの確認が必要となります。
この診断を受けるためには、精神科を標榜する医療機関に受診することになりますが、診断を求める方からは、近くの精神科では発達障害の診断はできないと聞くことがあります。
そして、なかなか診断してくれる医療機関が見つからず困っているとも聞いております。
愛知県では、発達障害が疑われる方が受信できる医療機関の情報を提供するため、平成16年に、あいち発達障害支援センターにおいて、県内の医療機関に対してアンケート調査を軸に、診断可能な病院や診療所をデータ化した発達障害医療マップを作成しております。また、医療機関の診療状況も年々変わることもあることから、本年2月に名古屋市と共同でアンケート調査を行い、その結果をまとめた改訂版である「愛知県・名古屋市発達障害医療マップ」を今年度作成したと伺っております。
そこでお尋ねしますが、作成した医療マップにはどのような内容が掲載されているのか。また、発達障害が診断できる医療機関はどのくらいあるのか。
(答弁)
今年度作成した医療マップは、平成18年に名古屋市に発達障害支援センターが設置されたことから、本県と名古屋市が共同して政策しました。
医療マップの掲載内容ですが、発達障害が診断できる医療機関名とその診断できる内容や診断可能時間等を圏域毎又は名古屋市内は区毎に掲載しております。
また、その他に、発達障害の診断はできないが、ないかなど一般診療において、発達障害の方が落ち着いて診察が受けられるなど診療上の配慮ができる医療機関についても掲載しております。
アンケートの対象医療機関は、県内1,868医療機関で、そのうち835医療機関から回答がありました。そのうち、発達障害が診断可能と回答があった精神科と小児科の医療機関は98でありました。また、98医療機関のうち医療マップに掲載可能とした医療機関は71でした。
(質問)筒井タカヤ
先に、お話したように発達障害が疑われる青年の方がジョブコーチなど就労支援を受けようとするには、発達障害の診断が必要となるが、診断が受けられる医療機関がなかなか探せません。医療マップは、そのような活用してもらわないと意味がないと考えるが、活用方法や情報提供はどのようにしているのか。
また、医療マップに掲載されている医療機関に発達検査の診断を希望したところ「診断や検査ができない」と返事が返ってくる場合があると聞きますが、県はどのような対応をしていくのか伺います。
(答弁)
発達障害医療マップは、相談機関用に作成しており、発達障害支援センターのほか、県内の療育・相談機関、市町村の児童・障害福祉・保健担当窓口にも配布し、発達障害のかたがたが身近な地域でより速やかに診察を受けられるように活用していただいております。
また、県民の方々にもこうした情報が得られるように、あいち発達障害支援センターのホームページに掲載いたしまして、活用していただくよう努めております。
次に、診断や検査ができない医療機関があることについてですが、アンケート調査は今年の2月に実施しており、調査時点で診断可能と回答された後、医師の異動等により診断ができないということもありますので、医療マップの情報については、適宜更新していくこととしております。(2年毎の更新を予定)
しかしながら、更新するまでの間に内容の変更などが生じた場合には、その医療機関や利用者の方から情報をいただき、医療機関に確認をし、そのつど医療マップを訂正しまして、ホームページの更新や配布先への通知をしておりますし、今後も徹底していきたいと考えております。
(質問)筒井タカヤ
発達障害の診断を希望する方は、発達障害の専門機関である病院・診療所が「発達検査」や「発達診断」が実施可能なのか、その情報を求めています。
発達障害をすることにより、一人ひとりの特徴が明らかになり、その特徴を生かした仕事を見つけ出すことに役立ちます。例えば、発達検査では、「障害を疑うべきかどうかを見分けるためのスクリーニング検査」や「どのような発達障害の特徴があるのかを理解する発達診断検査」があり、これらの情報は障害の特性を理解し、社会に出てからは支援機関などの支援内容につながる重要な資料となりますが、今の医療マップには、検査内容が掲載されていない医療機関もございます。
そこで伺いますが、現在の医療マップについては、検査内容が掲載されたものも数多くみられますが、医療機関全てに検査内容を掲載することはできないのか。
(答弁内容)
これまで医療機関に対して行ったアンケートのお願いでは、基本的には医療マップに、医療機関名、住所、連絡先、予約方法を掲載することを了解のもとに回答をいただいております。
一部の医療機関では検査内容の掲載にご協力していただいておりますが、診断可能だが医療マップには載せてほしくないと考える医療機関が存在することや、医師の異動等に協力していただける医療機関が少なくなることも考えられます。
こうしたことがございますので、検査内容の記載充実については、医療機関の意向等踏まえまして、次回の更新時までに研究してまいりたいと考えております。
なお、検査内容が未掲載で、その内容が知りたい場合には、医療機関に事前に問い合わせをお願いすることになりますので、よろしくご理解を賜りますようお願いいたします。
(質問)筒井タカヤ
発達障害の特徴に気づき、障害の特性を理解し、社会に出てからは、支援機関や行政サービスなど各個人にあった支援の情報を受けることは重要であり、その入り口である発達障害であることを診断する医療機関の確保は重要であると考えます。件としては、今すぐ発達障害が診断できる医療機関の確保は重要であると考えます。件としては、今すぐ発達障害が診断できる医療機関の情報提供をすることは必要であります。
先にお話した発達障害が疑われる青年が、名古屋市内にある医療機関のうち発達障害のうち発達障害の診断ができる医療機関を医療マップで探そうとして場合、多くの医療機関には「対象者」や「検査内容」などが記載されておりません。
医療マップで、居住区にある18歳以上の方を診断対象としている医療機関を見つけ、「発達検査」ができるのかを電話で問い合わせたところ「発達検査は行っておらず、診断は可能でない」との返事がありました。せっかく住んでいる地域で、受信できる医療機関を見つけても、診断していただける医療機関がないことになります。
発達検査ができないならできないでやむをえないと思いますが、診断できる医療機関を探すのには、いずれにしても、「相談機関」に照会するか「愛知県・名古屋市発達障害マップ」を頼らざるを得ない現状であります。
医療マップを見て、「診断対象年齢」や「発達検査」が実施可能なのか、判断するための情報提供は必要でありますので、医療機関を選ぶための有効な情報を盛り込んだ医療マップを作成することを要望させていただきます。
尚、今回の健康福祉常任委員会が行われるに並行して私を含む、発達障害に取り組むグループは「愛知県・名古屋市発達障害医療マップ」改訂版の医療機関の全てチェックしました。愛知県が担当する項目についてはほぼ記載項目についてはこれといった問題はありません。しかし、名古屋市が担当する項目は不正確なものがありました。「愛知県・名古屋市発達障害マップ」という愛知県民の水先案内とも言うべきものが、愛知県と名古屋市の実態に対し、このように温度差があることは、広く県民に対し安心した生活を提供できない事につながる要因となることが懸念されます。
発達障害の問題に取り組む専門グループからも県議会の委員会議を通じて再点検を求められる声が寄せられていることは、既に県民の不安の声を反映していることに他なりません。県の健康福祉部障害福祉課も名古屋市内の医療機関名が記載する項目する項目についてクレームの声があると指摘することは、今後の協力を求める関係上、件からはストレートにお伝えする事は難しいとの事でした。
しかし、先に申し上げましたように、現実は困難が生じています。これから、私が述べる項目は県当局にも提出済みのものです。
当委員会議の過程でこのような指摘があったことを伝え、改善に向けた方向性となる事を期待したい。
愛知県・名古屋市発達障害医療マップからの現状報告
先に挙げた例は、青年期の発達の問題を抱えた例であることから、「愛知県・名古屋市発達障害医療マップ」の中の名古屋市全域ではP19~P35が該当する。そのうち、青年期の発達障害の診断が可能となった機関として小児・児童を除き、下記が挙げられることになる。
P21『中区』
*A青木クリニック 対象:原則として思春期以降
B五島メンタルクリニック 対象:記載なし
C鶴舞メンタルクリニック 対象:中学生以上
P22『昭和区』
青年期の発達診断は記載なし=該当なし
P23『瑞穂区』
*D名古屋市立大学病院 対象:記載なし
メモ:児童の初心は第2、4水曜日(適宜変更あり)
P24『守山区』
青年期の発達診断は記載なし=該当なし
P25『名東区』
E藤が丘メンタルクリニック 対象:記載なし
P26『天白区』
Fたけうち心療内科 対象:記載なし
P27『中村区』
G毎日ドクター
P28『港区』
青年期の発達診断は記載なし=該当なし
P29『東区』
青年期の発達診断は記載なし=該当なし
P31『北区』
*I名古屋市北部地域療育センター
*J板倉病院 対象:青年期以降
P33『熱田区』
青年期の発達診断は記載なし=該当なし
P34『南区』
L南医療生協かなめ病院 対象: 成人、必要に応じて小児の知的診断
P35『緑区』
M砦前クリニック 対象: 記載なし
以上です。
「愛知県・名古屋市発達障害医療マップ」改訂版を活用するため必要最低限のことをしていただきたい。何より県民が利用可能なものを切望している以上、再度の見直しをしていただくことで、県民から支持される県政の確立、安心・安全な愛知県に繋がるものと思われる。
上記のことから、具体的に何処の専門機関である病院・クリニックが「発達検査」「発達診断」が可能であるのか、まず明らかな情報が望まれる。
特に発達障害検査については、詳しい情報が一人ひとりの特徴を明らかにし、その特徴の強みは何かを探りながら、その特徴を生かした仕事を見つけ出す支援として重要な役割を果たす。
例えば、発達検査が可能という回答があった場合、その検査は@「スクリーニング検査」:障害を疑うべきか否かを見分けるものであるのか、A「発達診断検査」:どのような発達の特徴があるのかが理解できるものなのか。@とAのどちらなのか? について質問をしていただきたい。それは、検査名を直接聞くことで明らかとなる。
一般的に「診断」とは、検査結果を基にアセスメント(見立て)され、専門家の診断がなされる。従って「診断可能」ということであれば、何らかの検査はなされていることが考えられる。そのため、検査名は自ずと明らかになる。
診断は、障害というレッテル貼りが目的ではない。就労や就労体験の失敗を持つ青年に対しての支援方法として、「発達検査」「発達診断」は、障害の特性を理解し、社会に出てからは、支援機関や行政サービスなど各個人にあった支援機関の情報提供につなげることができる重要な資料である。
以上のことから、「愛知県・名古屋市発達障害医療マップ」の見直しと、その詳細(検査名)を明らかにしていただくことが望まれる。