平成21年11月 健康福祉委員会
12月7日
がんセンターについて
(質問)筒井タカヤ
愛知県がんセンター研究所の研究費について伺う。
愛知県がんセンターは、がんの診断・治療の拠点として非常に重要な役割を担い、県民の皆さんに貢献している。がんセンター中央病院が常に最新・最先端の治療を行うためには、臨床部門と連携を密にしていく研究所は、無くてはならない存在である。
私は、がんセンターが、これからもより良い診療を続けていくためには、研究所が果たす役割は非常に重要であると思い、かねてより、研究の充実を要望してきた。研究所の研究費についてだが、県費における研究費は、10年前の平成10年度には1億4千万円余であったが、平成21年度には、1千6百万円と、何と10分の1近くにまで減少している。
頼みの綱であった外部からの研究費である科学研究費などについても、国の事業仕分けにより大幅に削減が求められているようであり、今後、研究費が益々減少し、研究が続けられなくなってしまうのではないかと、私は大変心配し、懸念している。
そこで尋ねるが、県費における研究費は、今後どのようにしていく考えか。また、科学研究費補助金などの、国からの研究助成が全く無くなってしまったら、どうするつもりか。
【経営課長答弁要旨】
研究所の経費については、一般会計負担金と科学研究費補助金など外部から獲得する競争的資金で成り立っている。一般会計負担金については、長年にわたるシーリングの影響により、委員ご指摘のとおり10分の1近くまで減少している。外部からの資金獲得については、前年度の実績では、科学研究費補助金など国からの研究助成が約4億2千万円、民間からの研究助成が約9千万円、合計約5億1千万円の競争的資金を獲得している。
一般会計負担金と外部資金獲得、これらで研究費をカバーしてきた。これが、これまでの対応である。近年、研究費がどうなるかといった議論もある中で、やはり県費の研究費の増額を対応していかなければならないと思っており、来年度は、厳しい状況ではありますが、少しでも増額となるよう、現在、予算要求しているところである。なお、国からの科学研究費補助金が全くなくなることは、今は考えられない。より良い研究を進め、競争的資金の獲得にさらに努めてまいりたい。
(要望)筒井タカヤ
次に、がんセンターへの寄付について伺う。
私は、父親が亡くなったとき、香典の一部を、がんの診断や研究に役立ててもらおうと、がんセンターに寄付した。あとで分かったことだが、私の寄付は、がん研究振興会というところに行ったようで、最終的には、何に使われたのか分からなかった。
こちらとしては、がんセンターの病院や研究所に使ってもらい、おかげで、この備品が購入出来ました、とか、外国に研修に行ってきました、とか、こういう研究に使わせて貰いますなど、研究所長や研究員から直接一言いただいたほうが、寄付に対する理解が深まり、寄付者も「寄付してよかった。役に立ててよかった。」と心に感じることが出来て、今後に繋がっていくものであると考えている。
そこで尋ねるが、今後は、がんセンターの研究所で使って欲しいとか、備品を買って欲しい、がんセンターそのものに使って欲しいという要望に対する寄付を、直接受け付けできるように、体制を整備して、さらに、第一、第二日赤病院などのように、玄関ロビー等の一角に寄付者の名前を掲示し、善意の寄付が病院運営に生かされるようにして頂きたい。
その上で、寄付者に対し、その成果などが分かるように十分説明する形をとってもらいたいが、いかがか。
【経営課長答弁要旨】
病院・研究所への寄付の受入れ体制については、現金による寄付についても、直接受け付けする体制をとっており、ご寄付の趣旨にお応えできるものと思っている。
また、寄付者の名前の掲示の点については、寄付を頂いて病院事業庁の業務に直接ご支援をいただくことは大変ありがたいことで、その感謝をどのような形で表示するかは、積極的に考えたいと思っている。しかしながら、玄関に直接寄付者の名前を表示することによって、一方では寄付を求めているというように受け取られることも、県立病院としては心配しなくてはいけないと考えている。
こういった点も考慮し、感謝の気持ちを、どのような形で表示することが良いのか、さらに検討させていただきたい。
ちなみに、具体的な物品を寄贈いただいた場合は、そのものに寄贈者の名前を書かせていただいている。寄付金で購入した物品等にも、同様に寄付者の名前を表示することも一つの方法かと考えているので、こういった点も含めて検討したい。
それから、寄付していただいた方への成果などの説明の点については、委員にご指摘いただいた趣旨に沿って、寄付いただいた方に寄付金で購入した医療器械などを見てもらいながら御礼を申し上げるといったような、寄付金の執行後の形を具体的に示すことができるように、取り組んでまいりたい。
善意の寄付があれば、県立病院の運営にできるだけ有効に活用させていただき、できる限りの謝意を表してまいりたいと考えている。
(要望)筒井タカヤ
寄付を求めているというように受け取られることも、県立病院としては心配しなくてはいけない、ということだが、求めているということと、寄付を受け付けている、寄付をいただいたことに感謝している、ということとは、違うと思う。がんセンターに寄付をしたいという自主的な気持ちを大切にして応えて欲しい。
病院事業庁に、要望する。ベストを尽くしてくれた医師、最善の努力をしてくれた病院に対し、お礼がしたい、何かお役に立ちたい。このように思うのは、私だけではないと思う。今は個人、医師に対しては受け付けて貰えないが、私は、そういう気持ちである。他にも、きっと、私と同じような思いを持っている人も沢山みえると思う。
こういう私たちの気持ちを、快く受けていただき、少しでも役立てて頂きたい。がんセンターを始めとして、県立病院は、温かみがある病院であってほしいと願っている。これからも、寄付がしたくなるような、寄付した人が、たとえば3回忌も寄付したい、寄付して良かった。そう思えるような病院であってほしい。
病院事業庁長からは何かあるか。
【病院事業庁長】
私も、何度か、寄付の申し出を受けたことがあって、その際は、財団法人愛知県がん研究振興会への寄付を案内した。現行のルールでは、それが、一番いいように思う。寄付をいただいた方には、お礼の手紙を出しているが、その返信で、また感謝の手紙をいただき恐縮したこともある。がん研究振興会では、事業報告を個々の寄付者あてには送付していない。
また、支出について公益性を持たせないといけないので、寄付金をすべてがんセンターが使うわけにはいかない。1割程度は全国の研究者に配っている。
(要望)筒井タカヤ
がんセンターに寄付をしてもその成果がみえないような形でなく、寄付者と病院や研究所の職員が、お互いにもう少し心こもった会話、親と子のような会話ができるような、まごころのある寄付の仕組み、マニュアルを作って対応していただきたい。
【病院事業庁長】
成果を記載したがん研究振興会の事業報告は公開としているが、これを寄付者全員に配ることによって、もう少し分かっていただけるのではないかと思うので、そのことも含めて仕組みを検討したい。