【筒井タカヤ委員】

 

 

新手の寝たきりアパートで訪問看護で不正請求かとか、医師が指示書を乱発という記事が掲載された。その内容は口から食事を摂れない経管栄養の要介護者のみを限定対象に入居者を募り、アパート形式で寝たきり専用賃貸住宅が急増しているというものである。

 

 

そもそもアパート形式でこのような寝たきり専用住宅とした根本的な理由は、医療や福祉を担当する自治体の監督や指導を免れるものであることはもはや明白だと思う。この寝たきり専用賃貸住宅の入居者にかかる一人の費用は、毎月平均約100万円とのことである。その費用の月100万円の80パーセント以上が介護保険と医療保険でもって賄われ、訪問看護の医療保険が不正請求されている疑いがあるという内容である。

 

 

この春、私の地元の名古屋市名東区にもこの寝たきり専用住宅、経管栄養の人のみを限定のアパートが出現した。私自身が県庁に出向く道沿いの場所であるだけに、建物の建築着工から完成に至るまでの詳細な経緯を毎日見ていたこともあり承知している。建物の構造から見ると、どう見ても資材倉庫としか考えられない造りである。一般のアパート建物なら必ず一室ごとにある大きいな窓やベランダもなく、2階からは消防用の避難階段が造られている構造である。窓と思われる場所には開閉ができない小さな採光用のものがあるだけということから見ても、倉庫そのものといっても過言ではない建物である。

 

 

それが、ある日に正面玄関に「けやきハイツ」との看板が入口付近に取り付けられ、これが一般のアパート建築物であることを知った。それにしても、11台分の駐車場が確保されているのに、いつも車は1台か2台しか駐車されることもなく、実におかしな理解不能なアパートが出現したと疑問に思っていた。地元の住民からは、アパートなのに町内会の自治会費をお願いに行ったら拒否された。

 

 

また、災害用に必要な調査を求めに行ったが、氏名、男女別、年齢、家族世帯の情報提供も、アパート入口の1階管理人のような人に拒否されたという話が聞こえてきた。ひょっとすると新聞報道に見られた寝たきり専用アパートかもしれないと現場に出向いて調査した。そして、まさに疑惑の建物そのものが出現したことを初めて知った。まず、詳しい情報を得ることが必要だと考え、名古屋市の名東区役所の福祉担当責任者に連絡をしたところ、寝たきり専用住宅が出現したことをまったく承知していなかった。

 

 

調査に出向くと、1階で外部からの侵入者の出入をチャックして、あらかじめ定められている看護や介護を担当する業者及び寝たきり経管栄養を受けている患者とも思える入居者の家族以外は一切立ち入り禁止と拒否された。インターネットの情報を見て知る範囲内であるが、1階には寝たきり入居者用の療養介護用の特殊な機械による入浴施設がある。通常のアパートに見られるような、ガス、水道、台所もなければトイレもない。単なる空き部屋に別途料金を支払うことを義務としたような専用ベッドが置かれているだけのものである。これが40から50室用意されている。看護師や介護士が各室に業務として訪問するための控室があった。

 

 

ここで思うのは、建物の外部に突き出た非常用の避難階段は、一体、何のために誰のために造られているのかと思うと悲しさすら覚える。普通のアパートにあるベランダもなく、避難階段を見ても、一旦火事でも起きたら避難誘導は誰がするのかというしろものであった。尊い人の命を預ける施設としては適切な建物だとは思えない。そこで、民間の一般のアパートとして造られた施設だから、県は何も言えないと思われるが、入居者が負担する費用については、新聞報道にあるように、通常であれば本人が負担すべきところを、医療保険の訪問看護を適用して賄うといったことであれば、これはいささか問題があると思う。今後、こういう施設が増えても困ると思うが、医療サービスが必要な方には適切に医療保険を適用し、対応していく必要があると考えるかどうか。

 

 

 

【医務国保課主幹(保険・福祉医療)】

 

新聞記事については、県としても承知しているが、訪問看護で医師が発行する特別指示書は患者の様態の急変等の場合に発行するものとされている。これにより医療保険が適用され、診療報酬が支払われることになる。今回、この特別指示書が医療保険の適用を受けるために、定期的な発行がされていたとすれば、診療報酬の算定上疑義があるものと思う。こういう施設は県への届出義務がなく、実態の把握が難しいところがあるが、寄せられた情報については、医療保険での対応が適切であったかどうかなど、実態をしっかり把握する必要があり、県としては、国の期間と連携のうえ対応していきたいと考えている。

 

 

【筒井タカヤ委員】

 

この件について、一言要望をしておきたい。高齢者の方の介護については県民の皆さんの関心もたいへん高く、県民生活プラザなどへの相談もあると思う。特に今回のケースのような問題が起きないようにするためには、費用についても、医療保険や介護保険の適用がある内容と、そうでない自己負担が出る内容とがあることをきちんと説明する必要があると思う。こういった内容について、県民生活プラザから連絡があった場合には適切に対応連携していくように願っているがどうか。

 

 

【医務国保課主幹(保険・福祉医療)】

 

県民生活プラザとは日頃から連携を図っているが、医療保険や介護保険などの費用負担ついての連絡があれば、関係課で十分に説明を行なうなど、適切に対応していきたいと考えている。

 

 

【筒井タカヤ委員】

 

次に、特別養護老人ホームにおけるたんの吸引についてだが、たんの吸引と胃ろうによる経管栄養は医療行為であり、これまでは医師や医師の指示を受けた看護師にしか認められていなかったものが、厚生労働省は、この4月1日付けで、一定の条件を満たせば、特別養護老人ホームで介護職員が看護職員と連携して口腔内のたんの吸引と胃ろうによる経管栄養の一部を実施することを認める医政局長通知を出した。そこで、国が介護職員によるたんの吸引と胃ろうによる経管栄養の一部を実施することを認めるに至った経緯について教えてほしい。

 

 

【高齢福祉課主幹(施設)】

 

 近年、特別養護老人ホームにおいては、高齢化や要介護度の重度化により、医療的なケアを必要とする入所者が増加している。一方、特別養護老人ホームは、医療の提供を主たる目的とした施設ではないため、看護職員の配置等、いわゆる医療の提供体制が必ずしも十分になっていないという現状にある。このため、たんの吸引や胃ろうによる経管栄養を必要とする要介護者の入所が難しいといった状況がある。

 

 

こうしたことから、厚生労働省においては、平成21年2月から特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会を開催し、特別養護老人ホームにおける医療的ケアの在り方を検討してきたところである。平成22年3月には、この検討会が報告書を取りまとめ、この報告書では、今後も口腔内のたんの吸引や胃ろうによる経管栄養が必要な高齢者が増加する中で、看護職員のたんの吸引等の実施は、医療関係者との連携・協力により、医療安全が確保されるような一定の条件のもとではやむを得ないものとしたところである。この報告書を受け、厚生労働省においても今回の通知に至ったものである。

 

 

【筒井タカヤ委員】

 

 実施に当たっての一定の条件など、国からの通知の具体的内容はどのようになっているのか教えてほしい。

 

 

【高齢福祉課主幹(施設)】

 

 介護職員が口腔内のたんの吸引や胃ろうによる経管栄養を実施するうえで必要とされる一定の条件であるが、まず、入所者の同意が必要となる。また、医療の安全が確保されることが必要であり、具体的には、施設に配置されている医師からの承認及び書面による具体的な指示や、看護職員と介護職員との連携や協働といった的確な医学的な管理がなされていること、看護職員から介護職員に対する必要な知識や技術に関する研修の実施など口腔内のたんの吸引や胃ろうによる経管栄養の水準を確保すること、安全確保のため、施設長を中心とした施設内委員会の設置をするなどの体制整備をすることなどが、その条件となっている。

 

 

 

【筒井タカヤ委員】

 

 実施に向けての今後のスケジュールはどのようになっているのか、そして、県はどのように対応していくのかについて教えてほしい。

 

 

【高齢福祉課主幹(施設)】

 

 実施当たっては、一定の条件で示されているように看護職員から介護職員に対する必要な知識・技術に関する研修が実施できる体制づくりが重要になってくる。そのためには、各施設で介護職員を適切に指導できる看護職員の養成が必要になる。本県においては、国の中央研修を受講した看護職員により、各施設で講師となりうる看護職員を養成する研修を秋頃に開催し、各施設で看護職員が介護職員への伝達研修を行えるような体制づくりを支援していく。こうした取組により、施設によっては、早ければ年内には介護職員によるたんの吸引や胃ろうによる経管栄養の実施が可能となる体制が整備されるものと考えている。

 

 

【筒井タカヤ委員】

 

 次に、たんの吸引等と同様に医療行為であるインシュリン注射を必要とする糖尿病患者も特別養護老人ホームに入所している場合があると思うが、特別養護老人ホームでは、インシュリン注射についてどのように対応しているのか教えてほしい。

 

 

【高齢福祉課主幹(施設)】

 

 施設においては、インシュリン注射が必要な糖尿病患者については、施設の嘱託医の指示に基づき、入所者の体調を十分管理しながら施設にいる看護師により注射が行なわれている。症状により対応は若干異なるが、一般的には、一日の血糖値をコントロールするということもあり、朝食前に注射を行っていることが多いと聞いている。

 

 

【筒井タカヤ委員】

 

 たんの吸引等と同様、介護職員によるインシュリン注射の実施について、国の検討状況はどのようになっているのか教えてほしい。

 

 

【高齢福祉課主幹(施設)】

 

 施設の看護職員でまずは対応できるということで、介護職員によるインシュリン注射の実施については現在のところ、国において検討は行なっていないと聞いている。

 

 

【筒井タカヤ委員】

 

 次に、がんセンター中央病院の新しい外来化学療法センターについては、昨年度、建物の建築設計を行い、今年度には実施設計を実施し、来年度着工し、平成24年度中のオープンを目指していると聞いている。この新しい外来化学療法センターについては、大幅な増床を行い、現行の治療ベッド数30床を60床にすることから、当然、抗がん剤のミキシング業務が更に増加することが予想されるので、薬剤師の増員が必要だと考えている。

 

この薬剤師について、現在、がんセンター中央病院には、がん薬物療法を専門とする、がん専門薬剤師がたった1人しかいないと聞いており、今後、がんセンター中央病院が、外来化学療法に力を注いでいくためには、ハードの整備だけではなく、ソフトについても整備していく必要があると考える。

 

このため、新しい外来化学療法センターに対応するためにも、現状の1人では不十分と考えられることから、複数のがん専門薬剤師の配置が必要だと考えるが、この点について病院事業庁の考えを聞きたい。

 

 

【管理課主幹(人事・労務)】

 

 がん専門薬剤師は、がん領域における薬物療法等についての高度な知識と技術を用いて、医療機関において質の高いがん薬物療法を実践する者の認定資格である。今後も増加していく外来化学療法の需要に対応するためには、がん専門薬剤師を複数配置することも必要だと認識しているので、がんセンター中央病院においては、がん専門薬剤師が増えるように職員にがん専門薬剤師の認定資格を取得するように働きかけているところである。

 

しかし、一方では受験資格要件も厳しく、試験も難しいため、短期間で複数の有資格者を確保することは難しい状況である。病院事業庁としては、今後とも認定資格取得のために積極的にサポートとしていきたいと考えている。

 

 

【筒井タカヤ委員】

 

 昨年、当委員会で視察した南東北病院で驚いたことがあった。かつて、がんセンター中央病院で放射線の責任者としてやっておられた方がスカウトされて向こうのほうに行かれた。その病院はすばらしい待遇で、部下を配置して堂々と出てくる姿は、私が若いころ見た田宮次郎の「白い巨塔」のようで、ものすごい権威だと感じた。給料もよく、権威的なもののバックもあり驚いた。

 

そして、堂々と一生懸命、我々に対して陽子線についての療法の在り方や効能を話され感心したわけであるが、そういう優秀な人材ほどスカウトされやすい。たった1人しかいないがん専門の薬剤師が仮に交通事故にあったり、体調を崩したり、またスカウトされたときに、1日で他の人をつれてくることはできない。

 

だから、こんな難しい試験をクリアした人を今後、どのように養成するかを真剣に考えないと、病床は増やしたものの、薬剤師はスカウトされてしまったということでは目も当てられない状況になる。そういう状況を憂いて何とかひとつ真剣に対応してほしいし、人材の確保をするためにも給与の面も含めて考えていかないと、仕事の量はきつく、それに見合った給料も出ず、地位もないようではなかなか試験を受ける気にもならないのではと心配している。ぜひ、平成24年度にオープンするときには複数配置できるように願いたいところだが、病院事業庁長の意見を聞きたい。

 

 

【病院事業庁長】

 

 まだ低いレベルの実態があり、薬剤師の数を揃えることがたいへんな問題である。今、ぎりぎり入っている状況である。先月、ある機関からの調査があり、ようやくミキシングを薬剤師だけでやれるようになった。5月は特に連休も入っていたが、毎日、データを全部出して、合格書をぎりぎりもらえたところである。

 

どういうことがバックにあるかというと給与の問題があるかと思う。採用のために応募をかけているが、薬剤師の免許を取られた方でがんセンターに応募していただける方が十分になく、常勤でも足らない状況であり、非常勤の方でなんとか賄っている状況である。原因は民間のいろいろなところにあるスーパーのような薬局の給与体系の方が圧倒的によいので、どんどんそちらのほうに流れていることにある。

 

そのため、公立の病院の薬剤師に来ていただけるのがなかなか難しい状況であり、先程の話のレベルよりずっと低い次元で、今、もう一段階下のレベルで一生懸命やっている状況である。以前は恥ずかしい話ではあるが、薬剤師が足らず看護師がミキシングをやっていた。ようやく看護師の手を離れ薬剤師だけでやれるようになった。現実は5月にぎりぎりたどり着いたところである。指摘の部分は大切なところであるので、今後もレベルアップするように努めていきたいと思う。

 

 

【筒井タカヤ委員】

 

 高度医療のがんのすごいところの権威を持っておりながら、こういう事実があるというのはびっくりするような話ではあるが、ひとつしっかりやっていくことをお願いしたい。

 

 

【筒井タカヤ委員】

 

先日、高齢者の方の知人が、家族の入院費を支払うために銀行に行ったところ、支払ができずに困ったとの相談に応じたことがあった。病院からの納入通知書を本人が紛失したために手続きができなかったものであったが、こうした支払手続に関して、病院事業庁においては支払われる方の利便性を高めるためにどのような配慮をしているのか聞きたい。ほとんどの場合が病院窓口で支払われると思うが、中には事情により後日支払う場合もあるかと思う。病院に行くことができない方の場合の入院費などの支払手続の流れとどの程度の割合でそのようなケースがあるのか、また、ゆうちょ銀行での支払が可能となっているかについて、現状を教えてほしい。

 

 

【経営課長】

 

 病院窓口で入院費などを支払われなかった場合については、ケースとしては、死亡退院などの退院時に何らかの事情で支払ができなかった場合や、支払者が遠方に住んでおり窓口納付ができない場合などがあるが、こうした場合には、後日、病院から納入通知書を送付して、支払者にはその納入通知書により病院事業の出納取扱金融機関である三菱東京UFJ銀行で支払手続をしてもらうことになっている。

 

また、この納入通知書を使った納付の実態は、病院全体で、月当りで約400件、金額にして約2,500万円で、その概ねは支払ってもらっている状況である。病院全体では月当り患者負担金の支払額は約6億6,000万円となっており、納入通知書によるものは、その約4パーセントという状況である。なお、ゆうちょ銀行については、現在、支払を受け入れる機関とはなっていない。

 

 

【筒井タカヤ委員】

 

 入院費などの支払で、納入通知書によって支払う方が思いのほか多いということが分かったが、今後は、高齢の方がますます多くなる中で、支払手続の利便性を図る配慮が必要ではないかと思う。県営住宅の納入について、昨年、本会議で改善を求めたところ、本年6月からはゆうちょ銀行でも引き落としができるようになったところである。

 

高齢の方で年金などを郵便局で受け取るケースは多いと思うし、取扱の銀行が遠いために支払手続を敬遠するケースもあったりする。身近な郵便局で手続を済ますことができれば、たいへん便利になる。また、未収金の回収率を上げる効果も期待ができると思う。このため、病院事業庁でも同様に、支払手続がゆうちょ銀行でもできるよう、取扱を改めるべきではないかと思うがどのように考えるか。

 

 

【経営課長】

 

本県においては、自動車税や県営住宅の家賃、それから駐車場の使用料などの収納事務において、指定金融機関や多くの収納代理金融機関に加え、ゆうちょ銀行でも可能となっていることを承知している。現在、病院事業庁では出納取扱金融機関として三菱東京UFJ銀行を指定しているが、一般会計のように多くの他の金融機関を収納代理機関として指定はしていない。

 

これは、従来、病院の支払は、病院の窓口で通院の際に支払ってもらうことを基本に枠組を決めたことによるものである。そこで、新たにゆうちょ銀行を収納先にするためには、他の金融機関をどう取り扱うのかの検討のうえ、出納取扱金融機関との間で、事務手数料や収納金銭の送金方法等のいろいろな調整が必要となる。今後、少し時間をもらい収納金融機関を増やすという方向で検討していきたいと考えている。

 

 

【筒井タカヤ委員】

 

県民の利便性を高めるために、しっかり検討を進めてほしいと思う。今の答弁にあった収納金融機関を増やすという方向で検討するというのは、実施に向けてのまず第1歩が始まるというように理解するがよろしいか。

 

 

【経営課長】

 

そのとおりです。