<准看護師制度について>
(筒井県議)
次に、准看護師制度についてお尋ねをいたします。
まず、私が准看護師について非常に強い興味を持ったのは、先ほどお話しが出ておりましたけれども、准看護師による虐待によって、お母さんが子供を亡くしたというようなことが記事にありまして、えっ、正直、なんで准看護師、命を助けるお仕事をしている人が何故という疑問を抱くと同時に、准看護師についてもっと知りたいと思って、県の方にお願いをして勉強をさせていただきました。
そういった意味において、准看護師制度について、お尋ねします。皆さんにもよくわかって頂きたいという思いもあっての質問です。
我が国には、看護師とともに准看護師という2種類の資格がありますが、医療の高度化・専門化などにより、医療現場で求められる知識や技術が従前に比べ高まっていることから、近年は大学や看護専門学校を経て資格を得る看護師が多数を占めるようになりました。
特に、平成18年の診療報酬改定において設けられた手厚い看護配置基準(いわゆる7対1看護)を契機に、看護師は一部の大病院に集中する傾向が見られ、中小病院や診療所においては、看護師確保が特に困難と聞いております。街のいたるところに「看護師募集」という看板を見かけます。
しかし、もう一方の資格である准看護師については、「准看護師募集」という看板を見かけた記憶もございません。そこで、改めて准看護師の現状などについてお伺いをします。
まず、一点として、そもそも准看護師制度とはどういったものかお尋ねいたします。また、看護師と、どこがどう違うのか、併せてお伺いします。
(医務国保課主幹(看護・医療指導))
准看護師制度について、お答えします。
准看護師は、第2次大戦後の看護師不足に対応するために、中学校卒業者をできるだけ早く医療現場に送り出す制度として、昭和26年の保健師助産師看護師法の一部改正により創設されました。
看護師と准看護師の違いについてですが、看護師は高等学校卒業後、3年間の看護専門学校等の履修が必要であり、その結果、医師・歯科医師の指示を受けることなく「傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行う」といった看護業務ができます。
これに対しまして、准看護師は、中学校卒業後、2年間の准看護師養成所の履修が必要とされており、看護師に比べ早期に医療現場に就職できることとなっております。その結果、准看護師の業務については、「医師、歯科医師又は看護師の指示を受けたうえで」看護業務を行うという制約がございます。
(筒井県議)
今のお話を聞いて、准看護師と看護師の大きな違いについては、私はよく理解はできました。医療・看護の質という点でいいますと、看護師の方のほうが質的に担保できると私も理解できますが、ある統計調査によりますと、全国で働く保健師・助産師を含めた看護職員、約140万人のうち、准看護師は37万人いるとのことでありますが、まだまだ多数の准看護師の方が様々な現場で働いているということを実感することができました。
そこで、県内での准看護師の養成数、准看護学校卒業生の進路といった、本県における准看護師の現状についてお尋ねいたします。
(医務国保課主幹(看護・医療指導))
県内における准看護師の現状について、お答えします。
まず、准看護師の養成状況ですが、平成24年度は、県内に5校の准看護師養成所があり、その入学定員は合計320人となっております。これは、近年最も多かった平成13年度・1,260人の4分の1程度となっております。
県内の准看護師養成所の卒業生の就職先についてですが、今年初めて県が実施した、平成24年3月卒業生を対象とした「卒業生就業先調査」の結果、准看護師養成所の卒業生266人のうち、200床未満の中小病院への就職者が90人(全体の33.8%)、200床以上の病院が87人(同32.7%)、診療所が53人(同19.9%)、その他・就業先不明が36人(13.5%)となっておりまして、200床未満の中小病院や診療所への就職者が143人と全体の半数以上(53.8%)を占めております。
(筒井県議)
准看護師の養成所がピーク時に比べ、相当数減少していることは理解できましたが、県立病院ではどのような状況になっているのでしょうか。
私は以前から、県立病院は、がん医療、精神科医療、小児医療などの高度で専門的な医療を提供することが求められていることから、医師だけではなく看護師や薬剤師などの医療技術者も、高いレベルの技術や知識を持った者を配置する必要があるとの意見を再三申し上げてまいりました。
そこで、お伺いしますが、現在、県立病院においては、准看護師は何人働いていて、給与は看護師と違いがあるのでしょうか。また、准看護師の採用についてはどのように考えておられるのか、お尋ねします。
(病院事業庁管理課主幹(人事・労務))
県立病院における准看護師の就業状況と給与についてのお尋ねでございます。
現在、病院事業庁の准看護師は、城山病院に勤務する4名のみでありまして、がんセンター中央病院など他の県立病院で勤務しておりません。
また、看護師と准看護師の給与でございますけれども、免許の取得に際し、必要な学歴が異なりますことから、その面で、初任給に差を設けているところであります。
次に、県立病院における准看護師の採用についてでございますが、病院事業庁では、平成18年の4月の採用から、看護師のみを対象とした選考試験を実施しており、准看護師を募集しておりません。
理由といたしましては、県立病院に求められています、高度・専門医療の実施及び安心・安全でより良質な医療を提供するとの役割を踏まえますと、准看護師よりも教育期間が長い看護師の配置が望ましく、さらに研修を重ねて、認定看護師、専門看護師を育成・配置することが必要であると考えておりますことから、このような受験資格としたところでございます。
(筒井県議)
これまで准看護師制度の現状などについてお尋ねしてきましたが、この「看護師」「准看護師」という2つの資格制度については、医師会や看護協会など、様々な考え方があると聞いております。
そこでもう一度確認したいのですが、国はこの准看護師制度について、どのような検討をしてきたのか、その内容についてお伺いします。
(医務国保課主幹(看護・医療指導))
国における准看護師制度の検討状況等についてお答えします。
先に述べましたように、准看護師制度は、第2次大戦後の看護師不足に対応するために創設された制度です。しかし、医療の高度化・専門化の進展の中で、看護の知識や技術もより高度化し、大学を卒業して看護師を希望する者も増加してきたことから、「准看護師は時代にそぐわない」として、その制度の見直しを求める意見が出てまいりました。
そこで、国が設置しました平成8年の「准看護婦問題調査検討会」の報告書において、『21世紀初頭の早い段階を目途に、看護婦養成制度の統合に努める』と提言されました。
この提言に対する考え方ですが、日本看護協会は、「質の高い看護サービスを提供するために、准看護師の養成を停止するとともに、看護師への移行を推進する」との考え方を有しております。
しかし、実際に准看護師を養成しております日本医師会は、「地域医療の多くを准看護師が支えている」として、この提言に否定的であります。
以上のような経緯から、この准看護師制度は、現在に至るまで継続しております。
なお、平成8年の報告書には、『現行の准看護婦養成課程の内容を看護婦養成課程の内容に達するまで改善すること』との提言もあったことから、国は、准看護師養成所の教育内容を充実するためのカリキュラム改正を、平成13年度に行いました。
また、『准看護婦資格を有する者が看護婦の資格を取得できるための方策を講ずること』との提言に対応するため、国は新たな「看護師養成所2年課程(通信制)」を平成16年度に創設しております。
(筒井県議)
こうしたことを聞いておりますと、国でも様々な検討がなされたのですが、結果的には現行制度を前提に、看護師・准看護師がそれぞれ養成されて、今も様々な現場で働いているということのようであります。
そういったことを踏まえて、今後、県はこのような現状を踏まえ、今後どのように対応されるおつもりか、お伺いします。
(医務国保課主幹(看護・医療指導))
准看護師の現状を踏まえた、県の対策についてお答えいたします。
先に述べましたように、10年程前の4分の1程度に減少しているとはいえ、現に県内の5校・320人の学生が准看護師養成所において養成されており、卒業後、地域医療の現場で働いていることから、現在ある養成所については、引き続き運営費を助成するなど、支援をしてまいりたいと考えております。