平成24年12月県議会 健康福祉委員会 筒井委員 12月17日

【ノロウイルスによる感染性胃腸炎について】

 

〔質問1〕筒井タカヤ委員

 

1 ノロウイルスによる感染性胃腸炎が全国的に流行しているとの報道があり、愛知県においても先ごろ警報が発令されたとのことであります。

 

また、新聞等によりますと、今年、全国で流行しているノロウイルスは、平成18年に大流行したウイルスが変異したものであることから、免疫を持つ者がなく、大きな流行になることが危惧されているとのことであります。

 

  そこでまず、県内におけるノロウイルスによる感染性胃腸炎の流行状況と今後の見込みについてお尋ねします。また、なぜ冬になると多く発生するのか、その理由について、合わせてお尋ねします。

 

 

 

(答弁)

  本県では、182の医療機関から週単位に患者数を報告していただき、これを基に算定した1医療機関当たりの報告数から流行状況を判断しております。

 

  感染性胃腸炎の本年の流行状況ですが、11月の初旬までは、一桁の報告数であったものが中旬には10を超え、以後、急激に報告数が増え、今月の2日に至る1週間では、警報の指標である20に近づいたことから6日に感染性胃腸炎警報を発令しました。

 

なお、この時期の感染性胃腸炎は、ほとんどがノロウイルスによるものでして、警報の発令時期は、過去に大流行しました平成18年に次ぐ早さとなっております。

 

  今後の見込みですが、直近の報告数は20.75であり、大流行しました平成18年のピークは12月中旬の26.80でありましたので、もう暫くは増加傾向が続くと思われますが、例年、流行のピークは12月末頃となっておりますので、年が明けた後は、徐々に終息に向かう見込みを立てております。

 

 

次に、ノロウイルスの患者が冬に多く発生する理由でございますが、このウイルスに感染し、発病しますと、嘔吐をするケースが大変多く、その吐物にはウイルスが大量に含まれていることが分かっております。

 

冬季においては、空気が乾燥しておりますので、嘔吐した際には、たくさんのウイルスが舞い上がり、空気中に広がりやすくなります。

 

特に、部屋の中で嘔吐しますと、密閉された空間に長く留まりますので、その場にいる人がウイルスを吸い込むことにより、容易に感染してしまうためと考えられます。

 

 


〔質問2〕筒井タカヤ委員

 

2 まさにこの時期が流行のピーク、あるいはピーク間近であり、これから年明けにかけ、当面は流行が続く予想であるとのことで理解しました。ノロウイルスには、手洗いが感染の予防に有効とのことですので、私としても手洗いに気を付け、感染しないよう注意したいと思います。

 

ところで、先日、NHKテレビで見たのですが、トイレの流し方で、ふたをして流すことが有効だとのことでした。これによりトイレ内の空気汚染の拡大を防ぐことができるとの表現でした。流行時にあっては、このような詳細な内容の周知が有効ではないかと考えます。

 

そこで、県は警報発令に合わせてどのような対応を行ったのか、また、予防対策としてトイレの流し方などの詳細な内容も含めて周知しているのかお尋ねします。

 

 

 

(答弁)

  警報の発令について、県政記者クラブに発表し、その中で予防対策として、食事前や帰宅時の手洗いの励行、食品を十分に加熱することなどを県民に呼びかけました。また、老人福祉施設などの社会福祉施設、保育所、学校などに対し、それぞれを所管する課を通じて、感染性胃腸炎の予防に関する一層の注意喚起を行いました。

 

これらの施設に対しましては、毎年、国からの通知に基づき、ノロウイルス対策として、手洗いの徹底やおむつ・嘔吐物の適切な処理等の感染予防対策の啓発を行っており、特に本年は、流行が早かったこともあり、ノロウイルスの感染を広げないための施設環境の消毒や、嘔吐物の処理について、具体的に示したリーフレットを11月末に情報提供しておりますので、問題意識を持って対応していただいていると考えております。

 

  なお、トイレの流し方についてですが、トイレの構造は、施設によって必ずしもふた付きのものばかりではありませんので、県としましては、どのような施設にも実践していただける手洗いの徹底やおむつ・嘔吐物の適切な処理などの基本的な内容について、まずは周知していきたいと考えております。

 

 


〔質問3〕筒井タカヤ委員

 

3 先ほど、冬に多く発生する理由として、ノロウイルスは患者の嘔吐物から感染が広まるとのことでありました。そうであれば、多数の方々が集まっている施設において、患者が1名でも発生すると、一度に多くの方に感染が拡がることになります。

 

このため、特に抵抗力が弱い、お年寄りが多く生活する老人福祉施設、また、乳幼児を預かる幼稚園、保育所などの施設における感染予防の対策が重要と考えますが、県はこのような施設に対してどのように指導を行っているのかお尋ねします。

 

 

 

(答弁)

保健所では、食中毒対策として給食施設の監視指導を行っており、その一環として老人福祉施設、幼稚園、保育所などに立ち入っております。ノロウイルスは、食中毒対策におきましても、たいへん重要ですので、立ち入りの際には、手洗い、調理器具の洗浄消毒、食品の加熱温度管理など、ノロウイルス対策を含めた衛生指導を実施しております。

 

  なお、社会福祉施設や保育所等において、同じ感染症の患者が10名以上発生した場合には、施設長から保健所に迅速に報告することとしておりますので、その際には、汚物、吐物の処理方法、手洗い、消毒の励行等について、改めて衛生指導を実施しております。

 

 


〔質問4〕筒井タカヤ委員

 

4 老人福祉施設などの施設に対して、指導されているということでありましたが、実際の現場で患者の発生を完全にゼロにすることは困難だと思います。もしも、患者が発生してしまった場合、それ以上の広がりを防ぐためには、施設内の消毒が必要になるかと思いますが、どのような点に注意して実施すれば良いのかお尋ねします。

 

 

 

(答弁)

ノロウイルスは、インフルエンザウイルスと異なり、アルコールは余り効果がありませんので、施設内の消毒には、キッチンハイターなど、ご家庭にもある塩素系漂白剤を水で薄めた塩素液を使用します。

薄める方法は、一般家庭用の6%濃度の製品の場合、汚物を処理した後の消毒には約60倍に、患者が触れた場所等の消毒には約300倍に希釈して使用します。

 

患者が発生した場合、特に注意が必要なことは嘔吐物の処理です。

嘔吐物にはウイルスが大量に含まれていることが分かっております。このため、嘔吐物を処理する際には、使い捨てのマスク、手袋及びエプロンを着用し、窓を開放して行います。

 

  嘔吐物はペーパータオル等で静かに拭き取り、その部分を塩素液を染み込ませたペーパータオル等で広めに覆い、数分程度放置した後、水ぶきします。

拭き取った嘔吐物は、使用した手袋と一緒にビニール袋に密閉して廃棄します。

 

  患者が触れた場所、特にトイレの内外の消毒は、塩素液を含ませた布等で拭き取るようにします。なお、塩素液は金属に対して腐食性がありますので、ドアノブなどを拭き取った後は、水ぶきすることが必要です。

  また、これら汚物処理や消毒を行った人は、作業後にしっかり手洗いすることが必要です。

 

 


〔質問5〕筒井タカヤ委員

 

5 患者が発生した場合における感染拡大の防止のための具体的な消毒方法について説明がありました。

 

  私は、老人福祉施設を含めた社会福祉施設に訪問して、とても気になることがあります。施設に従事される職員の方々が、一日労働されて帰宅される時に、ロッカーに制服を戻して着替えされ、そのまま施設を出られる人たちが多いのです。ノロウイルスの流行時においては、1日着用した制服は毎回洗濯し、高温乾燥処理を行うぐらいの注意と配慮がなされてしかるべきと思います。こうしたことが、先ほどの答弁にあったリーフレットなどに記載されているのか、記載されていないのであれば、今後、追加していただけないかお尋ねします。

 

 

 

(答弁)

  患者の嘔吐物の処理等を行う場合には、感染拡大防止のため、手袋やエプロンの使用により制服等衣類へのウイルスの付着を防ぐよう呼びかけているところであり、御指摘いただきました、制服の洗濯につきましては、リーフレットなどに記載してございません。

 

制服の洗濯につきましては、施設管理者が、従事者の業務内容に応じて、適切に指導していただいているものと考えておりますが、そのような詳細な点にまで問題意識をもって、今後とも、ノロウイルス対策をはじめとする感染症対策を適切に推進してまいります。