平成24年12月議会 健康福祉委員会質問 平成24年12月17日
(自由民主党 筒井タカヤ議員、高齢福祉課)
<お泊りデイサービスについて>
(質 問 1)筒井タカヤ委員
「デイサービスの通所介護施設を利用する高齢者が、夜もそのまま宿泊するという『お泊りデイ』が都市部で広がっている」ということを日経新聞記事やNHKテレビニュースで知りました。
この「お泊りデイ」は介護保険の対象ではなく、事業者の自主サービスという位置づけで、実施施設数の統計はないが、厚生労働省の推計では全国で2600か所以上あるということであります。
介護保険の対象でないため規制の対象ではありませんが、東京都や大阪府では、「お泊りデイ」について運営などの基準を定めております。
東京都や大阪府では、なぜ、「お泊りデイの基準」を定めることになったのか。定めなければならないような状況があったのか。
そのあたりの事情を知っていますか。
そして、どのような「お泊りデイの基準」となっていますか。
また、この基準に従って行う事業者に対し、どのような支援・補助を行っていますか。
お尋ねします。
(答 弁)
いわゆる「お泊りデイサービス」は委員ご質問のとおり、介護保険法の規制・対象とならないサービスであり、国において法的基準或いはそれに準ずる基準はありません。
そのため、東京都や大阪府では昨年度から今年度にかけて、順次、行政指導として、人員・設備・運営基準を定めました。
東京都や大阪府がこのような基準を作るに至った理由・背景としましては、2〜3年前から、厚生労働省では「お泊りデイサービス」の法制度化を検討していたことから、東京都や大阪府でも「お泊りデイサービス」の実態を調査したところ、それぞれの事業所でいろいろ差があることが判明したとのことです。
そのため、特に東京都では、国に対し基準を設けるよう働きかけるとともに、次の法整備が行われるまでの間の「つなぎ」ということで、独自に人員、設備及び運営に関する基準を定めたということのようです。
次に、その具体的な基準内容につきましては、
東京都では、1か月に5日以上宿泊サービスを提供する事業所を対象としまして、連続して宿泊サービスを提供する日数は原則30日が上限、介護職員又は看護職員を夜間宿泊時間帯に常時1人以上確保、宿泊室の定員は原則1室当たり1人、床面積は1室あたり7.43u以上、苦情を受け付ける窓口設置、事故発生時にはその状況及び採った処置の記録などです。
大阪府の基準も、介護職員又は看護職員を利用者9人に対し1人以上確保するもの以外は、概ね東京と同じ基準であります。
なお、東京都や大阪府では、支援・補助は行っていないと聞いております。
質 問 2)筒井タカヤ委員
東京都や大阪府が支援・補助を行わないならば、「お泊りデイの基準」を作っても、事業者は従わないのではないでしょうか。
東京都や大阪府は、この基準を守らせるため、どのように指導しているのかお尋ねします。行政側の一方的な通達に終わっているのかお聞きしているのです。
また、国サイドでは、「お泊りデイ」に対し何か規制するなどの動きはありますか
(答 弁)
「お泊りデイの基準」は法的強制力がありませんので、東京都や大阪府は、お泊りデイを実施している事業者に対し、基準の遵守を根気強く働きかけていると聞いております。
次に、国の動きについてでありますが、さきほど、少し触れさせていただきましたが、厚生労働省においては、介護保険制度の改正を議論していく中で、いわゆる「お泊りデイサービス」の法制度化を検討していましたが、宿泊環境や夜間の職員体制など様々な意見があったことから、本年4月の介護保険制度の見直しにおいては、結果的に見送られております。
しかし、厚生労働省は昨年度から、お泊りデイサービスに関する調査研究事業(名称:デイサービス利用者の宿泊ニーズ等に関する調査事業)を実施し、本年9月に発表しており、今後の法制度化の検討のための基礎資料になるものと考えております。
(質 問 3)筒井タカヤ委員
愛知県内で、どのくらいの施設で「お泊りデイ」を実施しているのか、現状を把握していますか。
(答弁)
県内でどのくらいの通所介護事業所(デイサービス)で、お泊りデイを実施しているのかにつきましては、愛知県では具体的な数字は把握しておりませんが、
名古屋市が昨年度、市内における「お泊りデイサービス」の実施状況を把握するために行いましたアンケート調査によりますと、回答のありました370事業所のうち、実施しているところは67事業所、18.1%(2割弱)ということであります。
また、豊橋市におきましても昨年度、市内のデイサービス事業所に同様にアンケート調査しましたところ、回答のあった29事業所のうち3事業所(10%)で実施しているということであります。
(参考)対象の通所介護事業所数(平成24年12月1日現在)
名古屋市 576事業所
豊橋市 96事業所
(質 問 4)筒井タカヤ委員
せっかく、ここまで述べていただいたのですから、もう少し県内の状況を知る意味でも、名古屋市が行った「お泊りデイサービス」の調査の内容、中味をお話しください。
名古屋市が、お泊りデイサービスの調査を行ったのには、それなりの背景・理由があるはずです。それも教えてください。
そして、その調査内容を分析して、県はどのように理解しているのかについてもお尋ねします。
(答弁)
最初に、名古屋市が調査を実施した背景・理由につきましては、
市内の事業所や介護支援専門員(ケアマネ)の方から「最近、お泊りデイの利用者が増えている。一度、実態調査をしたらどうか。」というご意見がありましたことから、状況調査を行ったと聞いております。
次に、名古屋市の調査の内容についてでありますが、
実施の有無以外に、「実施の理由」「宿泊場所」「利用者のプライバシーの保護のための措置」「宿泊担当の職員数」「利用実績」などの調査を行いました。
その結果としましては、「実施理由は利用者からの要望のため」、「宿泊場所は静養室」、「パテーション等の配置によるプライバシー保護」「職員数は1名」「1日当たりの平均利用者数は1.8人」という回答が多かったということでした。
(答弁)
名古屋市が行った調査について、県はどのように理解しているかというお尋ねですが
お泊りデイサービスを実施している事業所が約2割あり、その大半が利用者からの要望に基づくものでありますので、お泊りデイサービスには一定のニーズがあり、現段階ではこのサービスを否定することはできないと思います。
しかし、やはり介護保険制度で用意されていますショートステイや、訪問や通所と短期の宿泊を組み合わせた小規模多機能型居宅介護などのサービスの利用促進をお願いしたいと感じます。
(質 問 5)筒井タカヤ委員
本来は介護保険の対象となるショートステイとかの特別養護老人ホームなどを利用していただくのが良いと思いますが、高齢者の増加に伴い、お泊りデイを利用する人、お泊りデイを行う施設が増え、それに伴い、事故やプライバシー保護の問題が出てくるかもしれません。
現実に、愛知県内でも「お泊りデイサービス」が存在していることをもっと強く認識していかなければならないと思います。
県として、今現在、具体的にその実態の把握ができていない状況を鑑みると、何はさておいても、その実態を把握するための調査をしていただきたいが、その考えはありますか。
その他、お泊りデイについて何か対応を考えておりますか。
(答弁)
お泊りデイサービスについては、本来は国が法で整備すべき問題であると考えますが、他県ではいろいろな問題があることは認識しておりますので、まずはお泊りデイサービスの実態について、名古屋市や中核市と相談しながら、調査を行っていきたいと考えております。
その調査結果を踏まえ、国の動きも注意しながら、今後の対応について検討してまいります。
(質 問 6)筒井タカヤ委員
ご答弁の中で、「他県ではいろいろ問題があると認識している」旨の発言がありました。参考までに、どのような問題があるのか知っておられる情報をお示しください。
私どもも、そうした問題を把握しつつ、改善策を行うべきであると考えられるからです。
更に「県として名古屋市や中核市と相談されて調査をなさる」旨のご答弁でしたが、それはいつ頃までを目途とされているのか。
また、その調査結果は、私どもの委員にもお示しいただけるのかお尋ねします。
(答弁)
お泊りデイサービスの施設は、もともと夜間の利用は想定外ですので、宿泊施設用の機能は義務付けられていないうえに夜間の職員数の定めもありません。このため、大部屋に何人も寝かせ、プライバシーへの配慮がないとか、宿泊中に事故があったということを承知しております。
調査の目途につきましては、名古屋市の調査では、実際に事業所に対しアンケート調査を始めてから、調査結果が出るまでに6か月かかりましたので、結果が出るまでに時間がかかることについて、ご理解いただきたいと存じます。
いずれにしましても、年度内には調査を始めさせていただき、調査結果につきましては、委員の皆様にもお示しさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。