平成25年10月2日  発言者:県会議員 筒井 タカヤ

平成25年9月定例県議会健康福祉委員会(筒井議員質疑)

 

 

 

【県薬草園について】

 

 

(質問)筒井委員

県当局とのいろいろと各分野において協議を重ねてきました。合意するところもあれば、合意せざるところもありますが、私のいろいろ調査した資料と考える信念に基づいて以下述べてまいります。まず、最初に薬草園について尋ねてまいります。

 

知事の目玉としている薬草園は来年度に完成予定としています。大府市内の県健康の森の一隅に建設工事中です。そこで、これから問題となるのが、薬草園が開園するにあたりどのような事業体系でもって維持と管理がなされ、また、どれほどの経費が必要となるかに付いてお尋ねをしてまいります。私の知る限りでは、他の県施設と同様に指定管理に公募された事業団体による入札があると聞いています。

 

勿論、今ここに私が持っております、県薬草園パンフレットにある施設を運営するにあたり、それなりに設計、計画された維持管理体制のすでに予想されている経費も検討されているはずです。

 

今回の質問は、1に、薬草園の指定管理の公正について、2に、日本各地にある薬草園、即ち都道府県や市が設置した薬草園、薬草の道等の運営実態と維持管理費を比較検討した中での経費についての以上2点を中心にして質問してまいります。質問するにあたり、まず、私なりの県薬草園に対する見解を述べさせていただきます。

 

かつて、約20年程前から、愛知県に愛知県薬剤師会を中心に県健康の森の敷地の一隅に、広く県民も集える薬草園の建設の要望があったと聞いております。当時の薬草園の構想には、日本を代表する東京都が経営している薬草園をモデルにしたシミュレーションが下地にありました。この薬草園が愛知県の手によって作られることが実現化していることを聞きおよび、私も夢と期待を抱きました。この計画を推進する為には、県議会の協力も不可欠であろうと考えました。

 

今から数年前に、私も所属しておりました県議会健康福祉委員会の委員長に強く要請を行って、東京都の薬草園の視察を一行共々させていただきました。日本で初めて、本格的に作られた東京都の薬草園です。それなりに日本の医薬の発展にも多大な貢献をした歴史もあることを都職員の薬草園責任者から教えられました。

 

しかし、視察した季節は冬季で東京都の薬草園はなんだかよくわからない、植わってはいるものの実態がよく見えないような枯れ果てた農園を見ているようで説明を聞いていても、「そうかそうかこれが薬草園なのか」というものであり、薬草園を始めてみた喜びの実感はありませんでした。

 

参加した私共一行が注目・興味・感心を持ったのは「麻薬」成分の薬草の育成管理でした。厳重な鉄柵や警備はビックリすると共にこれにかかる経費を考えると、愛知県では麻薬と言われる薬草の育成は除外すべきだなと考えました。

 

更に、現在では各大学の薬学部でもそれぞれが既に薬草園を持つようになり、更に、学生達の薬草園での学習が必修科目から外れてからは日本一と言われるような東京都の薬草園にも学生の姿が見られなくなったと言われました。

 

 同時に、東京都も毎年1億円以上とも言われる薬草園の経費に、大赤字となる維持管理費の人件費を都庁内の他部局に付け替え対応し、薬草園を支援して来たNPO団体に一部を負担していただけるような委託で、表向きには毎年4000万円の経費のようです。これが実態であります。ただかかっている金額は一億円以上であることは間違いありません。

 

以上のような厳しい薬草園の実態を知り、大府市内の県健康の森に作られようとしている薬草園構想を私自身は県議会一般質問の場において、推進することへの疑念を表明しています。

 

今、愛知県が建設中の薬草園は「麻薬成分のある薬草」を除外したり、当初の薬草園のメインでもあった温室計画も断念をして、薬草園最大の魅力をもカットしてでも薬草園を建設中です。

 

まるで、パンダの居ない、象も、ライオンもコアラも居ないような動物園のような、これと言った魅力のない薬草園だと言う関係者も大勢います。

 

 魅力のない薬草園のようではありますが、広く県民に開放されたコンパクトな薬草園に私どもも広めていかなければなりません。そこで質問です。

 

薬草園は、薬草園基本構想に基づき平成5年から整備が開始され、その後一度事業が凍結されましたが、再び整備することとなり事業が進められているのであります。

 

そこでまず、薬草園の整備について、平成5年より開始された当初の計画と現在の計画の違いについてお伺いします。

 

 

 

(医薬安全課主幹答弁)

本県の薬草園は、「薬草」を通じて、薬の正しい知識の普及を図るとともに県民の心とからだの健康を推進する目的で、「あいち健康の森」の中に整備するものであります。

 

薬草園整備につきましては、平成5年当初、あいち健康の森公園の北西角の約3haを敷地といたしまして整備を開始しましたが、平成10年の県財政非常事態宣言により凍結となりました。その後、平成20年に構想の見直しを行い、同じ場所、同じ面積で現在に至っております。

 

整備内容といたしましては、平成5年当初は、尾張藩の御深井御薬園(おふけおやくえん)の再現を始めといたしまして、温室、管理棟、見本園からなる見学型の薬草園で、総事業費が約17億円の事業でありました。

 

現在の整備内容といたしましては、体験薬草農園の整備を始めといたしまして、薬草・薬木ゾーン、芝生広場、ボランティア交流センター・研修展示施設等からなる参加・体験型の薬草園で、総事業費は約3億円と大幅に縮減した計画となっております。

 

 

 

(質問)筒井委員

2つめです。薬草園整備は、見学型から参加・体験型へ変更されたと今お話しを聞いております。それでは、現在の整備についてどのような施設や内容を予定しているのかお伺いします。

 

 

 

(医薬安全課主幹答弁)

園内には、薬草・薬木ゾーン、芝生広場等がありますが、薬草・薬木ゾーンは、全体を五つのゾーンに分けてあり、実りや香りを楽しむゾーン、2つ目が身近な薬草ゾーン、3つ目が歴史を学べる薬草ゾーン、4つ目が薬草木を知るゾーン、5つ目がハーブ園ゾーンとなっております。

 

また、薬草園の特色としまして、ボランティアの方々に活躍していただくことを想定いたしました、ボランティア交流センター・研修展示施設等の整備を進めております。さらに、参加・体験型といたしまして、薬草を実際に育て、収穫した上で、その収穫物を利用することができるように体験薬草農園を整備することといたしております。

 

 

 

(質問)筒井委員

3つめの質問です。薬草園の維持・管理・運営に付いてお尋ねします。この薬草園の維持・管理は公正な指定管理者を選定なさると思いますが、いつ頃になるのか、答弁を求めます。

 

 

 

(医薬安全課主幹答弁)

薬草園の管理運営に関しては、多様化する住民ニーズにより迅速・柔軟に対応するため、指定管理者制度の導入を予定しております。

 

指定管理者の選定にあたりましては、部局審査会、選定委員会等を経まして指定議案を県議会に提出してお諮りいただく予定となっております。

 

従いまして、選定の時期につきましては、来年度に行うことを予定しております。

 

 

 

(質問)筒井委員

4つめです。私が大変危惧している点があります。

もともとバブル景気の頂点の時代に愛知県薬剤師会が愛知県に薬草園構想をもってきたものです。

 

こうした経緯もあって県薬剤師会に指定管理団体となるように働きかけをしているように見受けもいたします。

 

 率直に申し上げます。今の薬剤師会が薬草園の指定管理者に最善であると言える条件は整っていないとハッキリ明言いたします。

 

もともと、県薬剤師会は県内の薬剤師の地位の向上・会員の福祉向上・県民の命を守ることをもって組織された社団法人から始まり、現在では、日本薬剤師会並びに愛知県内に所在する地域及び職域の薬剤師会との連携のもと、薬剤師の倫理の高揚及び学術の振興を図り、薬学及び薬業の進歩発展を図ることにより愛知県民の健康な生活の確保・向上に寄与することを目的とした一般社団法人です。

 

医師会が准看護師、歯科医師会が歯科衛生士を育成して、自らの事業体の経営を円滑にするような形態とはまったく違うのであります。

 

 ましてや、薬草の効能や調合を体得して、漢方薬剤師として事業を行っている薬剤師は県薬剤師会の会員でもごくごく少人数であります。

 

昨今の薬業界は、以前と違って規制が緩和され、薬局の乱立・安売り競争・更に調剤薬局・病院内の勤務・薬メーカーの営業マン等が主流で、組織自体が奉仕する人員の派遣及び多額の寄付金をして、薬草園に毎年毎年貢献できるような実態はほとんど見受けられません。

 

ましてや薬剤師もほとんどが、自分の家の庭の手入れですら出来ないような人々が多く、薬草園イコール薬剤師が、維持管理が出来るなどというのは誤解であり幻想です。

 

 県は、こうした実態を正しく見極めていただきたいのです。

 

それでも今、県薬剤師会の役員・執行部が「NPO法人あいち薬剤師連合」を立ち上げて、愛知県薬剤師会としても薬草園へのあらゆる面での支援を真剣に検討しています。私もその中に入っております。

 

そのNPOに県内の医薬メーカーへの参加を呼びかけたり、県内の大学で薬学部のある学校にも協力・支援を呼びかけることを考えているようですが、県も一体となって応援が出来ないかをお尋ねします。

 

 

 

(医薬安全課主幹答弁)

現在のところ、県薬剤師会において「NPO法人あいち薬剤師連合」を立ち上げるとの情報は承知しておりませんので、確認をさせていただきたいと思います。

 

指定管理者につきましては、薬草に関する知識を始めとした専門知識を持っていることがより望ましいと考えられるため、どのような組織・団体が薬草園の指定管理者としてふさわしいか、開園後長く親しまれる薬草園として責任を持って管理運営していただけるか、などを勘案し、最適なところを選定したいと考えております。

 

そこで、今後、県薬剤師会やNPO法人等を含めまして、県内幅広く情報収集に努めると共に、薬草園の管理運営に参加意欲のある全ての団体を応援してまいりたいと考えております。

 

 

 

(質問)筒井委員

5つめ、現在、建設中の薬草園を維持管理するには、それなりの事前計画の中での予算の計画があってのものだと思います。

 

今後、毎年県から指定管理者に支払うべき予定としていた、維持管理費の計画概算は年間どれだけの人員と予算を予定していたのか述べてください。人員と予算に付いての予測です。

 

それも、どのような資格を有する人材をどれだけ配置するかによって、人件費も大きく違ってまいります。単に、薬草を育てる。一定マニュアルに従って、農園芝生広場を維持・管理して育てる。

 

他に、建物の維持・管理をメンテナンス専門業者を選定するだけならば、そんなに経費も必要はありません。

 

そのようなことを考えてみると、県が今、考えている維持・管理はどのような形態かをお話しください。

 

勿論、今後県財政当局との協議によって、薬草園の維持管理費は正式に決定されることは十分に承知をしております。

 

計画段階ではどれだけの予算を計上していたのかについてのお尋ねでありますので、正確に述べてください。

 

もし、県財政当局が、指定管理者が到底受け入れられないような必要な期待外れのような維持管理費の予算を考えていたとすれば、平成26年度に完成するであろう薬草園は維持管理者が決まらないままオープンすることとなり薬草と同時にペンペン草が育つ姿になる可能性があることを私は心配しているのです。

 

その意味でも、この委員会での議論された内容と経緯を胸に秘めて、県知事の最大の目玉の薬草園なんだから、県財政当局に対し、必ず目標とするこれだけの維持・管理費を獲得してくださればと、応援も込めての質問であります。以上が薬草園に関する質問です。

 

 

 

(医薬安全課主幹答弁)

本県の整備する薬草園は、先ほども申しましたとおり約3haであることから、面積が類似している薬草園は、東京都及び宮崎県であります。いずれも、直営で地方公務員の人件費を別としまして維持管理費を積算しております。

 

東京都の維持管理費は約4,000万円で、本県より薬草・薬木が10倍多くあり、温室、冷室があり、けしの厳重な管理を行うなど違いが大変多くなっております。

 

宮崎県の維持管理費用は約1,600万円で、薬草・薬木が本県より2倍以上多く、温室があり、試験研究費を含んでおります。

 

これら類似施設の状況も踏まえまして、本県の薬草園の特色を活かしつつ効率的な運営ができる維持管理費の検討を行っております。

 

また、維持管理の形態につきましては、指定管理者制度を導入すると先ほどお答えしましたが、指定管理者が自ら全てを実施できない事も想定されますので、例えば、施設管理は建築物管理業者へ再委託するなど、適切な専門業者へ再委託することが可能となっております。

 

 

 

(質問)筒井委員

答弁をいただいて、納得できる部分もあります。私はできるならば、公正にして指定管理ができるように公募されると思いますので、今お話いただいた、内容によっては薬草を育てていくだけの能力の部分と、建物の維持管理を含めたものについての2つの分け方があると思います。そのような分け方も妥当だとは思います。

 

私が聞きたいのは当初設計した段階での管理を考えていたかということです。やはりそれなりの建物を造るためには、収入がどれだけのものでというのは問題となってくるはずです。それは明らかにできるはずだと思う。なぜ言えないのか疑問でなりません。私は、維持管理費が大幅に下回ることがあったら困ると危惧しているのです。城山病院がそのいい例ではなかったでしょうか。

 

想定していたものはどんな程度のものですか、人員とざっくりのものをお尋ねしたいと思います。

 

 

 

(医薬安全課課長答弁)

薬草園につきましては、計画当初からできる限り低廉な費用での維持管理を目指しているところであり、ボランティアの方たちにも活躍していただきたいということがありました。そこで、今、実際にボランティアの方々にどの部分をお願いできるのか、専門業者でなければならない部分はどういうところなのかなどを含めて、同規模の薬草園を参考にしながら、現在、維持管理費について検討している段階でございますので、その点をご理解いただきたいと思います。

 

 しかしながら、管理形態はいろいろあると思いますが、いずれにしても、必要な維持管理費はしっかりと確保したいと考えておりますのでよろしくお願いしたいと思います。

 

 

 

(質問)筒井委員

しっかりとした維持管理費を確保したい、だから私も応援していると言っているのです。でも、最初の構想計画にあった管理の人員はどのくらいのものだったか、予算はどのくらいのものだったかということです。それが述べられないというのですか、我々はそれを聞く権利もないのですか。委員長どう思われますか。

 

 

 

(健康担当局長答弁)

 ただ今、担当課長からお答えさせていただきましたが、私どもとしましては面積が3haですが、先ほど主幹からもお答えをさせていただきましたが、東京都、宮崎県がほぼ同程度の面積という中で、実施計画に基づく施設の概要等を判断しますと、宮崎県がほぼ私どもに近い内容であることから、一つは宮崎県程度の額が目安になるのではないかと思っています。

 

また、実施計画に基づいて、粗々ではありますがどの程度の維持管理費がかかるかということについて相談しましたところ、宮崎県よりやや多くの費用が必要になるのではないかということも伺っていますので、そのあたりを目安にして予算要求をしていくことになるのではないかと現在考えているところであります。

 

 委員がおっしゃられますように、オープンをしてすぐにみすぼらしい、見るに堪えない薬草園になることは絶対あってはならないという風に思っていますので、きちっと管理ができる額については精査をし、要求し、長く県民の方々に親しまれる薬草園にして参りたいと考えておりますので、現段階においては、まだ正確にこれだけの予算を要求していくということを公表できる段階にはないということについてはご理解をいただきたいと思っておりますのでよろしくお願いしたいと思います。

 

 

 

(筒井委員)

 それなりに理解しました。私が一番心配しているのは、私の家内も薬剤師ですが、県が今、過去の歴史から、薬剤師会が責任をもって運営管理しろということがあるととても費用がもたない。

 

今薬剤師会そのものが2つに割れて大変です。だから、薬剤師会というものは、元々そんなに人も金もないのですよ、だから一生懸命協力はするけれども押しつけないでくださいね、ということの趣旨で今回私は質問させていただきましたのでご理解ください。