平成25年12月議会健康福祉委員会 質疑状況(病院事業庁分)
平成25年12月10日
筒 井 タ カ ヤ 発言分
【入札不調について】
(病院事業庁長の決意表明)
決意表明をさせていただきます。ただいまの健康福祉部長がおっしゃった後半部分は、全く共通のことでございます。前半部分で病院事業庁固有のことについて、私のほうからお話させていただきます。
改築事業に関しましては、個人的に、15年以上にわたって愛知県下の市民病院、例えば碧南市民病院、津島市民病院、名古屋大学病院、いろいろな病院に関わってまいりまして、審査委員までやったり、業者の選定の委員をやったり、いろいろやってきまして、それなりの経験がございましたので、こちらへ移ってからは、最初にやったのが、愛知県がんセンターの化学療法センターの増築工事であります。
あれも当初あった計画を全部撤廃しまして、最初から全部私がやり直しました。この一年間には愛知病院の緩和デイケアセンター、今地盤の整備をしてコンクリートのたたきをやっております。あれも急遽一年以内にやりました。
一方城山病院に関しましては、運悪く予定が一年間、一昨年中止になりまして延びたのが致命的なダメージでございました。どうしてかといいますと、事例は県下にいろいろございます。
私が関わった病院だけでも、実は東海市民病院と知多市民病院の合併の新しい病院作り、あれを私は3年以上前から私が委員長でやってきております。今順調に業者も皆決まってやっております。
稲沢の市民病院も同様にやっております。一番新しいのが常滑市民病院です。全部私が関わっております。設計の図面の問題から、あらゆることに関わってきまして、常滑市民病院は最後の建築業者の決定までやっております。
それで一番新しいのが常滑です。2月までは何ともなく皆ずっとうまくやれてきた。ところが3月29日に国土交通省から、先ほどから問題になっています人件費の高騰、資材の高騰がありまして、平均15.1%上げろという通達が各都道府県、建設団体に配布された。
その直後から、4月入ってすぐに、すでに工事が3分の1進んでいた稲沢市民病院でも契約のやり直しで約5億円です。常滑市民病院も仮契約は終わっていたが本契約の前に約5億円。
だいたい同じである。それだけ契約をやり直したいと申出が業者からあり、これはやらざるを得ないということになった。国土交通省から指示もあるので、それに合わせてやっている。
4月以後はほとんど不調に終わっている。それまでのは、例えば城山で言うと、1年以上遡って予算が決まっていたので、1年以上前に公告していれば、あの時代の価格で見積もっていたので不調になるなんてことは3月までは考えてもみなかった。
そういうことを私は体験しているので誰かにぶん投げてやらしたとかは一切ない。私は長い間たくさんの病院をやっているので、その経験を基にしてやってきたので、今のご時勢の変化については部長がおっしゃったとおりなため、それに合わせて慎重にやっていきます。よろしくお願いします。
【 一般質問 】
(筒井委員)
地域医療再生計画に基づいて、あいち小児保健医療総合センターを小児救急救命センターと位置づけて、2016年から小児3次救急の実施が計画されております。
2014年には、小児救急医、小児集中治療医が着任する予定となっておりますし、既に、2010年には、小児2次救急の充実のため、関連診療科、脳神経外科・整形外科・小児神経科などの医師の確保がなされております。
このようにお話しをしますと、事は順調に運んでいるように思えるのですが、私が詳細に調査した限りでは、内情はいささかかけ離れていると思われます。
小児センターは現状でも、当該地域である知多医療圏における小児2次救急までを土・日・月曜日と祝日に曜日を限って実施しているとなっています。しかし、実際には救急対応が不十分で、近隣の総合病院に依存している状態です。
その原因として、麻酔医が確保できていないことが第一に挙げられます。救急医療には手術を要することが多いことは言うまでもありませんが、麻酔医の確保ができないことで外科系救急患者を受け入れることが出来ず、事実上、救急不応需の状態が続いているという状況です。麻酔医はがんセンター中央病院を始め、他の県立病院でも確保が難しい状況が続いているのも事実だと伺っております。
しかし、未来ある子供達の健康を守るため当該地域の小児救急医療過疎を解決するために、小児センターの麻酔医を確保することは喫緊の課題であるとして、今年8月に県内の4大学病院、大規模総合病院の病院長を集めた有識者会議において、小児センターの麻酔医支援に関し各大学ならびに公的病院から支援すべきとの見解が出されました。
尚、以前には、一部病院から限られた日数ではあるものの代務医師による医療支援の申し出があったようですが、小児センターの救急医療体制全般の整備が不充分であることなどを理由にして、関連する大学から「現時点での支援は適切ではない。」旨の見解が示されたようであります。このように、小児センターから大学への嘆願は、これまで過去数年間に渡り行われていたようです。
小児センターも以後、再々の努力をしていたようですが、全く状況の改善がみられませんでした。幾度も「麻酔科医の派遣をしていただける」と期待を抱く小児センターの若手医師から見れば、なんと詰めが甘い交渉をやっていたのかと思っているのが現状です。
何らかの別の案があるのならいざ知らず、それもないまま救急体制構築が頓挫している状況を見るにつけ、これはまさに幹部職員の自覚および、院内ガバナンスに疑問があるのではないのかと、私の思いも含めて、率直に病院事業庁の幹部を通じて小児センター側にお伝えしました。
早速、この私の問い合わせをした件に対し、前田小児センター長から詳細な回答をいただきました。
前田小児センター長からは「いろいろな推測や憶測も飛びかって心配をかけていますが、なんとか来年度には、4大学の支援のもとに小児麻酔科医の核となる人材の確保が出来る可能性が高くなりました。
現在調整中である。」とお聞きしました。今回は、この麻酔医の派遣について、病院事業庁長の二村先生も大変に心配をされて直接に多くの関係者にも出向いて御尽力くださったと聞いておりますので、この問題についてどのように認識しているのか率直にお尋ねします。
また、今の情況では小児センターの麻酔科医師の件はほぼ解決ができたと判断して良いのかについてご答弁を求めます。
(病院事業庁長)
大変詳しくご調査いただきありがとうございます。実態についてお話しすると小児麻酔科医というのは他の麻酔科医と違い、人数も非常に少なく、当地区ではどこで小児麻酔科医の教育をしているかというと、名古屋大学病院では一切行っていない。
どうしてかというと、小児の心臓外科の手術を名大病院はやっていない。非常に大きな問題があって名大では小児麻酔の教育はできない。これは小児科の循環器医師がいないということがある。
それで、小児麻酔の希望者は、名大病院でのローテート研修を麻酔科については小児センターへ行って教育を受けるという逆転現象が起こっている。一方、県下の3大学でどれだけの人材がいるかというと本当にいない。
ただ一つ交渉しているのは、今筒井委員がおっしゃった交渉相手が名市大です。4大学の病院長が集まった会議で、それぞれの病院長からは前向きな協力体制の発言があったが、実際に医師を派遣するのは麻酔科の教授の判断で行われる。
名市大の病院長は協力の意思を示してくれたが、麻酔科の教授からは色よい返事が未だに来ていない。原因はいろいろある。今いるのは新しい教授です。
数年前に教授選考が行われて新しい教授が着任して人事の大幅な異動があって、大学の中に医師が非常に少ない。小児麻酔ができる医師が外へ出てしまっていて医師派遣機能を持っている当局に医師が非常に不足している。
となると、どこかの関連病院で小児麻酔ができる医者がどこかにいないかということで、そこの医師を小児センターへ送るということで話が、前田センター長の努力でだいぶ進んでいた。ところが、それも大学当局の人事の範囲内の異動なため、最終的には今のところは教授の許可が出ていない。まだ、先が少し見えないというところが現状です。
(筒井委員)
この件について、また再度質問するのは大変しづらいことであるが、これがうまくいって、麻酔医が確保されれば問題は解消する。
今回も麻酔医が確保できなければ正に深刻な状況がこれからも続くことになる。このような状況がいつまでも続けば小児センターに派遣していた名古屋大学病院の医局が愛想をつかして医師を引き上げるというような不測なことが起きたら、それこそ大変な事態となりかねないなという危惧を持っている。
小児センターの機能停止は愛知県の小児医療の砦であるという自覚を皆さんに持っていただいて、なお努力して解決をしていただきたいと強く思う。小児センターの医師及び関係者も予想以上に事の進展を心配しながら今回の結末を見守っていることを申し伝えます。何かご感想があれば。
(病院事業庁長)
4月に今東京で活躍している救急医が着任する。彼は麻酔科の標榜医も取っていて、彼が外科系緊急手術の麻酔を担当するということで話し合いがついている。現在、外科系救急がお断り状態だが4月以降はそれに対応することで現在いる麻酔科の部長とは話し合いがついている。まずは外科系救急に関してなんとか4月以降やっていこうという、少し綱渡り状態だが、そういう体制を今準備している。
(筒井委員)
数年前に、愛知県心身障害者コロニー中央病院に周産期部門を立ち上げるべく、マスコミにも報道され鳴り物入りで産婦人科を新設した際も、院内の意識改革が甚だ乏しくて、着任した産婦人科医と助産師は一年で退職して、使われることのない分娩室が残されたという事例がある。これによく似た状況に小児センターが陥ることを私は危惧しているのであります。
2016年に向けて、小児救急医療体制の確立と小児集中治療室を整備するにあたり、職員の意識改革が必要であることは言うまでもなく、また愛知県の医療計画に則ったその整備に力を尽くすことは小児センター職員の当然の義務に他なりません。
既に、これまでにデーターで成人の集中治療室とは独立した小児集中治療室の整備をされている都道府県と整備されていない都道府県とでは、小児人口10万人あたりの不慮の事故による死亡率がずいぶん違っていることが分かっています。具体的には、独立した小児集中治療室のある13の都道府県については死亡率5.5人、独立した小児集中治療室のない他の都道府県については8.0人と報告されております。実際、愛知県内で発生した事故のお子さんが静岡県にヘリコプター搬送され、一命を取り留めた一件を未だにご記憶の方がいらっしゃるのではないでしょうか。
これは、美談のようにマスコミで報道されましたが、よくよく考えますと、愛知県の非力・恥でもあります。今、私たちは、あらゆる努力を重ねて、未来ある愛知の子供達を救う体制を整備せねばなりません。小児センターの職員も含め、私たちが小児救急の砦であるという意識を共有する強い決意でもって、その準備にあたる必要があります。
今のような小児センターを鑑みる時、十分な意識改革のない小児センターの現場に、小児救急医、小児集中治療医が着任しても、先のコロニー中央病院産婦人科のように、わずかな期間で退職というようなことになれば、この先、数年、いや十数年に渡って愛知県の小児救急の為に着任する医師は今後いないと私は思われます。まさに、小児救急に関する愛知県の医療計画の破綻でもあります。
もっと、もっと厳しく今の現状を鑑み、更に真剣に取り組む必要があります。これまでの県立病院の独立行政法人化に関する件でも、病院事業庁長が述べておられるように、職員の意識改革が非常に重要な鍵となります。強力なリーダーシップ、しっかりとしたガバナンスが求められる状況において、年功序列・順送りで適切でない人材が幹部登用されることが無きよう、未来を見据えた小児医療を担う人材の抜擢・登用を要望します。
事実、現在の小児センターにおいてはこれまで通り、従来の人事を行ってきた結果、ここまでの閉塞状況に陥ってしまったのではないかと思われます。私は率直に申し上げます。
優秀な医師だから優秀なリーダーでしっかりしたガバナンスを持っているとは言えないと思います。プロ野球でも、優秀な選手が、優秀な監督になるとは言えないことは誰もが知っています。
次年度までに志ある気概と実行力ある指導性のある中堅医師、女性医師がおられるかどうかもジックリ検討され、もし、キラリと輝る人物が居たら、積極的に思いきった幹部登用を強く求めます。病院事業庁長の答弁を求めます。
(病院事業庁長)
救急医療体制の問題だが先ほども言ったように、救急医が4月から着任する予定となっているので、新しい救急医療体制が前に少し進む。医師だけでは問題があり、職員の意識の中で、たいへん数の多い職種が看護師です。
多くの看護師はコロニーの経験がある方が多く、どちらかというと慢性期の医療に非常に精通した方が多い。救急医療の経験があまりない方が結構小児センターにはいる。
そのため、救急医療の現場の経験が必要であるということでスケジュールを組んで看護師を日赤病院等の救命救急センターがある病院へ研修に出すというスケジュールが組まれている。外へ出すだけではいけないので病院の中にもそれなりのリーダーシップを発揮できるように、看護部の中枢部にそういうことができる方を招聘できるように着々と交渉が進んでいて、まもなく公表できるような一定の段階に来ている。
看護部の非常に大きな問題、意識を改革する問題は着々と進んでいることを申し上げたい。
(筒井委員)
再度お聞きするが、救急にとって重要な手術スタッフがまだまだ足らない。それに伴う、手術スタッフの看護師も特別に工面されたものがないといけないと思うが、この点についてはどうか。
(病院事業庁長)
今申し上げたように救急医療に精通した看護師が非常に少ないので、スケジュールを組んで日赤病院等を中心とした救命救急センターがある病院へ定期的に看護師を研修に回すということが組んである。それと同時に、小児の救急医療に精通した看護師の幹部職員もあるところからいただくようにしている。
(筒井委員)
小児センターには細分化された専門分野の医師が勤務していると思います。それぞれが特殊技能を持った医療の専門集団でその潜在能力は非常に高いものを持っておられると承知をしています。
しかしながら、その技能を十分に活かすことができず、特に外科系診療科については、麻酔体制の不備から治療待機時間がとても長期に及び、常軌を逸した状態に陥っていると聞いております。
手術まで3ヶ月待ちの診療科が複数あり、中には半年待ち、更にはおよそ一年待ちの診療科まであると聞きました。私の手元には小児センターの各診療科の手術待ちの一覧表を頂いております。
この様に各診療科にて数多くの手術待ちをさせている原因はどこにあるのか。
解決に向けた手法をどのように考えておられ今後どう取り組まれるのか。についてお尋ねします。
(病院事業庁長)
小児の外科系疾患は大人の場合とずいぶん違う。いまおっしゃられた「手術待ち」というのは大人の患者が病気で待つのとはずいぶん違い、小児の場合は、手術を待つと最初にきめた日付は「登録した」と理解いただけると分かりやすい。
子どもの場合は成長に合わせて手術の時期をいつ頃先にするかということを決めてやるのが一つある。例えば眼科の斜視は何年待ちというスケジュールを組んでやることがある。それから、子どもの手術は夏休みにやることが多い。
本人も学校を休まなくてもいい、親御さんも休みのときにケアをしたいということで小児センターの手術は夏休みに集中する。このため、何ヶ月待ちかということが「手術をやってほしいのに待っている」というイメージとは少し違うのでよろしくお願いしたい。ただし、緊急性のあることがあれば速やかに手術をやっていることは事実である。
(筒井委員)
今お聞きしたことは、私もそれなりに調べてみると記録があるし、理解、納得できる点もあった。現在計画中の救急病棟では手術室を現在の4室から7室に増やすということでもって、手術の件数を増やすという話も聞いている。期待はしているが、7つの手術室が稼動するまで、現状をどのように対応していくのかについてお聞きしたい。
(病院事業庁長)
予定手術は今いる部長以下のスタッフが、残念ながら部長も非常勤だが、全て切り盛りしている。そこに、この4月以降は外科系救急も取り掛かることが始まるので、4つの枠でやっている予定手術へ外科系の救急が入ると予定手術がきつくなることが少し危惧される。
(筒井委員)
そうは言っても、お子さんの手術が、治療も含めてずいぶん待たされるというのは、親御さん、親戚の者からすれば、その気持ちを量ると如何ばかりかと思う。
今お話があったとおり夏休みとかもあるでしょうが、愛知県の小児センターの手術が夏休みなどで非常に混んだりした時に、愛知県の小児センターは土曜日等もやっている。逆に平日が休みであることを勘案すると、インフラのしっかりした病院に小児センターの医療技術を持った外科医が出向いて、手術治療を行うことが考えられますが、実際、県内外の自治体で医療機関連携による技術供与・診療支援の態勢が取られているところもあります。
なお、これらは職務専念義務を規定した地方公務員法第35条あるいは第38条に抵触しないよう、所要の手続きをとることは言うまでもありませんが、是非、本県でもそのような連携体制が構築できないのかということのお尋ねであります。
具体的には、専従義務のある小児センター業務に差し障らない時間、勤務時間外について、任命権者でもあります二村病院事業庁長の許可のもと、公共の利益に資する協力を行うということで、医師に技術協力を要請しその労働報酬は当該病院より受け取って頂くというシステムであります。
他病院業務の必要性に応じて、適宜、担当医師が県立病院の専従時間から外れることが出来るような弾力的な勤務体系の形成をお願いしたいという声もありますが、これについてどうでしょうか。
(病院事業庁長)
小児の外科手術療法というのは大人よりもさらに特殊であり、手術だけやればいいというものではない。手術前治療、特に手術後の治療が大変難しい。
このため、専門的なハード・ソフト面が完備したところでやらないと危険極まりないということになる。特に、小児の手術をよその病院へ行ってやること、小児センターのようなハード・ソフト面が揃ったところでないところでやることは憚られると思う。
もう一つの大きな問題は小児センターのスタッフは定数で縛られていて現状では一人の者が通常の業務を休んでよその病院へ行って治療をやるというようなマンパワーは一切無い。
外へ誰か出られたらご本家が危なくなるという状況である。これはとてもできないと思う。
(筒井委員)
地方公務員法第38条に規定されるものについて、営利目的の私企業での兼業に関する事項がありますが、全ての医療機関は非営利となっておりますけれども、医師が報酬を得る場合は任命権者の許可が必要となりますが、県としては県民医療に貢献すべく、これらのことをしっかりと了解の上で連携をとり、連携する以上は実態を把握して、適宜助言をしていくということは、社会通念上、私は必要ではないかなと思っています。
なお、他の自治体の動向を調査しますと、やはり公務時間外における対応という形式で以て、事実上の医療連携をとっていると聞きました。また、総務省見解をふまえましても、そのように対応することで違法性を阻却できるという考えが一般的のようでありました。
医療の現場で働く医師の中には、もし派遣された現場で手術を行った後に、患者・家族から医療ミスがあったと指摘された場合、医師個人にのみ責任が問われるのではないのかと不安に思っている人がおられます。これらについて、病院事業庁長のご所見はいかがなものか。
(病院事業庁長)
よそでやって事故があった場合にどうするかという質問については、派遣先の方が責任を持つというのがルールであるので、行った人に不安を与えるということは普通はなくて、派遣を要請したところが責任を持ってやるというのが通常である。
ただ一方で何が起こるかわからないので、我々診療をやっている者は、私も何十年も前から、個人で保険に入っている。一億円の賠償責任が負える保険に個人が全員入っており、何が起こってもいいような対応策をとっている。
(筒井委員)
小児センターでは、主に緊急の場合のようでありますが、インフラはしっかりしているが小児手術に慣れていないという近隣の病院との間で協定を結び、医師を派遣して対応しているとの事でありました。
これは、派遣を業として行っているわけではなく、いわゆる労働者派遣法に抵触することにはならないと病院事業庁の担当責任者から説明をいただきました。
しかし、現場の献身的な努力を認めますが、このような連携をとる場合、医療安全面の整備は重要でありますから、そのあたりをしっかり整備しなくてはなりません。すなわち、医療行為に関連した問題の解決は医療行為がなされた医療施設で完結しなくてはならず、医療行為そのものに対する個人・法人の責任の所在については明確にしておくことが求められると思います。そもそもこうした背景から、医業が派遣労働にそぐわない職種であるという風に理解されてきた経緯があります。
「医師ひとりひとりが提携先の病院ときちんと労務契約を結び、公務の時間外に対応する」という形式をきちんととっていかないと、まさに法の趣旨に反するということになるわけです。現在の技術協力の形は、雇用契約が不明瞭で、責任の所在が曖昧です。
万が一、事故等が発生した場合において、患者さんはもちろんのこと、治療の場を提供した病院も、技術協力した医師も、さらには医師の派遣を認めた病院をも巻き込んで、責任問題に関する混乱が生じるかと思います。この際、明確に申し上げます。
医療というものは常に人命に関わる行為であり、責任の所在を明らかにしないままで遂行されることがあってはならず、雇用関係・設備協力関係などの仕組みが明確でないまま進められるということは、社会通念上、到底認められるものではございません。
また、その責任関係の整理におきましても、先の地方公務員法などの関連法規の遵守を前提に整備を進めていかなければなりません。一日も早く、病める子供達が治療を長時間待たされて、未来を奪われるということがなきよう、安心して手術をうけられるためにも、先にお話ししましたように適切な連携制度の整備、具体的には医師の専従勤務時間の弾力的な運用及び県内医療機関との連携強化に関する整備を求めます。この件に関し病院事業庁のご所見をお尋ねします。
(病院事業庁長)
先ほどの質問に返ってしまったようだが、危機管理については先ほどお答えしたとおりである。
兼業のような形で派遣することに関しては、私が着任して間もなくのことであるが神田知事から申し入れがあったことがある。県立病院の医師の給与が安い、大問題だということで、一日だけ時間をあげてどこかの施設で仕事をやる。そこで給料を稼いでくるという方法にしたらどうかという提案を神田知事からいただいたが、先ほど申し上げたとおり、定数で縛られた範囲内のギリギリでやっているため、一日仕事を休んで外へ派遣するというマンパワーに余力は一切無いので、その当時神田知事からの提案をお断りした経緯がある。
未だにこれは同じなため、たとえ法律的に可能でも現場を見るととてもできないという現状をご理解ください。
(筒井委員)
少し専門的過ぎるかもしれないが、小児センターの人たちとお話をすると、問題は開設の当初から麻酔科体制が3回ほど入れ替わりがあったと聞いている。
入れ替わるたびに改善が得られたのも事実のようだが、救急に対応できる麻酔医の確保は未だ一度も無かったと聞いている。こういった面についても是非今回の質疑の中で、抽象的な議論ではなしに、現場の声を反映した麻酔医の体制が取れれば、本当にしっかりとした機能が果たせると思うので是非ご尽力をお願いしたい。
私がすごいなと思ったのは、医師の中には自分が抱えている患者を少しでも早く治療したり、手術したり、他の病院のスタッフに協力してもらってでも助けてあげたいと言っておられる医師が複数いた。この純な気持ちに私は大変共鳴した。
小児センターの今後の展望についてどうやっていくべきかと思う。しっかりやっていただかないといけないが、また尽力されていることも知っている。ここで健康福祉部にお聞きしたい。
【中略】
(筒井委員)
小児医療を担う、医師及び病院がどんどん減少する中で、愛知県の小児センターの存在は県民にとりましては、ますます重要なものになっていることは事実である。
ましてや救急医療体制を拡充する為の第3次救急に対する期待は限りなく愛知の小児医療の希望ともいえると信じますが、小児センターにおける最近の収支の状況と将来の見通しについてであります。
私の手元にある小児センターの収支状況の資料には、平成21年度は、1億2千1百万円の黒字、22年度は3千4百万円の黒字がありましたものの、平成23年度には3千9百万円の赤字、更に平成24年度には7千8万円の赤字です。
今年度の見通しも更に赤字が増加するであろうと見込まれているようです。そこでお尋ねしますが、ここで、数年にわたっての小児センターの赤字の傾向は歯止めが効かなくなったそもそもの原因は何であるかを正確に述べていただきます。よろしくお願いします。
(病院事業庁長)
赤字の主な原因は大きく分けると二つある。一つは一般会計からの繰り入れが突然落ちたことである。
小児医療、救急医療というのは一般会計からの繰り入れのカテゴリーに入っている。ところが、24年度の一般会計からの繰り入れが23年度と比べると2億4千万円削減された。
これが赤字の大きな要因である。もう一つは看護師の勤務体系の問題に原因がある。日勤の時間帯は7対1で何とかやっているが夜勤の体制を組むのが今の看護師の数では大変難しい。
夜勤は9対1でやっていくと診療報酬の体系がよろしいところでやれるが、9対1を割るように看護師が足らない状況になると突然収益が落ちるので、いろいろと計算をしたところ夜間9対1を確保するためには入院患者数を減らさざるを得ないということで、今病床の方を70%くらいに制限して運用している。
患者を減らす、制限するという行為が、これは多分最大の赤字の原因ではないかと思う。どうして看護師が足らないかというと、定数の中の数十人の看護師が産休・育休で休暇を取っている。
常にそれぐらいの看護師が休暇を取ることを見越して定数の幅をご配慮いただけると夜間の診療体制がきちんと取れる。そうすれば黒字転換ができると考えている。
(筒井委員)
私はこうも見ている。小児救急は現行の国の医療の指針から見る限り、独立での経営がたやすく成り立つものではないと思っています。
まさに、小児医療の救急を整備・維持するためには、県が重点施策医療として真剣に取り組まなければ成り立たない。
極端な言い方をすれば、県の一般会計による負担が、即ち、県民の理解に基づく背景があってこそ最先端の小児医療行為が継続的に可能なのだと私は思っています。こうした私の見方に付いて病院事業庁長はどのように思われるか、ご所見をお伺いします。
(病院事業庁長)
大変暖かなご支援のお言葉をいただき、大変感謝しています。財政課と間もなく交渉が始まりますが、私も同じことを申し上げているが、なかなか聞き入れられていなくて、無慈悲にも何億円という削減をされている。
昨年は本当に大変だったが突然8億円削られたという経緯がある。今度どうなるかと冷や冷やものである。是非ご支援をよろしくお願いします。
(筒井委員)
他県の小児センターに対する一般会計からの繰り入れを調べてみました。100床あたりでみると、平成24年度で愛知県は7億円。
埼玉県は9億円、千葉県は13億円、滋賀県と兵庫県は7億円、独立行政法人である長野県は9億円、静岡県が13億円を一般会計負担金として支出しています。
こうしてみると、県民の人口、財政規模、そして小児の数を比較しても、愛知県は小児センターに対する支援は実に見劣りがすると云っても過言ではない。
もう少し、具体的な数字で示しますと、愛知県は平成23年度まで16億円もの一般会計負担金が平成24年度からは14億円に減額がされています。
厳しい愛知県の財政であることは承知していますが、それよりも財政危機の状態が悪いような他県と比較しても見劣りがする。愛知県の小児医療と第3次救急への配慮が出来ていないことは明らかだと思う。
県民の代表する形で送られている県議会が一致して、この小児医療及び小児センターを支援していく体制を作らなければならないと思う。そういった意味において今までずっとお話をしてきた。
センター長も東京の方に出向いて、いろいろと施設整備の状況、最優秀なところを見てきて、自分のところはどう実現したらよいか、こういうものを入れたい、ああいうものを入れたいという夢を描いているようだ。
そういった反面、我々のところがそういう風な状況とするならば、すばらしいものを見に行っても何のこともない。我々自身が、一生懸命議員が応援していかなければいけないなと思ったわけである。
そういったことを踏まえて、是非とも我々自身の努力が必要なんだということを申し上げたくてこんなに長く話をしたわけであります。
次に私が前から言っております県がんセンターの「50周年」についてでありますが、記念事業とか、いろいろな事業計画についてであります。
がんセンター中央病院に、まず率直なことを言います。総長室の隣に病院事業庁長の執務室が作られました。二村病院事業庁長に、言いにくい話ですがもう一辺聞きますが、職員からいろいろな声が聞こえてきます。
新しい総長を補佐する目的と考えている人。
50周年記念事業計画を真剣に考えてがんセンターの幹部職員と協議をする為ではないのかと考えている人。
批判的な立場の職員からは、新総長を陰でコントロールする為であると詮索をする人。
歴代の名誉総長が幾人かおられますが、この人達の部屋があって無きかのごとくで全く居づらいではないかという声もある。
そういったことも含めてお尋ねします。私が思うに、50周年記念事業を推進させる為にがんセンター中央病院の総長室の隣にあえて、打ち合わせ事務作業に専念するのに必要だと判断された二村先生の強い御意志だと考えますが、いかがなものでしょうか。
(病院事業庁長)
いろいろな噂を集約していただきましてありがとうございます。いろいろな批判をしている人がいっぱいいることは承知している。
個人に関わることがあるが、公な立場であるので、どうしてあのようなことになっているのか説明させていただく。平成19年に総長として着任するときに外山庁長からいろいろな宿題を持って来てくれと言われて引きずり込まれたのが実態である。
その時の宿題は「がんセンターを国際的に有名な病院に変えてくれ」と、「患者が全国から外国から集まる病院に変えてくれ」というような非常に大きな宿題をもらって、それなりの努力をして、ちょうど一年経った頃に、スライドで宿題の報告をやった。
確かに外国から患者を集めたし、私のところに紹介されてきた患者は半分以上が全国津々浦々から来た患者なので外山先生からそれなりの評価は得た。
ただし、外山先生はその1年で退任の予定になっていて病院事業庁長の後任を探していた。私はある日突然呼び出されて後任になってくれと言われた。総長を辞めて庁長になってくれと言われて私は約束が違うといって断った。
そしたらすったもんだやっているうちに、忘れられませんが平成20年2月9日にまた病院事業庁長のところに呼び出されて、2月9日なので多分内定が終わっていた時期ではないかと思うが、外山先生が私に言われたのは、「神田知事が認めたことであるので、これはあなたは断れません」という言い方で、無理やり向こうへ引きずりこまれる形になった。それでも私が固辞していたら、「総長の仕事をやって診療をやることが非常に大きな私の宿題だったので、それをやって2年で辞めさせてください」と言っていたのを覚えておられたので「病院事業庁長になっても、がんセンターの仕事は両方を続けることができるので両方やってくれ」ということで最終的に神田知事のところへ行って「お受けします」と返事をした。
20年以後、4年間総長は事務取扱という形でやってきた。一方その前に、1年目か2年目だったと思うが総長を辞めるということで、後任の人事を始めていて、肩たたきも済んでいたがいろいろな事情があって話が実現しなかった。
それでずるずる私が4年間総長の事務取扱をやった経緯がある。その間に総長室で何をやっていたかと言うと、もちろん診療もやっていたし、医師の重大な役目である研究も続けていた。
それではこの1年間何をやっていたかというと、この春に総長を辞めて何をやっていたかというと診療は一切やめて、手術もやめて外来もやめた。今向こうでやっているのは、時々セカンドオピニオンの要請があったときに紹介の患者が来た時に診ているだけである。ただし研究方面のことは相変わらず要請があるのでやっている。
具体的なことをいうとよく分かってもらえると思うので調べてきた。特に学会活動が多くて外国からの招請講演が昨年は6つの国際学会から要請があった。
みな招請講演なのでビジネスクラスの航空券、ホテル付きです。6学会から11演題の講演依頼があった。平均20分から60分の講演で合計400分である。1月から11月までで。
この準備は大変です。文献調べたり、スライド作ったり。国内学会は7回招請があった。平均20分から60分くらいで合計190分くらいです。
地域の講演会が7回あって1回60分なので大変な数になる。一方、論文執筆もあり英文の著書がある。アメリカからこの1年間に出た3冊の本にブックチャプターを私が書いていて3本出している。
国内の学会誌にも1本論文を書いている。そういう研究する仕事をやっているのは今の庁長執務室というところです。
そういう医者としての仕事をしてはいけないということなら私は辞めますけど、医者としての仕事を許可していただけるのであれば、こちらの病院事業庁長の部屋ではできない。コンピュータがないので。
すべてインターネット、イントラネットが繋がっている施設でないとできないので、是非この辺をお考えいただいて、批判する人はいっぱいいる。
そういうことが正しければ私は知事と相談していつでも辞める覚悟でいるので、それは是非だめであればだめというふうにご指摘いただければありがたいと思う。もっと大事なことがあって、これは科学研究で大事なことであるが、国際的な学会誌という英文のジャーナルがある。その中で9種類のジャーナルから論文の審査を依頼されている。
1月から11月までで21本の論文審査をやっていて、これは論文審査をやるのに大体2週間かかる。これもみんなネットでやる。オンラインですから。
オンラインで書かなければならないということがあって、がんセンターのような設備があるところでないとできない。図書館へ行って文献調査もやらないとそのような仕事はできない。
私はそういう仕事をあそこでやっていて夜いつも何時までやっているかは守衛さんに聞いてもらえれば分かりますが昨日も9時40分です、出たのが。それから日曜日も出てやっている。
そういうことを一切止めろというのであれば、いつでも辞めますのでご指摘いただきたいと思います。
(筒井委員)
私は二村先生の姿勢というか、こういったものを理解しない人間がいっぱいいる中で、今回の私のホームページ、委員会の情報も入っていますので、こういったものから、先生の純然たる姿勢というものを理解できると信じているので、大変聞きにくいことを聞きまして申し訳ありません。
次は院内保育のことをお聞きします。
茨城県中央病院・がんセンター併設施設を県病院事業庁 小松管理課長と糟谷がんセンター運用部長、折笠がんセンター中央病院看護副部長等と私一緒に、院内保育施設と病院を見学してまいりました。
対応してくださった茨城がんセンター副院長は名古屋市立病院における勤務体験もあり、丁重にお話しをしてくださいました。この茨城県がんセンターですら、医療用ロボットの「ダ・ヴィンチ」を今年の8月に導入をしていました。
対応してくださった副院長は愛知県がんセンターの実績から比較すると余り実績もない茨城がんセンターに何が目的で来られたのかと尋ねられることがたびたびでした。
その会話の中でとても印象に残ったのは、愛知県よりも更に厳しい財政難の茨城県が、医師及び看護師の確保があってこそ病院経営が成り立つのだと、知事及び財政当局と懸命に対峙して、ご理解いただく努力を重ねたというお話でした。
東日本大震災で震度7の被害をがんセンターの施設が受けました。その前から医療用ロボット「ダ・ヴィンチ」の導入をすでに決定していたこと、更に大震災の大きな被害を受けながらも中断していた「ダ・ヴィンチ」を導入しなければ若い医師が来ない、来なければ茨城がんセンターの未来はないと大胆に今年8月に「ダ・ヴィンチ」を完成した。困難な県財政の中、決断実行させた、茨城がんセンター幹部職員の強い信念の決意にほとほと感銘を受けました。
茨城がんセンター副院長から、「すでに愛知県がんセンターは導入をなされておられるでしょうが」の一言に本当に脳天からのキツーイ衝撃を受けましたのを覚えている。
50周年を迎えるにあたり、我が愛知県がんセンターに「ダ・ヴィンチ」はいつ導入されるのか、その見込みはいつ頃なのかをお尋ねします。又、ガンマーナイフ等その他の最新の医療機器等の計画等、今どんな交渉態度でもって知事及び副知事・財政当局となさっているのかについてもお話しください。
(経営課長)
「ダ・ヴィンチ」は、非常に高額であり、費用対効果を考えますと、前立腺がんの手術を年間で200件以上実施する必要があります。
愛知県がんセンターの実績は、年間40件前後でございまして、導入に向けては、診療報酬改定の状況などを踏まえまして、慎重に検討する必要があると考えております。
ただ一方では、将来的な高度医療への対応という観点から、投資が必要との意見があることは認識しております。また、がんセンター中央病院にはガンマーナイフはございませんが、平成18年度に整備しましたトモセラピーは放射線の定位照射が可能でございまして、ガンマーナイフを格段に超える機能を有しております。
トモセラピーがフル稼働しておりますので、平成24年度にはさらに進歩した放射線治療装置を整備しております。
いずれにいたしましても、必要な医療器械につきましては、経営状況を勘案しながら計画的に導入していきたいと思っております。
(筒井委員)
ここで提案を申し上げたいのですが、がんセンター50周年を機に広く県民や企業に寄付を求められたら、これらの医療整備の充実がより進展すると私は思います。
50年にわたる県民へのがん治療への医療貢献については必ずや県民の患者・家族の皆さんからも理解されて、また、快く寄付していただける基盤があるものと私は信じたい。
また、景気が回復している傾向にある中、県内外の企業も協力がいただけるものと信じたい。県当局は従来、原則として地方公共団体である自治体が寄付行為を受ける事についてなぜか積極的ではなかった。
私は今、危機的な財政状況にあって、県民の命を守る県がんセンターの医療整備が、立ち遅れている事実を鑑みもっと素直に率直にがんセンターの医療整備向上への協力支援を求める姿こそが今、必要不可欠ではないかと思いますが、どう思われますか。
(病院事業庁長)
寄付金でがんの研究を振興させようという目的で財団法人愛知県がん研究振興会というものがあり、いろいろな寄付の要請が来ると財団法人で受けていた。
財団法人で受けた寄付金を基にしてがんの研究支援をやってきた。法人改革で昨年、公益財団法人に切り替えた。
一方で今ご指摘のような病院事業庁が直接使えるお金はないかということがあり、だいぶ時間はかかったが、平成22年に県のルールをいろいろ調べていただき現金を直接病院の方へ寄付するという制度ができるということが分かり、以後、今は財団へ寄付することと、病院へ寄付することの二本立てとなっており、ほとんどは患者からの寄付であるが、受け皿を二つ作ってある。
ちなみに病院事業庁本体にはこの4年間で3,600万円の寄付を受けている。景気の動向に非常に左右されて景気が悪いと一気にこの寄付金も落ちたが、そういう感じで研究の支援とか、時々病院事業庁へ入ったお金では器械を買ったりしている。
(筒井委員)
私もかつて父親が亡くなったときにがんセンターに寄付をした。民間から表彰状とか感謝状をいただいた。
どこに使われているかと言ったら、今のようにどこに使われているかわからない、なんだか分けのわからない財団で。
というようなことがあって、がんセンターに寄付したのにどこなのか分からなかった。今回、今の話ではがんセンターに使われるということで直接貢献できるということであれば患者及び家族はここに寄付したことが広く分かるわけである。
そこで問題だが、是非、いつも言っているが、何でこういったことが、患者が入院したり退院したりするときに、日赤だってやっているではないですか、きちんと金額は書いていないけれども寄付をしていただきましたという表示ができないのか。
そうすることにより通るたびごとに「お世話になったんだ本当に」家内や子どもがお世話になったという思いが出てきて、「どこに寄付したらいいですか。」ということになるわけです。
今の状態を見ているとこちらが本当の意味で申し出ないと分からないということがあるので率直な意味でのご厚志があったらお願いしたいということをもっとどこかに表示すべきである。
今のままでは金を出してくれる人の方が特別な人という形になってしまっていて、感謝の意味を含めて、こういうことが表せる呼びかけの掲示はできないのか、お答えいただきたい。
(病院事業庁長)
寄付の行為に関しては医療従事者の方は委員が指摘している事案に関しては非常にナーバスに対応している。寄付者の名簿を掲示するということは患者に無言のプレッシャーとなる。あのようなものの是非については非常に大きなディスカッションがある。
私個人としては患者にあのようなものを見せることは大変なプレッシャーになると思う。このため、がんセンターにはない。
患者から相談があったときには両方こういう制度ができていると二つ書類を提示しお好きなほうを選んでくださいとお伝えする。寄付の行為は絶対に治療が完結して退院してからでないと受けない。
入院中にそのようなことをやるとよくないからである。入院中はこちらからは絶対に言わない。入院中に相談があることがあるが「退院したらこういう書類があるからお考えください」といって渡している。こ
ういうナーバスな問題があるので慎重に対応している。いずれにしても、現時点では、病院へ直接という寄付の方のほうが多い。これはやはり患者の気持ちかなと思っている。
(筒井委員)
用意はしているがあと一問とします。
県のがんセンターの看護師確保をする為に、今、早急に院内保育の検討が進められていますが、今の状況をお話しください。
更に、今後の本格的な院内保育施設をどのようにして計画・実現をしていくのかについてお尋ねします。
現在の病院事業庁では、県がんセンターでの院内保育、医師やレジデント及び看護師の宿舎をいつ頃までにどういった形で完成させるのかという発想は今、どこで、どの部署で推進計画をなさっておられるのかお尋ねします。
(管理課長)
院内保育所につきましては、早期に設置することを第一に考え、がんセンターの研究所北館の1階に整備することといたしております。
先月11月に運営を委託する業者を選定しました。その運営委託業者の意見を取り入れて必要な整備を本年度中に行いまして、来年4月には開所する予定でございます。
次に、本格的な院内保育所につきましては、今後、どこに、どのような規模で整備をするのがよいのか、具体的な計画案をがんセンターの「がんセンター中央病院看護師確保・定着緊急対策委員会」でまとめをしまして、併せて、整備計画案を策定しているところでございます。
次に、職員宿舎関係につきましては、病院の近くの賃貸マンションを、来年4月から借り上げ公舎として職員に提供できるよう、現在、がんセンターで賃貸業者と打合せを行うなど、検討を進めております。
なお、保育所や借り上げ公舎を実施するためには、当然、予算措置や規程整備が必要ですので、病院事業庁本庁各課と病院が役割を分担して、取り組んでいるところです。
(筒井委員)
よく考えていただきたいのは、1世代前とは違って、とにかく医師・レジデント・看護師・技師等の宿舎及び院内保育施設の完備は不可欠な時代なんだという強い認識を持つ必要があると思う。
こういったものに我々の愛知県は欠けていたという点を十分に心に留めるならば、総合的な計画を推進していくものをもっと明確に打ち出すべき。
50周年ということはそういった意味での新しいものを、医師、看護師、技師が皆尊重するものを作らないと成り立たないという強い思いを持ったから、今までお話をしてきた。
まだあと1時間くらいの用意をしてきたが時間の関係で今日はここまでにして終わります。次回の時はたっぷりと1番で頑張ってやりたいと思う。
総括して病院事業庁長、何かありますか。私は言いにくいことをはっきりと言いますが、やっている研究を皆が認めないと、この仕事は大変なんだと、でも、先生がいくら研究をしていても、宿舎もない、院内保育所もない、一生懸命子どもたちを救おうと思っているのに麻酔医の体制もない、毎回毎回同じことばかり言っているという感じで、ほとんど意欲が減退している。
それでも、自分は進んで休日を返上してでも子どもたちを助けるために頑張りたいという話を聞くたびに、私もやらなければいけないなという思いが強くなる。そのような思いで長くお話してきたが、少しでも皆さんにお伝えできるんだという思いで、また新たな挑戦をしてまいります。
(病院事業庁長)
大変多岐にわたる質問をしていただきありがとうございました。多くは以前から思っている病院事業庁に対するサポーター発言をしていただいているということで大変ありがたく思っている。
今回も大分細かいところまで目を光らせていただいて大変ありがたく思っている。今回議員からご指摘のことについては先ほどから答弁しているように、相当具体的なところまで物事は進んでいる。
建築以外は、建築は本当に先が見えないところにありますが、最後のことでも課長が申し上げたように具体的にやっている。前にも申し上げたが宿舎の問題は私が着任したときに筒井委員から質問を受けたことであり頭から離れない。
当時は人件費を減らせ、人を減らせの真っ赤な状態でとても建物を建てる金のことなどとても想像もできなかったので延び延びとなっていた。
以前に比べると経営状態もよくなり留保資金もなんとか30億円くらい確保できる状態で、今改善をしてきている。まだまだなところもあるためご指摘を十分に勉強して改善努力をしていきたいと思っている。よろしくご指導をお願いします。