平成26年12月議会 健康福祉委員会 筒井 タカヤ

 

1 がんセンター中央病院における患者数の減少について

 

 


質問《筒井タカヤ委員》

 

愛知県がんセンターは、昭和3912月に地方公共団体としては、我が国初めて病院と研究所を併せ持つがん医療の専門施設として華々しくスタートし、今年で50周年を迎えたが、先週の12月9日付け中日新聞には、開設当時の輝いたがんセンターについての記事が掲載されていた。

 

そこには、がんセンターの開設にあたり、当時の桑原知事が全国から一流の人材を集めるよう指示し、設備も最新のものを取り揃えて環境を整え、研究所と病院が互いに刺激し合ってトップレベルの医療を提供する魅力的ながんセンターの姿が書かれていた。

 

記事の最後は「そんな環境も少しずつ、変わりつつある」と結ばれていたが、これは、はっきりと書いていないが、現在のがんセンターの姿に「疑問符(?)」を投げかけているのではないか。

 

以前はキラキラと輝いていた愛知県がんセンターであるが、最近は、患者さんが減ってきているという話も聞こえてくる。周囲の大学病院を始め大きな病院では、病診連携の取組や、施設の建て替えなどがどんどん進んでいることから、患者さんがそちらの病院に移ってしまったのではないか。

 

1213日付けの中日新聞には、名古屋大学病院が来年4月以降に、最先端医療機能強化棟の建設を始め、がんの治療機能を強化するとの記事が載っていた。ますます心配が募るばかりである。

 

このままでは、愛知県がんセンターも、がん診療連携拠点病院の一つとしての位置づけになってしまうのではないかと危惧している。

そこでお伺いする。

 

患者数も減少傾向にある現在のがんセンターの状況について、どのように分析しているのか。

 

その対策として、他の病院のように、病診連携の強化や施設面の充実を図る必要があるのではないか。また、がん診療における愛知県のリーダー、都道府県の拠点としてどうあるべきか、しっかりと考える必要があると思うが、いかがか。

 

 

《病院事業庁長》

 

 先日の中日新聞の記事のことで、特に入院患者のことでお尋ねいただいたが、その記事は医療担当の記者が書いたものであろうか、多分違うのではないか。

患者数にはいろいろな数え方があるが、どのような患者数なのか、それをお聞きしないとお答えできない。

 

 

質問《筒井 タカヤ委員》

 

 数え方はいろいろあるのだろうが、新聞に載っていたという話をしているのである。記事では患者数が減ってきている傾向にあると書いてあったと理解した。

 

 

《病院事業庁長》

 

入院患者数といってもいろいろなカウントの仕方があって、1ベッドに延べ何人入院していたかという延べ入院患者数をよく使う。

どんどん変わる医療制度によって延べ入院患者数は容易に変動するが、病院事業庁がスタートした頃は今ある包括払い制度ではないし、患者さんの希望があれば何日でも入院できた。

 

平均在院日数も1ヶ月以上もざらであった。今は平均2週間以内であり、その計算では概算だが約半分になってしまう。

 

病院事業庁スタート時の平成16年度と25年度を比較すると約2万人減っている。4万人減ってもいいところを2万人で押えているということで、現場は努力していると数字を見るとそのような見方ができる。

 

もう一つ新規の入院患者数があり、それで平成16年度と25年度を比較すると約1300人増えている。そう考えると、今の医療制度に合わせて極めて効率的に病床を利用していると考えられると思う。

 

では延べ入院患者数が減ってきた分、新入院患者をもっと増やしたらどうだとの考えもあり、そこら辺りを今現場で努力しているところである。

 

 

質問《筒井 タカヤ委員》

 

専門的な説明をしていただいたが、私の手元にがんセンターからの手術、外来、入院の患者数の資料があるが、これを見ると頭打ちで患者数が変わらない状況である。

 

名古屋大学病院を見ていると先端的な未来を感じる取組みが進んでいるが、我ががんセンターは未だ進む方向が見出せないままで、これでいいのかと危惧してしまう。特に50周年の式典等を見て、バイオバンク等も今後の取組み方いかんでは華やかな打ち出し方は出来ないのではないかとの危惧のもとで質問をした。

 

読者の多い地元紙の中日新聞に書かれており、反響や問い合わせがあるという中から質問として取り上げただけだが、医療の専門記者が書いていないかもしれないが、言えることは、がんセンターがどのような方向に進むのか見出せていないでいるところを、私も同じように感じ取ったということである。

 

 

《病院事業庁長》

 

 先ほど、名古屋大学病院の計画のことについて回答しなかったので申し訳ないが、私は名古屋大学病院の経営委員会の外部委員であるため詳細を知っている。

例えば、昨年度も11億円の黒字が出ているが、これは独法化してから徹底的に医療従事者を増やしたので、7年間で右肩上がりに経営状態が良くなってきたもの。

 

独法化するときに国から運営費交付金が出ていたが、昨年から必要がなくなり辞退しているぐらい経営状態が良くなっている状況なので、その収益で、中央診療棟と言うが、あのような物が造れるようになってきた。

7年間で医療従事者を50%増やし、平行して収益も50%増えている。

 

中央診療棟では、手術室とICUを大量に増やし手術数を増やすことができるので、また経営状態は良くなると思う。これには、大きな要因であるが、自分のところで麻酔科医を20何人抱え、関連病院には派遣をしていないことがある。

これで手術はどんどん増やせられる。医師のコントロールタワーである大学病院だからできることである。

 

私が愛知県に着任して7年になるが、名古屋大学病院はがんセンターの部長が退職しても後任を派遣してくれない。

大学で医師を抱えることにより経営状態が良くなっているということは、経営委員会で私は大分指摘をしている。

 

関連病院で経営が悪くなっている分、名古屋大学病院が吸い上げているのではないかと思うぐらいである。全国の国立大学病院は独法化してから競争が激しいため、マンパワーを確保して新しい建物を増やしているわけで、実態はそういうところにあることをご理解いただきたい。

 

 

質問《筒井 タカヤ委員》

 

 50周年式典でいろいろ資料をもらい、病診連携のパンフレットも貰った。50周年に向けての取組み方針の一つとして作られたのだろうが、いつも私は、がんセンターは病診連携の部分が弱いのではないかと思っており、病診連携の強化は組織的に必要だと思う。

 

医師も取り組んでいるが、事務方の強化を図らないとより進むことはないのではないか。病診連携を進める上で、組織としてどのような強化が必要と考えるか伺う。

 

 

《病院事業庁長》

病診連携について、先ほどのご指摘のとおり患者数が落ちて横ばいになった時、院長と患者数を上げられないかと大分話しあい、私から院長に病診連携をもっと強化すべきと提案した。

 

紹介いただいた診療所等の医師について調査をしたところ、がんセンターに紹介すると1ヶ月以上待たされるという間違った噂が医師会の方に流れているのが分かった。この改善策として、毎年行っている病診連携の協議会に、診療所の医師にたくさん出席していただくよう努め、そこで、1ヶ月以上も待つようなことはほとんどなく2週間ぐらいで入院できる等しっかり情報を提供するよう努めた。

 

また迅速に診療所に情報を提供できるようにホームページで各診療科の入院までの待ち時間を分かるようにしたり、いろいろな手段で連携を強化してきている。現場は努力していることをご理解いただきたい。

 

質問《筒井 タカヤ委員》

 関係者と交流して話をしてみると、他の病院も発表会等いろいろやっており、その後にパーティーもあるとのこと。ところががんセンターとかでは、政治も一緒だが、懇談会のような金のかかるものにはあまり出ては行けないとのことで、診療所の医師達と親しみやすい、キャッチングというか人と人との交流が深まらないとの声を聞くが、これも適宜必要なことではないかと思うがいかがか。

 

 

《病院事業庁長》

誰が言っているのか発信源を知りたい。その人はその会に出ているのか。私は出ているから知っている。

 

パーティーや懇親会はどういう事をやったら言うのか。がんセンターで行う時は、立食だが飲食はできる。自分が出ているのだから間違いはない。だから情報源は不明確ではないのか。

 

 

質問《筒井 タカヤ委員》

 

 これも交流して直接聞いた声であったから、この場で投げかけただけであることをご理解いただきたい。私はそういう事が頑なでなくてもよいのではと思い話をしたが、今また生の声を聞かせてもらったので、いろいろ確認等してまいりたい。

 

 

2 がんセンター中央病院のバイオバンク事業について

 

質問《筒井 タカヤ委員》

 

 

愛知県がん対策推進条例18条の「研究の推進」に関する質問で、同条の1にある「愛知県がんセンターの研究の促進のための施策」について伺う。

 

平成2610月に行われた、愛知県がんセンター50周年記念式典に参加して、私は改めてがんセンターの研究レベルの高さ、全国への発進力の強さを実感した。また、この記念式典では、今後、がんセンター研究所と中央病院が一体となって、患者さんのDNAなどを貯える、バイオバンク事業を進めることが発表された。

 

同センターが、多くの県民の願いであるがんの克服に向けた研究を、さらに前進させるためには、バイオバンク事業をがんセンターでも早期に開始し、県内外の大学等のバイオバンクとの共同研究体制を進めることが、私も必要と思う。

 

そこで伺うが、本件は、平成26年9月の健康福祉委員会において、がんセンター研究所の生物工学棟の改修の件とからめて、病院事業庁長から、その意気込みをお聞きしたが、具体的に来年度から、どのような体制でこれを実施する計画であるのか。また、そのために、来年度がんセンターとして、何にどのような規模で予算要求しているのか。

 

また、国立がん研究センターなどの国内のバイオバンクに負けない、充実したものにするには、当然のことながら、それに見合った人員配置が必要になるかと思うが、どのように考えているのか。

 

 

《病院事業庁長》

 

前回の委員会でご質問いただき、その時は施設の改築か改修かとのご質問であったが、とても改築する資金はないので改修であろうとお答えした。

 

その後調査したところ、改修でも1億円ぐらい掛かるとのことが分かった。バイオバンクの利用のときの検体等は既に2万件ぐらい既存のものがあり、研究所疫学部長が全国規模で20年程の規模のリサーチの班長を務めていることもあり、今後大量の検体の保存が必要であろうから、バイオバンクを成功させたい。

 

 また、今、部長職の選考を行っており、先日1人大変優秀な人に来ていただくことに決まった。まだ他の欠員部長の選考中であるが、部長が全員揃ったところでそれぞれのニーズが上がってきて、そこから更に詳細に現場でどのように使うのかという事が分かってくるかと思う。

 

 もう一つ大事なことは、コメディカルのスタッフを充実させることである。いわゆる研究補助の方である。これに関して例にも挙がった国立がんセンターは、常勤で大量の方がいる。

 

臨床研究においても、CRCといって患者さんとの間に入ったりする薬剤師や看護師の資格を持ったスタッフを揃えないとなかなか出来ないのだが、国立がんセンターではいるが、愛知がんセンターでは0であった。非常勤を自前で雇っていたが、治験等で年間5億円ぐらいの収益があるとの数字を出してようやく常勤で補充してもらったが、まだまだ国立がんセンターに比べると桁違いに少ない。

こういうのは予算要求しても財政課で全部落とされてしまう。だから私達に言うより愛知県の金庫番の方に議員の方から言っていただけると大変助かる。

 

先日の決算特別委員会でも私達が要求していないとのような質問があり、言わせてもらったが、私達はやりたい事がいっぱいあるが財政課でほとんど落とされて実現していないのである。総務委員会かなにかで言っていただけるとありがたいと思う。

 

 

質問《筒井 タカヤ委員》 

 

 50周年のDVDをいただいて何回か見たが、大変できの良いものであった。バイオバンクの位置づけ、当面のがんセンターの要であると言わんばかりのことであったが、それを県の財政、副知事も見ておられた。講演を聴き県民の命を守ることに対する重要な位置付けをがんセンターが果たしてきたことを学んだ。今の話のとおり病院事業庁長はそういったものが必要だから要求もしているが、財政当局には、とのこと。

 

財政当局は県民の命を軽んじている、県の指導者がそういう事にまだ目覚めていないのだと理解して働きかけをするが、こういった事は統括する副知事がいるのだから、財政当局と真剣に話をしてほしい。

 

私も副知事にも財政当局にも今の議論の話をしていくが、言える事は、あの当時あんなにお金がなかった時代にも、輝くために我々の先輩達は取り組んだ。我々は今その姿勢が無いことを反省して、取り組まなくてはいけないと思った。

 

 

《病院事業庁長》

 

 最後の言葉が大変身にしみてありがたいと思う。

 当時のがんセンターに執行されていた金額がどれぐらいであったか、当時のことを私も知っているが、県の有数の金食い虫だと外部で言われるぐらいのお金が投下されていた。今とは全然違う。

 

当時ぐらい投下してもらえれば、今のスタッフがいれば相当な事ができると思うので、ぜひお願いします。

 

 

質問《筒井 タカヤ委員》

 

 当時はどこの病院もお金がなかった。だから総力を上げて県民の命を守る姿勢でもって県ががんセンターを造った。

 

今は見渡すと大きな大学病院等相当数がやっているので、この辺でもう輝かなくてもいいのではないかとの状況があり投入しないとの姿勢が見受けられるとも思うが、いかがか。

 

 

《病院事業庁長》

 

 大学の医学部長等で国際的がんの研究で著名な2人がいるが、いずれもがんセンターで実績を積んで大学に移った。それぐらいの人材をがんセンターは育成している。そういうところに更なる投資をしないで、定数削減で研究補助員を減らし、今では手足をもぎ取られた気分だ。

 

 病院と一体になった研究をするように2年前に当時の研究所長に言い、この2年間でその方向になってきた。新しい医療の開拓のためにはそういう研究をする人が必要で、今の部長はそういう視点で選考している。だから研究補助員が充足されれば、昔削られた分を戻してもらえれば、研究の活動が上がると思う。お金の掛かる話でもあり応援をよろしくお願いしたい。

 

 

 

3 がんセンター中央病院敷地にある東名古屋画像診断クリニックについて

 

 

質問《筒井 タカヤ委員》

 

がんセンター中央病院の敷地にあるPETCTの装置を設置する東名古屋診断クリニックについて伺う。

 

この施設は、民間の資金力を活用して、がんセンターの敷地内にPETCTを設置している施設であるが、この装置を利用してより多くの患者さんに画像診断を行っていくため、クリニックが建物の拡張を計画しているとのことである。

 

この計画の実現により、最先端の医療設備によるPET検査をより多くの患者さんが受けられるようになるので、大変すばらしいことだと思うが、敷地使用料に関してがんセンターとクリニックとの間で話がまとまらず、暗礁に乗り上げているということであった。

 

本件については、平成26年9月の健康福祉委員会において、「クリニックとよく話し合って、計画を前に進めて欲しい」と病院事業庁長にお願いしたところ、がんセンターの総長、病院長と、病院事業庁長ご自身も、直接話に入って進めていく予定であるとのことであった。

 

そこで伺うが、その後、この案件は解決したのか。

もしも、まだ解決されていないのであれば、なぜそんなに時間がかかっているのか、理由をお聞きしたい。

 

 

《病院事業庁長》

 

 前回お話ししたとおり、先方の担当者とがんセンターの事務方との話しがされていたが、私が再調査をさせてもらった。専門的知識を持った者がやらないと法に抵触することもあるので私が介入した。

 

 私と総長と院長の3人で、先方と正式に、公共の財産を使用するにはどういう方法があるのか、そのルールブックの話をさせてもらった。先方もがんセンターのホームページから図面の研究をされていたようだが、不十分なところもあったので、その辺も説明させてもらった。

 

 今は、金額について先方からの考えを待っている状態である。当方も膨大な使用料を請求するようなわけではなく、法律に則った数字を入れてもらえればよいがと思っているところである。

 

 

質問《筒井 タカヤ委員》

 

 病院側も患者側もこういった施設の早期実現を望んでいることは間違いないと思うので、課題があるのならば、病院事業庁長も含め、よくよく解決に向け、更にご尽力いただきたいと要請させていただく。

 

 

4 がんセンター中央病院における金融相談について

 

 

質問《筒井 タカヤ委員》

 

 以前、病院内に、中立的な立場で暮らしやお金に関する相談を受け付ける「金融コンシェルジュ」を設置する動きが広がっているという新聞記事(H26.3.3産経新聞)を読んだが、皆さんは「金融コンシェルジュ」について、ご存じであろうか。

 

設置を進めているのは、「日本ファイナンシャル・プランナーズ協会」(東京都港区)というNPO法人。

 

例えば、病院に入院することとなった患者さんは、病気をきっかけに、治療費や入院費など医療にかかるお金の問題はもちろん、老後の生活費や万が一の場合の相続のことなど、医療以外の生活全般についてのお金に関する悩みを抱え、どこに相談すればいいのか分からないという人が多いのではないか。

 

「金融コンシェルジュ」の役割は、中立的な立場で、生活全般のお金の悩みの解決に向けた手助けをすること。具体的には、家計のやりくりのコツや一般的な金融知識を伝えることで、今後の生活設計や資産形成を考えるきっかけにしてもらうことである。

 

そこで伺うが、今すぐこのNPO法人の「金融コンシェルジュ」を置いたらどうか、ということではないが、愛知県がんセンターとしては、こういった患者さんの悩みについての対応を、どのように考えているのか。

 

 

《病院事業庁長》

 

 ご質問になられたのは新聞の記事のようだが、そういう事をやっているのはどのような病院であろうか。どのような病院だとそのようなファイナンシャルのニーズが生まれてくるのかご研究いただいたのか。

 

 僭越ながら新聞記事を送っていただいたので調べさせていただいた。それらの内の一つの600床ほどの大きな病院は、一般病床は百何十床で、後は介護や長期療養のケアミックスの病院であった。他に無料診療を行っている病院もあった。大阪の病院であり、大阪には地域によっていろいろな所があるので無料診療を行っている所があり、そこもその一つであった。

 

 ケアミックスでやっているところだと、いろいろな人がいて、大部分が療養型であり、一般病床は25%しかない。このような病院ならばファイナンスのニーズが出てくると思うので、ニュースになるのかもしれない。

 

 一方、がんセンターでは、支払いの事よりももっと大事ながん患者さんの就労を支援する業務があり、これは国の施策でも打ち出されていること。社会保険労務士に入っていただいて退院後の就労支援を行っているし、先ほど言われたいろいろな事に関しては、医療ソーシャルワーカーが以前からおり、相談支援センターもあり、患者さんが相談をできるようになっている。

 

いわゆるファイナンスのことまでやる人材は備えていないが、そのようなニーズはあまりないかもしれない。ともかくがんセンターとして必要な人材は揃えていると思っている。

 

 

質問《筒井 タカヤ委員》

 

 それぞれの病院で、それぞれの課題に通り組んでいるのは分かる。社会保険労務士による就労支援にも取り組んでもらっているが、がんの治療の効果が上がるほど患者さんがもう一度復帰する場合はいろいろな課題がある。

 

それに対する助言や指導、不安に対する相談などが必要だと思い、そこら辺には対応してくれていると評価するが、様々な患者さんがいる中で、資産の問題とか、がん患者さんに高齢者が多いならば年金の問題とかいろいろ相談が伴ってくるから、そういった事業があるということを見つめて、どういう考えをするかという点で質問をした。

私も十分に課題として取り組んでいないため考えをお聞きしたところである。

 

 

5 庁舎内の喫煙に関する意見

 

 

《病院事業庁長》

 

 がん対策推進条例のことで、ぜひ当委員会で認識していただきたいことがある。今お聞きしていてがん対策が遅々として進まないのを議員の方のお力でなんとかならないかと思った。条例を作る際に大見議員とずいぶん話し合いをしたが、受動喫煙のことについて記述があいまいになっている。受動喫煙で年間数万人の人が亡くなっている。これは他人が亡くなることで極めて重大な問題である。

 

 名古屋市庁舎は禁煙となった。その時新聞で、名古屋市庁舎から愛知県庁へ煙草を吸いに来る人がいるのではないか等と書かれたようだが、問題と思った。がん対策推進条例ができる何年も前から、国の方では官公庁は禁煙と書いてあるのだが、県の条例はあいまいな記述となっており、残念である。名古屋市にできたのになぜ愛知県でできないのか、何万人も死んでいる事実を考えると許してはいけないこと。条例の話し合いの時に、禁煙にしたら税収が落ちるとの意見が出てびっくりしたが、税金の何倍も病気になる方、亡くなる方の医療費に使っている。

 これは、議員の皆様方に先頭に立ってやっていただかないとできないことかと思うので、ぜひお願い申し上げる。

 

 

質問≪筒井 タカヤ委員≫

 

続いて、認知症に関してお尋ねをいたします。

平成26年11月26日付けの読売新聞に、「自分が認知症になった場合の生活について」読売新聞社が実施した全国世論調査(1054人が回答され、回答率は62%)の結果が掲載されました。

 

この調査によりますと、「今の日本では、認知症になっても、住み慣れた自宅で暮らせるか」との質問に、76%の人が「そうは思わない」と回答をされ、「そう思う」と回答をした人の16%を大きく上回ったとのことであります。

 

また、「そうは思わない」理由として最も多かった「家族に迷惑がかかるから」という回答を選んだ割合は、年齢層が高いほど大きいとの結果でありました。

 

次に、「自分が認知症になったらどうしたいか」の質問には「介護施設に入りたい」と回答した人が45%で、「自宅で暮らしたい」と回答した35%を上回っております。

 

「自宅で暮らしたい」と答えた人も、「認知症になったら自宅で暮らせるとは思わない」と6割の人が考えているとの結果でありました。

 

本県においても、平成24年度に実施した第2回の県政世論調査において、認知症に関し、「高齢期に介護が必要となった場合の過ごし方について」として、調査を行い、概ね読売新聞の結果と同様であったと聞いております。

 

認知症に関して一般の県民がどのように考えているかを把握するための意識調査も必要なことであり、こうしたことに一定の評価はいたしますが、これだけでは、認知症高齢者の状況を十分把握することはできていないのではないでしょうか。

 

本県は、地域包括ケアの実現に向け、様々な認知症対策に取り組んでおられると聞いておりますが、認知症高齢者やご家族のニーズに適確に対応するためには、認知症の進行状態や生活状況、どのようなサービスを利用しているのか、また利用できるのか等について詳しく調査し実態を把握する必要があります。

 

また、同時に名古屋市などの都市部や東三河山間部など地域における課題も異なると思いますので、例えば認知症高齢者グループホームやサービス付き高齢者向け住宅なども対象として地域別の課題やニーズを把握することも必要であります。

 

そこでお尋ねいたします。

 

認知症になっても安心して暮らせる愛知の実現を進めていくうえで、認知症高齢者の実態調査を行うことについて、県の考えをお伺いします。

 

 

 

≪高齢福祉課長≫

 

県内の各市町村におきましては、認知症の状態に応じた適時・適切なサービス提供の流れを住民の方々にお示しする「認知症ケアパス」を、本年度末を目途に作成を進めておりまして、県では、作成に当たっての説明会や現地指導などを実施してきたところでございます。

 

この「認知症ケアパス」につきましては、地域の認知症高齢者について、「認知症の進行状況」や「生活実態」、「利用されているサービス」、「今後、利用を希望されているサービス」、更に、「地域でどういったサービスがどの程度利用できるのか」、「その実際の利用状況」などを調査した上で、作成することとなっております。

 

県といたしましては、この市町村の調査結果をとりまとめた上で、分析を行い、必要に応じて、別途、事業所への調査などを実施し、県全体の認知症高齢者の実態はもとより、地域ごとの課題の把握にも努めまして、認知症施策に生かしてまいりたいと考えております。

 

 

  要望≪筒井 タカヤ委員≫

認知症高齢者数は今後も増加していくことが想定され、認知症対策は今後一層力を入れて取り組んで行く必要があります。

 

そのためには、まず県として、実態の把握をしっかりと行っていただき、ニーズに即した対策を行っていただくことを要望します。