私は、前回の9月議会建設委員会において、県営住宅の空家が「9800戸」以上ある現状は何故かについて掘り下げました。

 

更に県営住宅の自治会が共益費を徴収する形態が住民の超高齢化や外国人入居者の急増もあって近いうちにシステムそのものが崩壊寸前であることをお示しし、早急に改善の必要のあることを勧告しました。

 

これらの諸問題を改善するには、県財政当局の協力なくして一歩も進むことはないとの県当局と建設委員会に所属する議員もお互いに理解をしました。

 

11月12日付けの中日新聞の記事でもこの一連の質疑の一部が報道されたこともあって、県民も今の県営住宅で問題になっていることを初めて知った人も大勢いたと思われます。

 

そこで、建築局長に率直にお尋ねします。あなたは「9800戸」もある県営住宅の空家の解消、更に共益費の徴収改善は今や待ったなしであるとご認識をいただいたことと存じます。

 

もう既に平成28年度予算に向けた重要事項について、財政当局と折衝が始まっていると聞き及んでおります。県建築局の担当者も深夜までご苦労をなさって懸命に資料作成に尽力されています。

 

こうした県職員の努力が実り、県民にも社会的セーフティネットとしての大きな役割を有する県営住宅となるように強く求めます。

 

今一度、建築局長が不退転の心意気で折衝をされることの決意をお尋ねします。

空家対策の目標数値及び共益費の徴収改善について、単なる「頑張ります」の表明だけではなく、これだけは実現せねばと思うものがあれば具体的に述べていただきたい。

建築局長の答弁を求めます。

 

 

(建築局長 答弁要旨)

9月の建設委員会の場で、空家の問題、それから共益費の問題についての質問をいただきました。空家の問題につきましては、大きく要因が2つあると考えておりまして、一つは退去をされた後に、維持修繕費が十分確保できていなかった中で、なかなか募集に繋がらなくて、空家になったという事態が一部ありました。

 

これにつきましては、一昨年度から予算を確保して改善を進めてきており、引き続き来年度につきましても十分な維持修繕費を確保していくよう、財政当局に要求し、調整しているところでございます。

 また、もう一つは老朽化が進行しておりまして、その影響で空家が発生してきている団地もございます。これにつきましては、住宅の維持修繕ももちろんですけども、長寿命化改善や建替が必要になってまいります。こちらにつきましても合わせて要求をさせていただいているところです。

 

 共益費の問題につきましては、自治会へのアンケート等を進めており、その結果が概ねまとまってきました。

 

また個別に自治会へのヒアリングも行うとともに、先進県の事例等も調査しております。今年度中にしっかりと建設部の方針を固めた上で、予算も必要になってまいりますし、条例改正等々も必要となりますので、来年度以降、関係部局と調整をしっかり進めるよう指示しております。

 

 

県営住宅管理室長の答弁もお願いします。

 

 

(県営住宅管理室長 答弁要旨)

県営住宅の空家対策と共益費の取組状況についてでございます。局長が答弁したとおりでございますが、具体的には空家対策につきましては、平成28年度当初予算要求におきまして、年間に発生すると見込まれる退去戸数相当分の空家修繕費を要求しております。

 

引き続き空家修繕に取り組み、募集戸数の確保に努めるとともに、老朽化した住宅附帯設備の改修、更新費用につきましても併せて予算要求しているところでございます。毎年度、財政当局とは議論を重ねているところであり、今後もしっかりやっていきたいと考えております。

 

共益費につきましては、現在、県と住宅供給公社の担当職員によるワーキンググループで、私も先頭に立って参加させていただいておりまして、アンケート方式による自治会の共益費徴収の実態調査、大阪、東京等の先進県の事例調査を行っております。

 

本県において、共益費を公費として徴収する場合の課題を整理するとともに、徴収する仕組みを検討しているところでございます。今年度は部局内でしっかりと共益費のあり方の検討を実施し、来年度以降に、財政当局など関係部局と協議を重ね、検討を進めてまいります。

 

 

前回の建設委員会で私は県営住宅の計画修繕についても質問をいたしました。努力して予算確保に努めていくという建築局長の前向きな答弁をいただきました。

 

今、来年度の予算編成を踏まえ目下努力されておるとの答弁をされましたが、今回は県営住宅入居者の安心安全、ライフラインの維持管理に密接に関わりのある重要な設備である、エレベーター、汚水処理施設、給水設備の3つを具体的に取り上げ、県の対応をお尋ねします。

 

まず最初に、県営住宅のエレベーター、汚水処理施設、給水設備それぞれの設置状況をお示しください

 

 

(県営住宅管理室長 答弁要旨)

平成27年11月1日現在のものでございますが、県営住宅におけるエレベーターは、全ての高層棟と片廊下式の中層棟をあわせまして163団地に520基を設置いたしております。

 

汚水処理施設につきましては、公共下水道に接続されていない45団地で61施設がございます。

 

また、給水設備につきましては、県が保守管理する水道施設といたしまして、281団地に610基の受水槽がございます。

 

エレベーター、汚水処理施設、給水設備は、入居者が快適、安心安全に暮らしていくためには常に適切に維持管理していかなくてはならない非常に重要な施設であることは言うまでもありません。

つまり、日頃の保守点検を適切に実施し不具合がないかどうか常にチェックが欠かせません。

 

予算がなくて計画修繕費の確保がままならない中、施設の更新もされず、老朽化していく一方の施設が本当にちゃんと機能しているのか、故障ばかりしているのではないか、また、いつか動かなくなってしまうのではないかと心配している入居者の声が聞こえてきます。

 

そこで、質問です。現在これらの設備をどのように保守点検を実施しているのかお答えください。

 

 

(県営住宅管理室長 答弁要旨)

最初に、エレベーターの保守点検の実施状況についてでございますが、住宅供給公社、エレベーター設置会社および自治会の三者で三者契約を締結し、日常の維持管理をしております。

 

住宅供給公社と自治会の役割分担でございますが、住宅供給公社はエレベーター本体の維持保全に必要な法定点検や機械の修理、部品の取り替えなどの費用を負担し、自治会は日々の使用のために必要な調整や清掃、消耗品の交換などの費用を負担しております。

 

法定点検については年1回、任意点検については、遠隔装置付きのエレベーターは月1回、その他のエレベーターについては月2回の点検を実施しております。

 

次に、汚水処理施設の保守点検の実施状況についてでございますが、汚水の処理戸数に応じて点検回数が決まっており、199戸以下のものは週1回、200戸以上500戸以下のものは週2回、501戸以上のものは、ほぼ毎日で月25回実施しております。また、水質検査については月1回実施しております。

 

費用負担につきましては、水質検査および点検に要する費用については住宅供給公社が負担し、汚泥の抜き取り、消毒剤の投入にかかる費用については自治会が負担しております。

 

最後に、給水設備の保守点検の実施状況についてでございますが、水道水の水質検査につきましては、6月から9月は週1回、その他の月は月1回の水質検査を実施しております。

 

費用負担につきましては、住宅供給公社が全額負担しております。

 

現在、県営住宅の管理戸数のうち約30%が、建設から40年以上が経過しており著しく老朽化が進行している状況となっています。エレベーターなどの設備についても同様に老朽化が進行していると考えられます。

 

 

当局の今の説明では、適切に保守点検を実施し、維持管理をしているとのことではありますが、耐用年数などを考えれば、保守点検や一時的な修理だけでは限界があり、優先順位を定めて計画的に設備を更新していく必要があると考えられます。

 

特に、エレベーターについては、メーカーのメンテナンス部品の供給が終わってしまって、不具合があっても修繕できず止まってしまうのではないか、との不安の声も聞かれます。エレベーターの停止や断水などにより入居者の日常生活に支障を来すような事態はあってはなりません。

 

そのような事態を防ぐため、県として、計画的に附帯設備の改修・更新を実施していく必要があると考えますが、今後の改修・更新について、どのように対応されるのか答弁を求めます。

 

 

(県営住宅管理室長 答弁要旨)

附帯設備の改修・更新についてでありますが、最初に、エレベーターにつきましては、設置から相当年数が経過していることを踏まえ、老朽化の状況、メンテナンス部品の供給状況を勘案し、エレベーターを駆動するための電動機や巻上機、制御盤などの基幹装置の取り替え、扉が開いたまま動かないようにするための装置や地震管制装置の設置など、設備の更新とともに安全性の向上を図る改修を、平成25年度より計画的に進めております。

 

25年度は2団地5基、26年度は5団地14基を改修しており、今年度は8団地

26基の改修を予定しているところです。

 

来年度以降も引き続き計画的に改修を進めてまいります。

 

 次に、汚水処理場につきましては、従来から保守点検の状況等から、ブロアポンプやブロアのエア配管、制御盤の取り替えなどの改修を毎年4施設から5施設程度、実施してきております。

 

 最後に、給水設備につきましては、これまで揚水ポンプや高架水槽について応急的な修繕で対応してまいりましたが、衛生面や費用面でメリットの大きい、受水槽から各戸に加圧給水ポンプで直接給水する加圧切替方式に切り替えるため、平成28年度当初予算において措置できるよう、現在、財政当局と折衝しているところでございます。

 

 今後も県営住宅を適切に維持管理するために必要となる経費について、その必要性をしっかりと議論を重ね、予算確保に向けて努力してまいりたいと考えております。

 

 

県営住宅の計画修繕に対する今の県の対応状況は、住宅に不具合のある都度、応急的、緊急的に修繕するといった対応に終始しており、9月の建設委員会でも申し上げたが、とても計画修繕と呼べるものではない状況になっている。

 

「予算がないから計画的に修繕できない。やむなく具合が悪くなった都度、応急的に修繕する。応急的な修繕であるから根本的によくならない」といった悪循環に陥っている。

 

エレベーターにしても、メーカーからメンテナンス部品がなくなりますよとの警告を受けてやっと改修にとりかかっているに過ぎないのではないか。

 

現在の状況を放置すれば、県営住宅における附帯設備の長期の稼働停止等の事態が必ず生じることになる。負担のしわ寄せは入居者へ最終的に及ぶことになる。

 

こうした事態を未然に防ぎ、県営住宅の管理者としての責務を果たしていくために、計画修繕に必要な予算の確保に向けて、しっかりと財政課と議論していただく必要がある。

 

再度、確認のために、平成28年度当初予算の財政当局との折衝に向けての建築局長の考えを伺います。

 

 

(建築局長 答弁要旨)

県営住宅を適切に維持管理していくうえで、計画的に修繕していくことは非常に重要であると私も考えております。

財政当局としっかりと議論し、必要な維持修繕予算を確保するよう、努めてまいります。

 

期待しております。2月の建設委員会ではしっかりとその成果を示していただきたいと思います。

 

次に、県営住宅の家賃などの納付方法について伺いたい。

まず、最初に、県営住宅の家賃は、現在どのような方法で入居者が納付しているのでしょうか、お答えください。

 

 

(県営住宅管理室長 答弁要旨)

家賃などの納付方法については、現在、銀行及び郵便局を利用した口座振替と納付書を入居者に送付した上で、入居者が金融機関に行っていただいて現金で納付する直接納付があります。割合といたしましては、口座振替が約80%、現金納付約が20%となっております。

 

県営住宅入居者のうち約2割の方が現金納付とのことであるが、その方々たちは、家賃をコンビニエンスストアで現金納付できるのでしょうか、お答えください。

 

 

(県営住宅管理室長 答弁要旨)

県営住宅の家賃納付につきましては、現在、コンビニエンスストアでの取扱いは出来ないこととなっております。

 

入居者から、今時、コンビニエンスストアで納付できないのは不便だ、何とかしてほしという声を聞いています。

 

銀行や郵便局は県営住宅の近くにない場合が多いのです。銀行や郵便局の数に比べてコンビニエンスストアの数の方が圧倒的に多いのですよ。入居者の中には昼間は働いていて、銀行や郵便局に行く時間がないとか、車を持ってないので遠くの銀行に行けないという方も多いのではないでしょうか。

 

コンビニエンスストアならば、24時間営業しているところもあるし、仕事の帰りやちょっとした買物のついでにコンビニエンスストアによって振り込みができるなど入居者にとっては何かと便利なのです。

 

県に収める自動車税でも平成17年度に既にコンビニエンスストアでの納付ができるようになっており、平成26年度からはクレジットカードでも支払うことができるようになったと聞いております。

 

社会は日進月歩で大きく変化しています。24時間営業のコンビニエンスストアなどは、今や当たり前であり、各種税金などの納付金をコンビニエンスストアで納付するということも当然のこととなっています。

 

現在、コンビニエンスストアでの各種公共料金の振込が可能な状況となっているなかで、県営住宅の家賃の納付が未だにコンビニエンスストアで出来ないことは、不思議でなりません。

 

家賃等の滞納者に対しては、日夜個別訪問を行うなど徴収に苦労されていること、また悪質な者に対しては、裁判手続きに訴えるなどの厳しい対応を行っていることなど、相当な努力をしていることは承知をしておりますが、一方で、家賃をきちんと収める善良な入居者に対しては、納付してもらうための利便性の向上などの取組が不十分であるといわざるを得ません。

 

県営住宅でも、コンビニエンスストアを利用した納付に取り組んでいく必要があると考えますが、県の考えをお答えください。

 

 

(県営住宅管理室長 答弁要旨)

コンビニエンスストアを利用した家賃納付は、委員ご指摘のとおり、入居者の利便性の向上のための有効な手段の一つであると認識しております。

 

 しかしながら、現金で納付する場合の手数料が無償である銀行や郵便局に対しまして、コンビニエンスストアで納付する場合は手数料が有償とならざるを得ず、県にとっては新たなコストが発生することになります。

 

 先行事例である本県の自動車税の状況や、県営住宅の家賃納付についてコンビニエンスストアでの納付を既に始めている宮城県、京都府、広島県、宮崎県の4府県の状況などを参考に、導入費用と徴収率の関係とを検証したうえで、今後の対応の方向性について検討してまいりたいと考えております。

 

県営住宅の家賃納付については、現在、コンビニエンスストアでは対応していないとのことであるが、県として、社会を取り巻く環境の変化に応じて、入居者の側に立った取組が必要である。

 

県はお役人の都合でしか物事を考えていないのではないか。県営住宅管理室長から「費用対効果を検証した上で考える」との答弁があったが、公共料金をコンビニエンスストアで支払うことが当たり前になった今の時代に、4府県の公営住宅では既に実施されているというのに、なぜ愛知県の県営住宅が未だにだめなのか全く理解ができない。

 

くどいようであるが、自動車税、4府県の公営住宅でコンビニエンスストアでの納付が出来るのであれば、県営住宅でも出来るはずである。

 

家賃を払う立場、入居者の立場に立った取組を進めていただきたい。建築局長の考えを伺う。

 

 

(建築局長 答弁要旨)

県営住宅の家賃の徴収につきましては、社会の変化により、さまざまな手法があります。

時代の要請にあった取り組みができるよう、財政部局を含め県内部で議論を深めていきたいと考えております。

 

今の答弁はそのとおりですけれども、ご自身はどう思われているのか、ご自身の考えで結構ですので、私の質問内容を聞いてどう思われたのかをお答えください。

 

 

(建築局長 答弁要旨)

入居者にとって、家賃を銀行や郵便局以外にコンビニエンスストアでも支払うことができるようになるということは、利便性の向上に繋がるということは理解しております。

 

県としましては、家賃徴収率が上がっていくことも重要だと思っておりますので、コンビニエンスストア納付によって、滞納が少しでも解消されて、家賃徴収率の向上が図られるのであれば、将来的に採用する余地はあると思いますし、財政当局に対しても採用に向けて説明が可能になってくると思いますので、まずはしっかりと調べさせていただいて、検討していきたいと考えております。

 

 

これは費用がかかる話ではあるけれども、その考えに立つ前に、住んでいる方の利便性を考えていただきたい。要するに電気や水道、ガスの代金がコンビニエンスストアで払えるのに、なぜ県営住宅の家賃が払えないのかという観点が欠如しているのです。

 

役人になりきってしまっていて、どんな理由を言ってもできないといっているようにしか聞こえません。

 

考えの起点が、県営住宅の入居者はお客様であるという考えに立っているか、住まわせてやっているという立場にあるのか、この差です。

 

そこのところをしっかりと考えていただきたい。是非よろしくお願いします。

 

この話を財政当局にきちんと「これはおかしいと言われた。」と言わなければいけないと思います。期待して待っております。

 

 

今回の委員会では、県営住宅の入居者の日々の生活に直結するエレベーター等の附帯設備の維持管理と、入居者に対する利便性向上に向けた取組を中心に当局の考えを確認させていただいた。

 

 当局が示した考えを、皆さんもご理解いただき、協力していただきたい。