平成27年2月議会 健康福祉委員会 筒井タカヤ委員(病院事業庁分)
1 がんセンター中央病院敷地内にある東名古屋画像診断クリニックについて
《筒井議員》
がんセンター中央病院の敷地にあるPET-CTの装置を設置する東名古屋診断画像クリニックの問題について、これは前から質問を続けているが、伺う。
東名古屋診断クリニックが検査設備を充実するために建物の拡張を計画しているとのことだが、敷地使用料に関してがんセンターとクリニックとの間で話がなかなかまとまらず、暗礁に乗り上げている課題である。
これまでも健康福祉委員会の場で、9月12月も質問させていただいた。
昨年12月のこの委員会では、私から、「病院事業庁長、がんセンター総長、病院長の3人が直接話に入って話を進めていくと伺っているが、この案件は解決したのか。
まだ解決されていないのであれば、そんなに時間がかかる理由を聞きたい」と伺ったところ、二村庁長からは、「庁長、総長、病院長の3人で、公共財産の使用方法にかかる法律や規則等について、名古屋放射線診断財団の理事長へ正式に話をしたので、先方からの金額提示を待っている状況である」旨の答弁をいただいた。
それから新しい年を迎え、もう3月も中ごろであるが、今のところ計画は一向に進んでいないと聞きおよんでいる。
早く決着していただき、クリニックの施設が充実することで、より多くの患者さんが最先端の医療設備を利用できるようになることが重要なのではないかと思っている。
そこで、伺う。
せっかく民間の資金力を活用して、がんセンター敷地内にPETCTの装置を持つクリニックを誘致したのだ。がんセンターの患者さん始め多くの方々が、このクリニックの充実を待ち望んでいるのは間違いないと思う。
この案件は、今、どういう状況になっているのか、もう一度伺う。
《病院事業庁長》
議員お示しのとおり、12月のこの席でお答えをした。総長、院長ともその後話しをして、経営課も含めて予定価を決めている。
そして1月に相手方から反応があったが、予定価とはかなり離れていたため、そのままの状態が続いている。
《筒井議員》
時間も経過しており難しい状況であろうが、難しいならがんセンターがこのような施設を造ってしまえばよいとの話も聞く。
それを実行できるような状況でないならば、ここに至ってどのような方法があるのか私も苦慮するところだが、その辺りはどこまでを目途としているのか。
駄目なものは駄目と結論づけていいのか、駄目な場合はどうするのかを視野に入れないとこのまま進まないのではないかとの思いもあり伺う。
《病院事業庁長》
PFI事業でとんでもない結果になったところが全国にいくつかある。近江八幡病院の件、高知医療センターが県立、市立の病院を合併して新しい医療センターを造ったのもPFIで、共にとんでもない結果となり全て解約した。当初、事業を進めるときに重大な何かがあったと思う。
東名古屋画像診断クリニックのPFI事業は、私が着任する前のことであり、分からないので資料を全て見た。
それからのことは契約の更改にあたるので、法律に則って行い、予定価の算定も法律に則って行った。
よい機械を入れるのは、医療従事者や患者さん双方にとって大変なメリットがあるから、病院側も早く入れて欲しいとの希望を伝えている。
いらないということは一切ない。法律に則ってどれぐらいの価格の範囲で予定価が決められているかは、相手方も公表されているから知っている。
それに則ってよく考えて欲しいとお待ちしている。これで駄目とは思っていない。
それから、駄目ならがんセンター自身がやればいいとの話は、誰が言ったか分からないが、私は知らない。
《筒井議員》
状態が硬直していることだけは、最終確認できたわけだが、必要性というものの中で、PFI事業を受ける場合に、現在のもの以外に何かを充実させる場合についての取り決めも、本来は行っておくべだったのではないかと私は直感した。
今のPETCTだけやっていればよいとの考えで自然消滅になってしまうならば、患者さんにとってよい話ではないと思う。
他の所にこのような施設ができていったとしたら、患者さんはそちらに向かうだろうし、がんセンターもしくは東名古屋画像診断クリニックから足が遠のくのであろう状況を憂いているだけである。
どうしても東名古屋画像診断クリニックがやらないならば、その状況を待つのか、がんセンターの方で自分でやるのか、それだけの器機、設備を投入するだけの価値、採算があるのかをじっくり考えて結論を出していただきたいと要望して、この話は3回目となるのでこれで終えたい。
県民の立場に立てば、なんとかならいものかと思い、願いをお伝えして終わる。
2 がんセンターのバイオバンク事業について
《筒井議員》
がんセンターの50周年の記念誌をいただき、改めて読ませてもらった。その時の庁長、総長の話が記事になっていたが、バイオバンクの位置付けについての強い、熱い語らいがあったのでお尋ねしたい。
愛知県がんセンターは、平成27年度に、がん患者さんから採取した血液やがん細胞などの検体とデータを体系的に備蓄し、新しい治療法や早期診断技術の開発につなげるバイオバンクの整備に着手すると聞いている。
このバイオバンク事業は、患者さん一人ひとりに合わせた、より効果的で、より副作用の少ない、最適な治療方法や新しい治療方法、予防などにつながる取組であり、多くの県民の願いであるがん克服に向けた研究が、また一歩前進するのだと思っている。
今申し上げたが、昨年10月に開催された記念式典のあの思いをもう一度思い出したい。
木下総長の「今後、がんセンター研究所と中央病院が一体となって、バイオバンク事業を進めていく。」との考えが披露された。
また、50周年を機に先日いただいた記念誌でも今後のがんセンターの中心となる事業として取り上げられている。
今回の予算化に際しては、財政当局との折衝等ご苦労があったかと思うが、先月、2月21日付けの読売新聞によると、「都道府県の研究機関としては最大級の規模となる数万人分のデータ備蓄を目指している」とのことであり、せっかく事業開始にたどり着いた訳であるから、是非とも全国に誇れる、愛知県がんセンターの将来構想の中核となるような施設にしていただきたいと思う。
そこで、本日ご出席されている委員の皆さんにもその詳細な内容を承知いただくためにも、このバイオバンク事業の全体像を改めてお聞きしたい。
また、当面来年度は何をするのか、そのための予算がどうなっているのかも併せてお聞きする。
《病院事業庁長》
がんセンターは、既に約2万件の患者さんのがん細胞や血液を保管・管理しているが、今回のバイオバンク事業を開始するにあたり、国立がん研究センターや神奈川県立がんセンターなど先行してバイオバンクを行っている施設と当センターのバイオバンクとの差別化や連携について調査、検討をしてまいりたい。
また、それらの情報に基づき、今後は、既に収集してある組織や血液などの一括集中管理を新しい所で行っていきたいと考えている。
併せて、初診患者さんを対象にして組織や血液をいただかなくてはならないので、いわゆるインフォームドコンセントのような作業をする専門職が必要であり、その人材としては看護師経験者が適任であり、採用したいと考えている。
さらに、どこからがんが出てきたのか細胞を見ても分からない原発不明がんがあるが、これは特殊な施設でないとなかなか詳しい検査ができないので、他の特殊な施設との連携も深めていきたいと考えている。
次に費用について、これらの事業として3,500万3千円。
このほか、現在一部改修の準備をしている生物工学実験棟の未使用区域の活用のための改修調査費などに6,233万8千円。
これらを合わせて、平成27年度事業費は、9,734万1千円となり、1億円弱かかるが、これは、今後何十年に渡って、がんセンターが研究や新しい医療の開発等々を行っていくのに極めて重要な事業であるため、この程度の投資は必要であると考える。
《筒井議員》
ぜひ、バイオバンクが県民にとって分かりやすいものであってほしいと思う。普通の患者さんでは、なかなか理解ができないような感じなので、愛知県の中核拠点でバイオバンクが行われているということを、県民に分かるようにして欲しい、そう位置付けて欲しいと思う。
3 がんセンター尾張診療所跡地の利活用について
《筒井議員》
がんセンター尾張診療所跡地の利活用について、伺う。
がんセンター尾張診療所跡地については、昨日の補正委員会において、二村庁長から、「2月9日に入札を行い、3者から申し込みがあったものの予定金額に達しなかったために不調となり、その後1か月間、随意契約にかかる見積書を受け付けたが、契約に至らなかったため、今後は、契約条件などを見直して、改めて公募する」旨の説明があった。
一連の入札の結果、契約の相手方が見つからなかったことは、本当に残念であると心からそう思う。
今回の入札においては、敷地の一部に「医療施設」のほか「老人福祉施設又はサービス付高齢者向け住宅」を開設・運営することが契約条件となっていた。
私は、平成25年9月の健康福祉委員会において、総合リハビリテーションセンターや老人施設としての利用を提案しとこともあるが、超高齢社会を迎えた我が国においては、こういった医療・福祉にかかる利活用こそが、地元の要望にも沿ったベストの利用方法だと、以前も今も思っている。
しかしながら、こうした医療・福祉関連事業は一般的に採算が取りづらいと言われており、今回公募した尾張診療所跡地を購入するためにその資金を民間の銀行や政府系の融資機関から多額の借入をした場合、その返済に際してはこの土地と建物で新たな事業を開始後も経営していくうえで多くの苦労をすることが考えられる。
そこで、今回の入札不調を踏まえて現時点で再公募に向けての具体的な方針等があればお聞きしたい。
《病院事業庁長》
議員からご心配いただきありがたく思うが、私はその何倍もの心配をしている。昨日の補正委員会で説明したが、路線価を基にして予定価は算出しており、それなりの応札があればぜひお願いしたいと思っている。
今までも何度か説明させていただいているが、地元のニーズについて、一宮の医師会にも何度も相談をしたが、医療ニーズ、福祉に関するニーズがあると聞いているので、入札の条件に入れさせてもらった。今回3つのところから応募をいただいたが、大変素晴らしい提案もいただいたので、ぜひこれでやっていただきたいと期待していた。ところが、入札価格が予定価とあまりにも乖離していて驚いた。
そのため、応札者には再度それなりのことを考えていただき、ぜひ先のような素晴らしいアイデアを再度提案していただき、それなりの資金計画を立てていただき、応募していただけることを願っている。
いずれにしても、路線価は昨日出したとおりで、それに基づいて考えている。またお問い合わせがあればよろしくお願いしたい。
《筒井議員》
確かに私もそう考えているが、現実的に、あそこの場所で、福祉や医療が中心となっていくとなると、施設を運営する会社は普通の事業と違って儲からない。運営していくには、それなりの購入価格でないと、建物を造ったり、改修したりする場合、事業資金として融資がしてもらえない。
そうとなれば、こちらがどういう風に思っていても値段が入れられないのが実情ではないかと思う。
ここで考えなければならないのが、これで公募を含めて半年延びたこと。
それから建築されるとして、これからオリンピックの建築等が進むと、愛知県に建築関係者がいなくなり、資材がないとなり、城山病院の改築のように深刻な状況になるのではないかと危惧している。
もうちょっと出して欲しいとは、県、県民の立場からは思うが、でもそれ程儲からないのが医療や福祉ではないのかとの点で考えると、あの位置、場所であることを含めて、もう一度検討しないといけないのではないかと思う。
相当な開きがあったとのことだが、なかなか歩み寄れないのでは、この構想そのものが実現するのかと危惧をしてしまう。
このまま放置されたままの状態が続くことの憂いがあり、そちらの腹のくくり方も含めた話を聞きたい。
《病院事業庁長》
ご心配をいただき大変ありがたく思う。今のお言葉ですが、私の感じ方では、応札者の代弁者のように聞こえる。
予定価は、路線価及び第三者によるきちんとした評価をいただいて、それを基に算出しているので、今おっしゃった儲かる訳がないというのはどこから出てきたのかをお聞きしたい。我々はきちんとやっている。
《筒井議員》
こういう話になるかと危惧していたが、私は医療福祉関係は全般的にそれ程儲かっているのかということを言っているのであって、そのようなものを誘致するという条件の中で払い下げる。
普通ならば、どんな使い方でもよいということならば、それはフリーハンドだと思うが、私が知る限り、この日本でまともな医療や福祉の関連施設が、今の状況で儲かる訳がない、お金を持っているわけがないとの話をしたわけである。
まして、銀行関係、政府系のところも、医療福祉系のところにはなかなか巨額の投資はしない。
そういうところが現状ではないかと言ったのである。そうすると、自分達の考え方だけが正しいとの考えはいかがなものかとの観点で話しをしたのである。
《病院事業庁長》
きちんとした評価を、日本中で、愛知県では断トツで行う機関に、正式に土地と建物の評価を受けている。
そして、今後あの場所で、どのような施設で、どのような事業を行うかも伝えてあり、そうであれば建物はどう使えるかなどを多方面から検討いただいて、あそこの価値を評価してもらった。
よって、それに基づいて公募を行うのが当然のことでないかと考える。
これをいかなる理由でディスカウントするかは難しい話かと思う。公式なデータがあるのにもかかわらず、当方の判断で変なディスカウントをすることにより法律に抵触することになるといけないので、非常に慎重に判断しないといけないと思うところである。
いずれにしろ、このような評価と昨日出した路線価との二つの要件をきちんと充たしてやっていくべきと考えている。
《筒井議員》
これは、もう少し広く全国に公募を行っていけばあるかもしれない。公募のあり方についても、広く全国に求めるやり方でやっていただくなど、今回応募したところだけではないと私は思っている。
結論的に言えば、今の状況のプランニングで、応募者が10者、20者と現れるような状況を作れば、庁長が話された状況も見出されると思う。
それに期待するしかない。そのような形であればぜひやっていただきたい。それが、早く実現することを望む。
◎参 考
筒井議員の質問「がん患者に対する相談支援について」に係る健康対策課答弁後の庁長の意見・要望
《病院事業庁長》
私は、手術不能のがん患者で悪運強く生き続けている者であるが、ただ今の議論の中で相談支援とピアサポートが出てきたが、ピアサポートという言葉をクリアにしていただきたい。
ピアという言葉はいろいろな業界にある。学術論文のピアレビューは、学術論文を書いている人が仲間の論文を審査する。
お互いが審査する。学術論文をそれなりに書いていないとピアレビュー者にはなれない。何日以内に行っているか、適正な審査をしているかとのピアレビュー者の定期的資格審査がある。
文科省や厚労省の科学研究費の審査を私はやっていたが、それなりの経験者が審査員となり、審査員もその結果から審査を受ける。
適正でなければ資格を喪失する。そういうことがあり、ピアとは大切な言葉である。
ここでは、ピアとはがん患者同士が行うことであって、がんの経験者はがん患者とイコールであると思うが、その家族が相談すると書いてあり、家族はサポーターにはなりえない。
がん患者と一緒に相談に行くのはよいが、サポーターとして相手をすることについては、家族は資格がないと思う。
ピアの言葉からはずれると思う。ですから言葉をどんな風にでも解釈できるようにするのは困ったものと思う。
これは、いろいろな事例を私も感じているが、体験者じゃないと分からない微妙なニュアンスに誤解が生じる。
そのためにがん患者が被害をこうむるので、ぜひピアサポーターの資格というのはクリアにしていただきたい。
議員には今後も厳しいチェックをお願い申し上げたい。また、答弁側も、ピアサポーターとはそういうものだと厳格に認識したうえで今後の審査をぜひやっていただきたいと思う。
私から要望申し上げる。