平成28年(12月議会)建設常任委員会
―質問議事録 H28.12.13
(質問:筒井
タカヤ議員)
県営住宅に関する問題についていくつか質問をいたします。
去る11月6日の日曜日、私の地元である名古屋市名東区の県営高針住宅の集会所で、県営住宅自治会連絡協議会と高針住宅自治会の役員の方々、県の県営住宅管理室及び住宅供給公社の皆さんが集まって、会合が開かれ、私も参加させていただきました。
県営住宅自治会連絡協議会は、愛知県内のいくつかの県営住宅自治会を構成員とする任意団体で、「住みよい県営住宅づくり」に向けて様々な活動を自主的に行っておられます。
県営高針住宅自治会は連絡協議会のメンバーではありませんが、高針住宅の様々な問題、特に自治会の役員が抱えている多くの問題を話し合う場がほしいということで、今回、連絡協議会と連携してお互いの情報交換を行うとともに、県や公社の担当者にも来てもらって協議を行うこととなったものであります。
事前に高針住宅の自治会が入居者にも参加を呼びかけていたためか、日曜日の午前中にも関わらず、一般の入居者もたくさん参加して活発な話し合いが行われました。
私は当日の会合に参加して、この場で話し合われていることは、県内の多くの県営住宅にも共通した問題であることが分かりましたので、今回の当委員会では、当日話し合われた問題のいくつかをご紹介すると共に、県当局の答弁を求めることで、建設委員会に所属されておられる議員の皆様にも住民要求の課題を共通認識いただければと願っています。
まず、土曜・日曜日に、こうした県営住宅の自治会との話し合いの場をこれまで何回ほど開かれたのでしょうか伺います。
(答弁)
〈県営住宅管理室・主幹〉
土曜日や日曜日の休日に自治会の方々との意見交換のための会合や、自治会ごとの要望のための会合は、平成27年度は11回行っており、うち7回は住宅供給公社の職員だけでなく県営住宅管理室の職員も参加いたしました。
また、平成28年度は4月から11月までで12回の会合が行われており、そのうち8回の会合には県営住宅管理室の職員も参加しております。
この他、自治会の都合により、平日の夜間の勤務時間外に住宅供給公社の職員が自治会へ伺っているケースが、平成27年度は12回、平成28年度は11月までに6回行っているとの報告を受けております。
(質問:筒井
タカヤ議員)
県や公社が県営住宅の自治会との話し合いを活発に行っていること、担当者の皆さんが曜日を問わず住民と対話するため、話し合いに熱心に応じ、努力されていることが理解できました。
さて、会合ではまず、県営住宅の連絡員の問題が取り上げられました。
昨年の6月の建設委員会で、私は県営住宅の連絡員制度について質問し、県当局に答弁を求めました。
その内容を簡単に説明しますと、
@
県営住宅の管理業務は住宅供給公社が実施しているが、その業務を補助するものとして「連絡員」を配置していること。
A
連絡員は県営住宅全体で約680人おり、その7割が60才以上であること。
B
連絡員が不在になった場合には、住宅供給公社が業務の代行をしたり、同じ団地の他の連絡員の方へ当面の業務をお願いしたりして対応しながら、業務が滞らないように新しい連絡員の早期確保に努めていること。
などの答弁がありました。
今回の会合では、ある自治会の役員から「自治会と連絡員の連携がうまくいってない。」あるいは、「連絡員が高齢化して本来の役割を果たしていないので、本来は連絡員がやるべきことを自治会が代わりにやらなくてはいけない。」との現状が示されました。
私は、連絡員制度が時代遅れになりつつあり、公社の職員が直接連絡員の業務を行うとか、連絡員の業務そのものを自治会へ委託することも検討してはどうかと考えます。県の答弁を求めます。
連絡員の業務をご存知ない方もおられるかと存じますので、あわせて役割についてもご説明ください。
(答弁)
〈県営住宅管理室・主幹〉
連絡員の役割や自治会との連携についてお答えさせていただきます。
県営住宅の連絡員は、住宅供給公社が行う県営住宅の維持管理業務を適切に実施するために配置しており、適任と認める者を住宅供給公社理事長が委嘱をしております。
連絡員の主な業務は、
@ 新たに住宅に入居する者への鍵の交付、入居関係書類の経由、不正入居の連絡、退去者からの鍵の受領などの入退居等に係る業務。
A 住宅等の修繕を要する箇所を発見したとき、あるいは入居者からの修繕の申出があった場合における対応などの維持修繕に係る業務。
を行っております。
連絡員は、住宅の管理者の一員でありますので、これらの業務は、自治会の業務とは区別されるものです。
一方で、住宅によっては、自治会が推薦する方を連絡員に委嘱する事例もございます。
現在、選任されている連絡員の方々には、業務を誠実に行っていただいておりますが、県、公社、連絡員と自治会が密接に協力していくことが、適切な住宅管理につながるものと考えておりますので、今後も、連絡員のあり方について、柔軟に検討してまいります。
(質問:筒井
タカヤ議員)
次に、県営住宅の駐車場の管理のあり方についてです。
県営住宅の駐車場の歴史的な経緯を説明しますと、その昔、県営住宅には入居者用の駐車場がなく、昭和40年代から50年代のモータリゼーションの進展に伴って、県営住宅への来客者等のための駐車場を設置するようになりました。
そのため入居者用の駐車場は、ほとんどの自治会において、空きスペースに白線で区画をして、自治会管理で有料駐車場として料金を徴収し、そのお金を基に付近の民地を借りて、団地内で不足する駐車場の確保に努め、周辺住民に不法駐車で迷惑を掛けない配慮をしてきた経緯・歴史があります。
しかし、年月が経過すると数百万円から2千万円以上のお金が内部留保されるようになり、各団地で使い込み等の不祥事が多発・トラブルが発生したこともあり、私は、県と住宅供給公社で管理するよう強く求めました。
そして、平成8年になって公営住宅法が改正され、遅ればせながら、入居者用の駐車場が共同施設として位置づけられ、本県では、平成10年に条例改正を行い、駐車場を共同施設として明記して駐車場を有料化しました。
その後、不祥事は解消しました。
建替住宅については、平成11年度建設から、既設の住宅については、自治会等と駐車場の整備について合意ができた住宅から、順次、1戸に1台を原則に、県が有料化駐車場として整備するようになりました。
そこで質問です。
現在の駐車場の有料化の進捗状況について答弁を求めます。
(答弁)
〈県営住宅管理室・主幹〉
平成28年12月1日現在、駐車場の設置が可能な290団地のうち、243団地で駐車場の全部又は一部を有料化しており、39,356戸の住宅に対して、36,455台の駐車場を県管理としております。
有料化率は、団地数で83.8%、管理戸数で73.5%となっております。
(質問:筒井
タカヤ議員)
高針住宅においても、平成25年に駐車場の整備に合わせて有料化を行い、県が管理する駐車場に移行しました。
しかし、県が管理するとはいうもののそれは表向きで、1台308円の委託料を県が自治会に支払って、自治会に駐車場の管理を行わせており、県や公社はほとんど何もしないのが実態ではありませんか。
今、自治会の役員の方々が悩んでおられることのひとつに、マナーの悪い者の迷惑駐車の問題があります。
自治会の役員のところには入居者から昼夜を構わず「自分の駐車場に見知らぬ車が止まっている。なんとかしろ。」との苦情が寄せられております。
これでは、県管理の駐車場とは名ばかりで、県は数千円もの駐車料金を徴収しておきながら、たったの308円で管理を自治会に押し付けていると批判されても仕方ありません。
県の担当者からお聞きすると、大阪府営住宅では、駐車場管理会社などと24時間対応で委託している例もあると伺っております。
自治会の役員も高齢化しております。また、役員のなり手も少なく、毎年の役員の改選時期になりますと自治会の中でもめるのが年中行事となっている住宅も多いのです。
自治会の負担軽減のためにも、駐車場の管理を自治会に行わせるのではなく、大阪府のように、県が民間企業に外部委託をするなどの方法を考えるべきではありませんか。答弁を求めます。
(答弁)
〈県営住宅管理室・主幹〉
本県においては、委員お示しのとおり駐車場の日常的な維持管理は自治会に委託しておりますが、迷惑駐車については、自治会からの要請に応じ、公社においても適宜、対応をしております。
大阪府では、府営住宅駐車場の管理を指定管理者から委託されていた自治会から、入居者の高齢化により、管理業務を行える者がなかなかいないこと、「巡回業務」、「清掃業務」、「除草業務」が体力的に限界であることの申し出が多くなってきていたことから、平成24年度に一部団地で試行的に駐車場管理業者の公募を実施し、平成26年度から全面的に公募制となっております。
大阪府の制度では民間事業者だけでなく、駐車場管理を自治会自らが行いたい場合、自治会も入札に参加できるようになっており、半数以上の団地で自治会が落札しているとの現状を聞いております。
本県においては、現時点で駐車場有料化の途上でありますので、まずは駐車場の設置が可能な団地について、自治会と協議の上、有料化を進めてまいりますが、今後の駐車場管理のあり方についても、引き続き研究してまいりたいと考えております。
(質問:筒井
タカヤ議員)
次に、県営住宅の耐震性についてです。
県営高針住宅は、昭和50年51年竣工の5棟714戸の住宅です。
昭和56年以前、いわゆる旧耐震の建築物であり、平成8年度に耐震診断を行ったところ、
1棟が、最小Is値0.23
2棟が、最小Is値0.28
3棟が、最小Is値0.29
4棟が、最小Is値0.35
5棟が、最小Is値0.53
と、最小Is値が0.6未満であり、耐震性が低かったことが判明しました。
そこで、県では、平成10年から耐震改修を行っておりますが、こうした耐震改修を行った住宅は高針住宅以外にもあります。
そこで、まずは、この「耐震改修の内容」及び「大規模地震が発生しても大丈夫なのかの判断の根拠」について分かりやすく答弁してください。
(答弁)
〈公営住宅課・主幹〉
共同住宅は、一般的に、壁の少ない梁間方向でIs値が低くなる傾向にあります。
しかし、県営住宅は、構造特性的に、比較的狭い間隔で、各住戸界に、最上階から最下階まで連続して耐震壁が配置されております。
こうしたことから、耐震診断におきましては、外部の学識者による委員会により、「その住棟が地震により人命に影響を及ぼすような倒壊や崩壊をする危険性が低い」との評価をいただき、その結果を県のホームページで公表しております。
なお、県営住宅の耐震改修は、ピロティなど耐震壁が連続していない部分のある住宅については、その部分に耐震壁を追加したり、柱に鋼板を巻くなどの補強を行い、耐震性を高める改修を行っております。
こうした結果、用途廃止が予定されている1住宅を除き、全ての住棟について、一定の耐震性が確保されていると考えております。
(質問:筒井
タカヤ議員)
県のホームページでは、「県営住宅の耐震化の状況」が公表されております。阪神・淡路大震災後すぐに、しっかりと耐震性の調査を行い、対応したことと、その結果を公表していることは評価したいと思います。
しかし、県営住宅の入居者には様々な方がおられ、県営高針住宅では、建築関係の仕事に従事していた入居者からは、実際に行われた耐震改修工事を見て「本当に大丈夫なのか」と思われた方がいたことも事実です。
入居者が不安に思う場合には、ホームページで公表されているから十分というのではなく、そうした要望に応えていくべきと思いますが、県の答弁を求めます。
(答弁)
〈公営住宅課・主幹〉
今年度の熊本地震後、県営住宅の耐震性についての問合せの電話が2件あり、個別に説明し、ご理解いただきました。
今後も、個別の問合せには丁寧に対応すると共に、県営住宅の住民の方で耐震性について心配されているという声が上がっているようなことがございましたら、耐震性の状況についての説明方法等について、自治会と相談・調整していきたいと考えております。
(質問:筒井
タカヤ議員)
次に、県営住宅の長寿命化改善についてです。
今議会の補正予算案に、長寿命化改善費が約1億8千万円提案され、新たに名古屋市港区の県営当知住宅において長寿命化改善工事を行うとの説明がありました。
まず、この長寿命化改善とは、何のためにどのような工事を行うのか、さらにどのような住宅を対象としておるのか説明してください。
(答弁)
〈公営住宅課・主幹〉
長寿命化改善は、住棟を耐用年限まで安全に使用するために、外壁や屋根の仕上げ材を耐久性を高めるために更新することや、給排水管の敷設替え、バリアフリー化や躯体の耐久性の向上などの改修工事を行うものです。
また、対象としては、昭和50年代前半に建築されたエレベーター付の住宅を中心に、屋上防水や外壁等の劣化状況を考慮して、実施することとしております。
(質問:筒井
タカヤ議員)
次に、今回の補正予算、どれだけ要望して、どれだけ工事が認められたのか答弁してください。
(答弁)
〈公営住宅課・主幹〉
今回は、国の経済対策に伴う補正でございます。
長寿命化改善は、今年度は、当初、北平部住宅、小本西住宅、西前田住宅の3住宅を計画しておりましたが、新たに当知住宅を追加することとしたものでございます。
今回の補正額は、1億8,768万円で、国との調整の結果、このうち1/2は国費を充当することとなっております。
(質問:筒井
タカヤ議員)
次は、共益費についてです。
県営住宅の共益費を自治会が徴収することは、既に限界に達しています。
何度お願いしても共益費を払わない不届きな入居者が増加、その不届きな者の分を真面目な入居者が負担しているという不公平、民間の賃貸住宅では大家さんが家賃と共に共益費を徴収することが当たり前なのに、県営住宅だけが自治会に押しつけられているという理不尽さ。今、自治会はこの共益費の問題で疲労困憊しています。もうこんな制度は無理なんです。
県議会でこの問題が取り上げられるようになってから、既に10年の歳月が経過しています。
私もかねてからこの問題について、県議会の場において、繰り返し繰り返し取り上げてきました。県当局の姿勢は、共益費は県では徴収できませんとの硬直的な姿勢でしたが、やっと昨年10月の当建設委員会での私の質問に対し、尾ア建築局長が「県による徴収の可否を含めて、幅広く検討をしていく」と答弁され、県が直接徴収する方法について、県当局が真剣になって取り組んでいく方針が示されたのです。
今年2月県議会においては、自民党議員からの一般質問に対して、
@ 自治会に対して共益費の実態調査を実施したこと。
A その結果、自治会ごとに共益費の内容や徴収の方法が大きく異なっていたこと。
B 県による共益費の徴収について引き続き検討を進める。
と尾ア局長が答弁されました。
そこで、質問です。共益費を県が徴収することについて、現在どこまで検討が進められているのか答弁を求めます。
(答弁)
〈県営住管理室・主幹〉
共益費の現在の検討状況でありますが、共益費は、各自治会において徴収している項目が大きく異なっていることから、現在のところ、県で徴収・管理する共益費は、エレベーター、汚水処理場の保守点検代や給水ポンプの電気代などのライフラインの維持に関するものと、廊下灯、階段灯や駐車場の防犯灯などの電気代の安全安心に関するものとすることを考えております。
また、県が共益費の一部を徴収管理することによって必要となる金融機関の振替手数料などの経費負担のあり方などについても検討を行っているところであります。
そして現在、全自治会に対し、共益費の一部を県が徴収することについての意向調査を行っているところであります。
この意向調査には自治会の方々からの数多くの問合せをいただいており、回答も集まって来ておりますので、この集計結果を踏まえ、更に実施に向けた検討を進めていきたいと考えております。
(質問:筒井
タカヤ議員)
先日の会合においても、この共益費の問題が大きく取り上げられました。
県営住宅管理室の担当者からは、現在建築局内で検討を進めているが、財政負担の問題やかなり大がかりな投資が必要なことから、県として実現までには相当な時間が必要であるとの説明であったと記憶しています。
事情は分からぬ訳ではないが、困っている自治会にとっては切実な問題であります。
先ほどの駐車場の問題でも、自治会の自主的な運営から県の管理する有料化駐車場への移行を進めてきたではないですか。
共益費だって同じです。駐車場ができたのだから共益費だってできるはずなんです。
例えば、3年とか5年とかの期限を示すとか、あるいは同意のできた自治会から順次実施していくとか、ある程度計画的に移行していくといったスケジュールを自治会に示すべきではないでしょうか。
何度も言いますが、共益費は家賃と一緒に県が徴収するべきです。答弁を求めます。
(答弁)
〈県営住宅管理室・室長〉
県が共益費を直接徴収することにつきましては、主幹の答弁にもありましたように、現在、局内で検討を進めておりますが、共益費の徴収項目や経費負担のほか、電算システムや組織体制など様々な課題が明らかになってきております。
今の段階ではっきりとした時期をお示しすることはできませんが、ただ今行っております意向調査でも、自治会の皆様の切実な声をお聞きしておりますので、できる限り早い時期に実施できるよう努力していきたいと思っております。
(質問:筒井
タカヤ議員)
共益費の徴収については、愛知県内の自治会は本当に大きな期待をしています。その声は津波のように盛り上がってきております。
当局においてはできる限り早く実現するようにしないと自治会自体が崩壊してしまう。そうなってはおしまいですよということを私は現実をみて、再三再四、訴えておりますので、そのこともご存知だと思います。問題はやりたいけれども財政当局との折り合いがつかないということにかかっているのです。
こういうことについて担当の室に任せるのではなく、建築局長、今年でご定年とお聞きしていますが、あなたの実直な人柄が大好きである。
思い切った表現をして、部下に示しをつけ、また後任にこういう姿勢でやっていたと部下からも慕っていただけるよう取り組んでいただきたい。強く要望するが、その点について、答えていただきたい。
(答弁)
〈建築局長〉
昨年、建設委員会で答弁させていただいた以降、各自治会に実態調査をさせていただきました。個別に様々な実態についても聞かせていただいたところです。それを踏まえて、今年度は県としての考えをまとめて、自治会に示して意向調査を進めてきております。
一足飛びに徴収開始というわけにはいきませんが、実施に向けて着実に進めているということでご理解いただきたいと思っております。
先程、長寿命化改善の質問をいただきましたが、県営住宅の課題としては老朽化、維持管理が大きな問題と思っておりますので、長寿命化改善等も積極的に取り組むことで、県営住宅の
老朽化改善等も積極的に取組んでいきたいと考えております。
(質問:筒井
タカヤ議員)
ありがとうございました。そのような強い姿勢を持って臨んでいただきたい。
最後に、計画修繕の問題について申し上げたい。
これも過去において何度も何度も取り上げてきたことでありますが、いわゆる計画修繕、外壁の塗り替え、屋上防水、電気・給排水設備の更新、建具の取替、台所設備の取替といった、大家が予防保全的に実施しなければいけない計画修繕は、公営住宅法改正による応能応益家賃制度への移行によって、平成10年度から家賃収入が大幅に減少したとの理由により、ずっと計画修繕が行われていないのです。
数字で示すと、応能応益家賃制度に移行する前の平成9年度の修繕費は全体で82億円、それが平成24年度には34億円にまで激減し、その結果、計画修繕どころか一般の修繕費にも事欠く有様になってしまい、空家の修繕もできずに十分な募集もかけられず空家が蓄積するという事態にまで陥っているのが、今の県営住宅の実態なのです。
これはさすがに問題となり、その後、県議会での議論や県当局の努力もありまして、徐々に修繕費が増え、平成28年度には45億円まで増額されたのです。
しかし、それでも平成9年度の82億円に比べればまだ半分程度、これでは計画修繕に回せる予算はありません。住宅は確実に老朽化し、空家が増え、さらに家賃収入が減少するという絵に描いたような「逆スパイラル」に陥っているのであります。
本委員会においても、この問題はしっかりと考えておく必要があると思います。
建築局においては、しっかりと、もう一度言いますが財政当局との議論を重ねていただきたい。
そういった意味において、新年度予算編成に臨むにあたり、共益費を県で徴収するためのコンピュータープログラムの変更、人員増の予算、計画修繕や空家戸数の解消の修繕費等の増額に財政当局と直接交渉してほしいと思います。
県営住宅は県民のセーフティーネットである点を考えるならば、最優先課題であります。もう一度、建築局長の答弁を求めます。
(答弁)
〈建築局長〉
県営住宅の来年度予算編成に向けての心構えについてと思いますが、計画修繕については、県営住宅を適切に維持・管理していくために、非常に重要であることは私も重々承知をしております。
このため、今年度は夏前から、財政当局の方へ県営住宅の現状や本来必要な修繕のあり方、計画修繕の必要性等についてかなり早めに説明をしてまいりました。
一方で来年度の県税収入は厳しいと言われているので、なかなか厳しい交渉を強いられかと思うが、現状等をしっかり説明し、必要な予算が確保できるよう努めていきたいと考えております。