平成28年3月10日
平成28年2月の本会議(質問)
特別支援教育体制推進事業費うち体制推進事業費について
(質案 質疑) 筒井 タカヤ議員
歳出 款11教育費 項01教育総務費 目04学校教育指導費特別支援教育体制推進事業費のうち「体制推進事業費」について質問致します。
平成19年4月に学校教育法の改正が行われました。従来までの「特殊教育」から「特別支援教育」へと大きく変わりました。
特別支援教育の柱というべき理念は「障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという立場で、それぞれの幼児児童生徒一人ひとりに合わせた教育的な求めを分析、理解をして、幼児児童生徒自身が本来持っている力、能力を高めることは勿論のこと、生活や学習上の困難を解決するために適切な指導や必要な支援を行うもの」としています。
更に、この理念充実を求め、平成24年7月の中央教育審議会の報告書が示されました。
報告書では、特別支援学校のセンター的機能に向けた取組の充実や特別支援学校の先生方に対し、特別支援教育の専門性を更に高めることを求めています。
その一方で、現実は特別支援学校に在籍している幼児児童生徒の障害の状態は重度・重複化、多様化していて、これに携わる先生一人ひとりが多岐にわたる専門性を身につける資格を得ることは極めて難しいです。
特別支援教育を行う先生方が長期間に渡って必要な資格取得をするために長期休暇で県内外に講習を受けるには代用教員も必要ですが、現実には短期間に対応することは不可能なことでもあります。
平成24年の中央教育審議会の報告書には、必要に応じて、外部の専門家などの人材を活用して、学校全体の専門性を確保していくことも求めています。
これからの特別支援学校は、様々な職種、医療ケア的なものは医師や理学療法士、作業療法士及び他資格者の人々と連携・協力をして教育を行っていくことが求められていると考えます。
県では、体制推進事業の中で、平成26年度と27年度に渡って文部科学省の「特別支援学校機能強化モデル事業」を、県立の盲学校(岡崎と名古屋)の2校で取り組みました。
その中で、視覚障害のある方の歩行訓練を行う訓練士の方による指導を行い、大変効果があったと聞いています。
岡崎盲学校には、歩行訓練を行うことができる資格者が教員におられました。名古屋盲学校には、資格をもつ教員がおられないために外部から歩行訓練の資格者の応援のもと実施されていました。
これを機会に他県における状況を調べてみました。
白杖を使って視覚障害のある方が一人で歩行ができるよう、先生方もいわゆる歩行訓練士の資格を取るように研修を受けているところもありました。
又、その道のプロ、即ち資格者と契約してお願いをしている所もありました。
平成26年、27年度の文部科学省による特別支援学校機能強化モデル事業の特徴は、歩行訓練の内容が盛り込まれていることであります。具体的には、
A
白杖操作訓練
Aに学校周辺の環境把握訓練、即ち信号の利用や道路の横断等を重視した交通安全の体得
B
り物(市バス)等の利用の訓練
C
期休業(夏休み)の通学訓練
D
これらは、学校長、教職員、生徒及び家族から大変に喜ばれました。
平成27年度でこの事業は終了しますが、学校関係者や生徒及び家族からも継続を求めておられます。私もぜひ継続してほしいと思いますので、ご高配をいただきたい。
そこで質問です。平成28年度以降、モデル事業で得られた成果をどのように継続していくのか。また、歩行訓練士資格者の継続的な配置、さらには盲学校教員の資格取得への応援体制を計画的に築いていただきたく存じます。県としてどのようにされるのか。率直に教育長に伺います。
また、名古屋と岡崎の盲学校には歩行訓練士の資格を持った教員が何名おられるのか、他の特別支援学校を含めてお答えください。もし、特別支援学校に資格を持った教員がおられましたら、適正配置の検討を求めます。
さらに、特別支援学校の教員を養成する各種の学校、大学に対し、歩行訓練士等を含む各種の資格を取得する意欲のある学生及び有資格者の学生を養成していただけるよう伝えていただきたいと思います。
教員を養成する学校、大学も対応を検討くだされば、未来は明るいものと信じます。
以上です。
(答弁) 教育長
文部科学省モデル事業に関連して、大きく2点のお尋ねをいただきました。はじめに、モデル事業の成果の継続についてでございます。
文部科学省の「特別支援学校機能強化モデル事業」では、外部人材の活用が事業の柱の一つとして位置付けられており、今回、愛知県では、2校の盲学校に視覚障害指導員や歩行訓練士などの外部人材を活用したところであります。
このうち、歩行訓練士からは、児童生徒が、直接一人一人の状況に応じて適切な指導が受けられ、生徒が自力で安全に通学できる歩行能力が格段に向上するなどの効果が見られました。
児童生徒への適切な歩行訓練は、継続されることによって効果が確かなものとなり、また、保護者や現場の教員からも継続の強い要請があることから、平成28年度以降におきましても、歩行訓練士の有資格者から継続して歩行訓練が受けられるよう対応してまいりたいと考えております。
盲学校教員の資格取得への応援体制につきましては、歩行訓練士の資格取得のためには学校現場を長期間離れて研修を受ける必要があり、研修場所も全国で2か所と限られていることなどから、現時点で資格取得の計画はございませんが、外部専門家の配置活用により盲学校の専門性を担保してまいりたいと考えております。
次に、歩行訓練士の資格を持った教員の数につきましては、県立特別支援学校では2名の教員が資格を持っており、今年度は盲学校に1名、肢体不自由の特別支援学校に1名となっております。
また、特別支援学校の教員を養成する大学等への資格取得に関する働きかけについてでありますが、これから特別支援教育の一層の充実が求められる中にあって、特別支援学校の教員にも、特別支援学校教諭免許状の取得はもとより、より専門性の高い指導能力を併せもつことが重要となります。
そのためには、やはり、大学での養成段階から、学生に資格取得も含めて、特別支援教育の専門性を高めることの重要性を意識づけることが望ましいと考えておりますので、これまでも愛知教育大学をはじめ教員養成大学には、特別支援教育に関連するカリキュラムの充実をお願いしてきておりますが、今後も引き続き、強く働きかけてまいります。
筒井 タカヤ議員
(要望を提出します)
平成26年度と27年度にわたる文部科学省の特別支援学校機能強化モデル事業が終了することによって、平成28年度以降については、歩行訓練士による歩行訓練が断念させられることになるのではないかと、学校関係者、生徒とその家族も大変心配しておりました。
ただ今、野村教育長からモデル事業で得られた成果を継続しますとの明快な答弁に接し、深く感謝申し上げます。
盲学校生徒にとりましては、歩行訓練士による歩行訓練は、今後も必要不可欠なものであると思います。
この件に関しまして、1点要望があります。以前、名古屋盲学校の寄宿舎指導員として勤務し、歩行訓練士の資格を取得した教員が、他の特別支援学校にいるということを聞いております。
訓練の必要な視覚障害児のいる名古屋盲学校に配置されていないことが、今回混乱を招いた実情であります。今後、計画的な有資格者の人事配置がなされるよう求めます。
最後になりますが、野村教育長におかれましては、今議会を最後として退任され、後任に職を譲ると聞きました。
このたびは、一人の盲学校生徒への歩行訓練がきっかけでありましたが、支援の必要な他の多くの生徒が安全に通学できるようになりましたことは、あなたが真剣に対応、ご努力くださったおかげです。
あなたの愛に、この議場を通して心から感謝と敬意をお伝えさせていただきます。
(野村教育長さん、ありがとうございました!!)
以上です。