平成2839

平成82月:本会議(質問)

 

「あいち健康の森薬草園管理運営事業について」

 

(議案質問) 筒井タカヤ議員

 

 歳出第6款 健康福祉費 第8項 医薬費のうち「あいち健康の森薬草園管理運営事業費」について、お尋ねをしてまいります。

 

 平成27年4月に大府市にある「あいち健康の森」の一角に薬草園が華やかに開園しました。この薬草園は広く県民に薬草の活用を通じて「心と体」の健康づくりに対する意識の向上を図ることを目的としています。

 

私も開園式に参加させていただきました。

 

大村知事を始め来賓の方々によるテープカットや記念植樹、地元小学生による記念植栽が執り行われました。

特に当日は小学校生徒達が、笑顔で来場者と楽しそうな会話をする姿を見ていて、この県薬草園が子供達の生物学習・健康学習の場となることを心から願いました。

 

開園後まもないゴールデンウィーク期間中には、県薬剤師会が企画する薬草に関する講演会等は事前の準備・広報もあって予想通り大盛況でありました。

 

薬草園の管理運営は、指定管理者制度による公募で県薬剤師会・日誠グループが実施しています。

 

薬草の管理・運営が主体であり、その内容のほとんどが「水やり・除草」が日常のことでもあり、造園・ビルメンテナンスを取扱う企業の日誠が行っています。

 

薬草園が開業する4ヶ月程前に私が心配して視察した際には、雑草が生い茂って、その雑草の茂みからカルガモの親子ならぬキジの夫婦と子ども3羽が、平然と出て来る光景に感激すると共に、急に、整備は本当に間に合うのかと本当に心配したものであります。

 

業者の日誠だけではなく県薬剤師会の皆様もボランティア活動で整備に間に合うように尽力してくださったことを知り、感激したことを記憶しております。

 

 

本論に入ります。

 

県薬草園が開園して、約10ヶ月が経過しました。

 

私もこれまで、真夏・秋・冬の期間の平日の午前・午後の6回程、薬草園の管理状況を知るために参加しました。

 

管理してくださっている日誠の従業員の方々の努力もありまして、当初に私が心配をしていたよりも頑張って、雑草除去に努めておられる光景を見ています。

 

しかし、平日はイベントもないこともあり、ついぞ見学者・来訪者は見たこともありません。

 

真夏の炎天下の昼の時には、一見すると何の変哲もない、木か草かも分からない、花も咲いていない植物を見る人などほとんどいませんでした。更に、真冬の寒風の中、葉っぱもない木や草を見学する人などいるわけがありません。

 

しかし、私が取り寄せた薬草園の来訪者には、午前、午後1時そして午後4時の時間帯に来園者の数が報告書に記してありました。

 

どこの場所でどのようにして人数を確認しておられるのかについて尋ねますと、事務所から見た人数とのことでありました。

 

更に、内容を見て判明したことですが、大府市・東浦町のウェルネスバレーめぐりやノルディック・ウォーク、JRのさわやかウォーク・健康体験ウォーキングなどのスタンプラリーの数を含めておられます。

 

薬草園を見学する人数ではなく、入口でスタンプを押す人数までも組み入れられておることが判明しました。

 

これは薬草園の来場者の目標22,500名を何とか数字を合わせようという涙ぐましいまでの意図的な努力以外、何ものでもありません。

 

ましてや、私に提出くださった12月末までに24,654名なる数字に接した時、正直に悲しさすら覚えました。

 

私が、お話したいのは、もともと薬草園なるものは、一般の県民が競って一度は見学したいと思われるような施設ではありません。

 

これだけの人数が集まったから良い施設という内容のものでもありませんから、形だけの数字を作り出す必要はありません。

 

県はこのことをしっかり理解し、指定管理者に単に来園者の数を求めるだけではいけないのであります。

 

薬草園本来の目的を達成する為にキチンと調査を含めたレポートを作っていただきたい。

 

そのために県内のどの地域から来られたのか、男女・年齢と来園目的と施設の改善の意見も聴取するなども行っていただきたい。

 

 

県民の多くの人々が薬草に親しみ、楽しんでいただけるようにすることが今一番必要であることを県当局自身がもっと考えるべきなのであります。

 

例えば、かつて、私は健康福祉委員会の委員として議会発言をしましたが、大学の薬学部の先生や大学生を招いて、小中学・高校生など若い世代と薬草や健康に関連した講座を開催することを提案します。

 

これに参加した子供達が薬草を通じて薬に興味を持つことにより、将来的に大学薬学部を目指す子供達が増えれば、大学側にもメリットが生まれるはずであります。

 

また、私の知る限りでは、子供、生徒・学生の来訪者が余りにも少な過ぎるように思いますので、小学校の社会科学習で薬草園に来るように取り入れていただくなどの仕組みを作っていただきたい。

 

学校の中では学べない薬草についての知識を得るとともに、実際に自分の手で触れることで、その知識を更に深めることができる生きた学習の場として、次世代を担う子供たちに薬草園を活用していただけるように検討していただきたいと思います。

 

そこで、まず、薬草園本来の目的を達成する為に、来園者の状況について分析されているかお伺いをします。

 

次に、近年、ガーデニングなどを趣味とされる人が増え、家庭でハーブなどの薬草を育てる人も多いこの頃です。

 

健康のための薬草や化学物質以外の虫よけ等にも大きな関心を持っておられます。

 

こうした人々に対し、より薬草園を魅力あふれる施設へと作っていただけるよう協力・支援を呼びかけてボランティア活動として参加していただけることが大切なのです。

 

他県の薬草園を見てみますと、こうしたボランティア活動が行われています。

 

今のままでは、県や指定管理者だけが運営を取り仕切る姿しか見えていません。

薬草園を設立する方針の中には広く県民のボランティアをお願いすることになっていましたが、その姿が見えていないことに気付きます。

 

今一度、薬草園の整備を求めて来られた県薬剤師会に対し活動のあり方をもっともっと話し合っていただいて、県民のボランティア推進計画の先頭になっていただくとともに、これから説明しますNPO法人のような支援を検討していただくよう求めていただきたいと思います。

 

今、名古屋市東山動植物園では、名古屋市内の薬剤師さんを中心としたNPO法人「薬草園を育てる薬剤師とその仲間たち」が活発に活動を始めています。

 

 

対象は一般市民であり、入会金は無料で年会費は正会員10,000円、賛助会員は一口1,500円とのことです。東山動植物園には平成2年に県薬剤師会が創立100周年事業として中国産薬用植物を集めたコーナーなどを設け、また、名古屋市は平成10年に「薬草の道」を整備しましたが、最近は管理が十分に行われていなかったため、このNPO法人が「薬草の道」の維持・管理を目的に資金や知識を出しあって市の援助なしに頑張っておられます。

 

これも県薬草園が開園したことに刺激・共感したのが切っ掛けであります。

 

県薬草園でも、名古屋市東山動植物園で展開されているNPO法人のような団体が作られることを期待しております。

 

特に、薬草園の整備を強く求めてこられた県薬剤師会においては、かつては公益法人への移行も期待されての考えもあって、県薬草園の実現に向けた資金支援の申し入れを県当局に打診をしていた経緯もありました。

 

それが一般法人しか認められなかったこともあり、公益事業として県薬草園への資金支援が困難となり、現在のように健康イベント企画への応援のみとなっています。

 

是非、県薬草園に継続的な支援が可能となるNPO法人を活用した支援を県薬剤師会に打診していただけないかと思っています。

 

例えば、その団体が用意した薬草の種や苗などを薬草園に来訪された記念に子供達に渡すことで、家庭で育てることを通して、植物の成長を実際に見て、学ぶ機会を与えることができます。

 

そうした団体が増えることにより、お互いが刺激をし合い、切磋琢磨することで、魅力あふれる薬草園になっていくと思います。

 

また、大学薬学部にも専門知識を活かした薬草園作りに向けた協力をお願いすることも必要と考えますし、何よりも、薬草園の整備を求めてこられた県薬剤師会には、この薬草園を魅力あるものとしていくために、積極的に関わってほしいと私は願っています。

 

県薬草園が開園して1年が経過する機会に振り返る材料として、いろいろ提案しましたが、最後に、今後、県として薬草園の目的を達成するために、さまざまな企画やボランティア体制の確立に、どのような考えをお持ちかお尋ねをいたします。

 

以上です。

 

 

 

(答弁)保健医療局長

 

あいち健康の森薬草園に関する御質問のうち、まず、来園者の状況について、お答えいたします。

 

薬草園は、薬草の活用を通じて県民の皆様の心と体の健康づくりに対する意識の向上を図ることを目的として平成27年4月に開園したところでございます。

 

薬草園の来園者につきましては、イベントの参加者にアンケート調査を実施し、その状況等について分析をしております。

 

 

開園直後のゴールデンウィーク期間中に来園された方にアンケートを実施し、2,266名の方に回答をいただきましたが、これによりますと、男女比は男性44%、女性56%、住所は大府市、東浦町の地元の方が46%を占めておりました。

 

また、年齢層は、20歳未満が9%、50歳代以上が57%でございまして、ゴールデンウィーク中には、近隣の50歳以上の方に多く来園していただいたところでございます。

 

また、その後に開催したイベントにおきましても、参加者は比較的高齢の女性が多い傾向にございました。

 

そのような中で、夏休みの自由研究を意図して2回開催した「虫よけスプレー作り」には、小学生の子どもを含む家族連れなど76名に参加していただいたところでございます。

 

なお、季節による来園者数の動向につきましては、他の都市公園と同様、夏場には少なくなり、秋には増加する傾向がみられました。

 

こうしたイベントの参加者の分析は今後も定期的に実施し、その結果を基に、さらに工夫を凝らし、多くの県民の皆様に薬草園を訪れていただけるようにしていきたいと考えております。

 

 次に、薬草園における企画やボランティア体制の確立について、お答えいたします。

 

イベントなどの企画につきましては、今年度、定員を超える申込みのあった、先ほど言った「虫除けスプレー作り」や「マイカレー粉作り」などに加え、平成28年度は来園者の意見をもとに、園内で収穫した薬草を活用した体験型のイベントなど、さらに楽しめるイベントを企画してまいります。

 

また、ボランティアにつきましては、指定管理者である愛知県薬剤師会と株式会社日誠の共同体が受入れ準備を進めておりまして、3月26日にボランティアグループの設立総会が開催され、4月から活動を開始する予定でございます。

 

設立時のメンバーは、今年度薬草園で開催した薬用植物農業体験教室に参加されました方を中心に、20名程度を予定しております。

 

当面のボランティア活動は、植栽管理の補助業務を中心に取り組んでいただき、薬草の知識や栽培技術等を学んでいただく予定でございますが、将来的には、薬草園の案内を行うガイドボランティアの育成につなげてまいりたいと考えております。

 

また、小学校の社会学習で薬草園を取り入れていただく仕組みにつきましては、薬草園を小学校などの社会見学の候補地としていただくよう、まずは地元市町の教育委員会を中心に、働きかけをしてまいりたいと考えております。

 

議員からいただきました様々なご提案につきましては、指定管理者と協議、検討してまいりたいと考えております。

 

今後とも、地域や薬業関係団体、大学等と協力しながら、子どもから高齢者まで誰もが楽しめる魅力的な薬草園を目指してまいりたいと考えております。

 

 

(再質問) 筒井タカヤ議員

 

この県薬草園は平成の始め頃に県薬剤師会の代表者による強い要請があり、県が検討を行い、事業の進め方を考えました。

 

建設・維持管理費を考えると、とても困難ということで、長く中断をしていた経緯がありました。

 

それが大村知事になって県薬草園が突然にOKとなり、私自身も改選の前のこの議場において、大府市の健康の森の一角の場所等は公共交通のもちろんのこと、健康の森の施設から離れており、不適格で、さらにまた事業の計画等にもまだまだ疑問点があると指摘をしたことを覚えております。

 

県薬草園を建設するのであれば、長久手市、愛知県農業総合試験場が最適ではないかとも提言した経緯がありました。

 

更に、中国を始めとする外国の薬草を大量に輸入している今日、安心・安全な薬草・薬木を提供する民間協力によるPET事業で、県薬草園を作るという考えを示したところであります。

 

 今、県薬草園が大府市健康の森の一角に完成をして10か月となりました。とにかく、県薬草園を完成させることのみに集中専念して、思い付いたイベント企画によるフェスティバルは一生懸命行いました。その結果、県薬剤師会の協力もあり、何とか目標どおりに成果を得られたと私も率直に認めています。

 こうして県薬草園は指定管理者の努力もあって、一応は水やり、除草はなされ、形どおりの運営はなされているものの、最も重要な、県民が薬草を通じて健康を考える、とした、若い世代に向けた学習・体験がまだまだ計画的になされていなかったのだという反省を思いあたる、未だ、小中学校の課外学習の殿堂ともなっていないことを鑑みるとき、またさらに、ボランティア活動も十分とは言えない現状の今、このままでは、中高年の地域の年齢の団らんの場として応援しているということになっていくことの危惧を私は抱いております。

 

何とか県薬草園を作り出した県健康福祉部が中心となって今、答弁がありましたとおり、各市町の教育委員会に働きかけたり、大学薬学部に関係した皆さんに働きかけをすると言っておられますが、一体どのような形で、どのような目標を立てて、やっていくのか、これを少し具体的に述べていただけないでしょうか。これが質問です。

 

夏は一時的に猛暑で入場者が少なかった。そして秋はとても盛況だったというお話をいただきました。

 

冬については何の実情も語られていませんでした。

 

私は思います。もともと、この薬草園なるものがですね、一般的に本当にだれもが積極的に学んで見に来るという施設そのものでもありません。ですから、特に夏休みの課外学習、こういったものについての強化をですね、もっともっと全力を込めてやっていかなければいけないと思います。

 

秋は盛況であった。こんなお話もされましたが、実情は地域のマラソン大会があって、そこのところをですね、通る人を全部スタンプラリーをさせておいて、そして人数をですね確保したような形で、こんなようなことはやっぱり止めていただきたい。

 

本当の意味での内容を作っていただきたいのだということです。私は思います。いたずらに人数を捏造するような、また、そういう人数を作らなくてはいけないというものでもありません。

 

しっかりと、要するにイベント会社にも、イベント企画される人にも、さらにまた管理運営する指定管理者に対しても、人数は心配しなくてもいい。

 

とにかく、教育の場、愛知の伝統のメッカとなるようなものにする、こういったものでやっていただけるように、私は姿勢を改めるべきだと思いますが、率直なご見解、ご意見をお示しください。

 

 

ともするとですね、私、思いますが、こういった先ほどイベントの企画のときに、いろいろなアンケートを取った、そういったことをお話されました。

 

その数値をこういった場だけじゃなしに、常に日常的にやはりこれを公開し、どういうものを県民が求めているのか、こういったものをですね、もっともっと集約して、より良いものにしていきたい。こういうふうに思います。

 

私は思いますが、県薬草園も含めてでありますが、先日のあいち航空ミュージアム等にも、お話をしました。

 

また、最近、朝刊等を見てみますと県体育館を活用したフットサル大会でも、いろいろとですね、知事さんが構想をブチ上げた。

 

そして、それを検討した、そしてそれを推進した。いいところまで来ているように思いますけれども、ともすると、そういったような大きな流れだけに沿って行っているんではないか。議会人としても私は憂いを持っております。

 

今一度、何とか立ち止まって、しっかりと考え、そういった構想をもう一つ、私たちもチェックしながら、そしてこういった企画、そういったものについての物事を判断していくべきだと、そういうふうに思っております。

 

私は今後も県薬草園を見つめつつ、応援し、そして今後とも変わらざる姿勢で応援していきたいと思います。

 

 

 以上であります。

 

 

 

(保健医療局長)

 

 4月からは薬草園が開園して2年目に入ります。

 

これまでの運営状況を踏まえつつ、県内の薬業関係団体、大学薬学部及び地元市町教育委員会などと連携し、小中学生などの社会見学の候補地としていただくよう、働きかけなどをいたしまして、1人でも多くの県民の皆様にご利用いただけるよう取り組んでまいりたい、というふうに考えております。

 

 また、来園者数は他の都市公園と同様に、薬草園を訪れた方を目視でカウントし、集計したものでございまして、適切なカウント方法であると認識しております。

 

 最後に、学習、講演の内容につきましては、参加者の声も含めまして、ホームページ等で公開することを検討してまいりたい、というふうに考えております。