平成28年6月 建設委員会想定質問(筒井タカヤ委員)

 

 

 

 

県営住宅の管理に関する問題についていくつか質問をいたします。

 

 

 

県会議員 筒井タカヤ

私はこれまでの県議会において、県営住宅を適切に維持管理していくためには、適切な修繕サイクルによる計画修繕が不可欠であることを、繰り返し、繰り返し、訴えてまいりました。

 

そして、現在の県営住宅の修繕の現状は、もはや予防保全的に行うべき本来の計画修繕ではなく、不具合のあるそのたび事に事後的に修繕する緊急対応に過ぎないことを明らかにしてきました。

 

これは、平成8年の公営住宅法の改正によって公営住宅がセーフティネットと位置づけられ、応能応益家賃制度に転換し、家賃水準が大きく低下したこと。また、平成16から18年の三位一体改革によって、税源移譲が行われ、国庫補助金が大幅に減額されたことなどが原因で、県営住宅の収入等が大幅に減少したことによるものです。

 

本来ならば、公営住宅はセーフティネットなのですから、収入の減少分は一般財源によりしっかりと財源を確保し、計画修繕を継続していくべきであったのです。

 

ところが、収入の減少分は、すべて修繕の予算を減らすことで済ませてしまった。そこに大きな問題があるのです。

 

昨年度の建設委員会では、県当局から、ここ数年の計画修繕では、入居者の安全確保や利便性維持の観点から、ベランダ手摺りや外壁を改修するとともに、エレベーターについては、メンテナンス部品の供給状況、即ち、設置から年数の経過したエレべーターは、部品そのものの供給・製造が中止になったこともあって、計画的に設備の更新・取替を実施しているとの説明がありました。そして、平成28年度からは、新たに、給水設備の老朽化が深刻なため、更新を行っていくとの回答がありました。排水設備は、未だ、いつ頃から、いつまでに対処するかも計画ができていません。

 

次の9月議会には、おおよその計画・目標が示せるようにしてください。

 

厳しい財政状況の中で予算獲得に努力していることは評価いたしますが、県当局が計画修繕と称するものは、例えば外壁改修を取り上げてみましても、外壁の全面的な塗り替えを行うのではなくて、不具合のある部分、ひび割れの穴埋め修繕程度にとどまっており、本来のあるべき計画修繕からは大きくかけ離れていることを改めて指摘しておかなければなりません。

 

さて、今回は県営住宅の電気設備の改修について質問をいたします。

 

県営住宅の外壁に設置してある電気の「(ひき)(こみ)開閉器(かいへいき)」や廊下や階段などの共用部分の照明器具が老朽化などのために、大雨が降ったりするとあちこちでショートして停電してしまうという苦情が自治会や入居者から寄せられております。

 

こうした事故の件数は過去3年間でどのくらいあるのか、また、その修繕費用は誰が負担しているのかについて答弁を求めます。

 

 

 

 

(県営住宅管理室 主幹 答弁要旨)

まず、最初に電気設備の修繕の費用負担についてご説明いたします。共用廊下や階段部分の照明器具につきましては、蛍光ランプの取り替えなど消耗品は自治会が負担し、蛍光灯器具の交換など設備そのものに係るものは、県が負担することとなっております。

また、「(ひき)(こみ)開閉器(かいへいき)」については、県の負担により修繕しております。

 

次に、修繕の件数ですが、平成25年度から27年度までの3年間において、県の負担により共用部分の電気設備を修繕した件数は、照明器具や「(ひき)(こみ)開閉器(かいへいき)」の取り替えを含めて、104件でございます。

 

このうち台風時の大雨の影響などによって故障した電気設備の修繕件数は、14件でございます。

 

 

 

 

県会議員 筒井 タカヤ  

 

 電気設備は入居者のライフラインとして極めて重要であることは言うまでもありません。電気設備が雨の影響でショートしたりすることは本来あってはならないことなのではないでしょうか。

 

 電気設備の改修は、不具合が起きてから修繕するという事後的な対応ではなく、しっかり計画修繕に組み入れていくべきと考えます。

 

答弁を求めます。

 

 

 

 

(県営住宅管理室 主幹 答弁要旨)

 

電気設備の改修につきましては、委員ご指摘のとおり、計画修繕として、計画的に取り替えを行うのが本来ではありますが、予算も限られておりますので、設備の状態を勘案しながら、修繕が必要な箇所につきまして一般的な修繕費により実施しているところでございます。

 

計画修繕費の予算の獲得に向け、引き続き努力してまいります。

 

 

 

 

県会議員 筒井 タカヤ

 

今の答弁にもありましたが、本来は計画修繕として取り組むべきであります。しっかりと予算の確保をしていただきたい。

 

次に、照明器具のLED化について質問をします。

 

現在、わが国政府は、温室効果ガス削減への取り組みを進めるため、エネルギー消費効率の高い製品の普及を目指し、製造業者等に機器等のエネルギー消費効率の向上を求める「トップランナー制度」を推進しているところであります。

 

照明器具につきましては、既に平成20年(2008年)に、経済産業省がメーカーに対して、白熱電球の生産・販売を自主的にとりやめるよう要請し、主要なメーカーでは、既に一般的な白熱電球の生産・輸入を停止しました。

 

蛍光ランプについては、現時点では方向性は定まっていないようではありますが、白熱電球と同様に、近い将来には、省エネ性に優れたLED照明などに取って代わることは、まず間違いないのではないかと思われます。

 

県営住宅の共用部分の照明器具は、ほとんど蛍光灯器具が使われております。

 

一方、このたび県当局にお聞きしたところ、昨年10月以降の発注分から、県営住宅の建替や長寿命化改善工事に際しては、共用部分の照明器具は、すべてLED照明を設置することにしたとの説明がありました。

 

建替や長寿命化改善工事でLED照明を設置するならば、既設の県営住宅につきましても、LED化すべきではないかと考えますが、県当局の答弁を求めます。

 

 

 

 

(県営住宅管理室 主幹 答弁要旨)

 

既存の県営住宅の共用部分の照明器具は、大部分が蛍光灯器具であります。

 

現在、蛍光ランプは支障なく調達できますので、蛍光ランプだけを取り替える場合には、従来通り、自治会で取り替えを行っていただいております。

 

一方、蛍光灯器具が故障した場合には、県の負担によりLED照明を設置しております。

 

 

 

 

県会議員 筒井 タカヤ

 

時代は急速に変化しています。

 

街の電気屋さんへ行くと、交換用の白熱電球や蛍光ランプは売られていますが、照明器具はほとんどLED方式のものしか売っておりません。

 

自治会や入居者からは、既設の県営住宅につきましてもLED化してほしいという要望が寄せられております。

 

自治会は、入居者から集めた共益費で共用部分の電気代や交換する蛍光ランプの代金を支払っているわけです。LED照明になれば電気代が安く済みます、また、費用や手間のかかる電球の交換はしなくて済みます。

 

共益費をできる限り安くしたい自治会や入居者は、維持費が安いLED方式が望ましいわけです。

 

LED化すれば、省エネルギー・CO2の削減に貢献できるし、電気代は安くなるし、電球の交換の手間や費用は省けるし、いいことだらけではないですか。県が率先して、県営住宅が取り組んでいくべきではありませんか。

 

今の答弁では、壊れた照明器具の取替は、LED化しているとのことですが、建て替える県営住宅は、既にLED照明を設置しているじゃないですか。

 

既設の住宅についても、是非とも計画修繕で早急にLED化に取り組んでいただきたい。

 

答弁を求めます。

 

 

 

 

(県営住宅管理室長 答弁要旨)

 

既設県営住宅につきましては、ただ今、主幹から説明にありましたように、照明器具が故障し、県で取り替えが必要になった場合には、LED化しております。

 

本来ならば、老朽化した照明器具については、あらかじめ計画的に取り替えていくことが理想だと考えます。

 

しかし、このためには、相当額の予算措置が必要となりますので、今後の検討課題だと考えております。

 

 

 

 

県会議員 筒井 タカヤ

 

次に、住宅の居室部分の照明器具についてお尋ねいたします。

 

住宅の居室部分の照明器具は、入居者が自らの負担で設置することになっており、蛍光灯器具であろうとLED照明であろうと入居者が自由に取り付けることができます。

蛍光灯からLEDにすれば電気代が安くなると聞いた入居者が、蛍光灯器具のランプが切れた場合に、大型家電専門店に行って、切れた蛍光灯器具の交換用ランプとしてLEDランプを買って帰り、自分で交換することも当たり前のように行われています。

 

高齢者が多い県営住宅では、電気の知識のない人が、善意のお手伝いでもって、既存の蛍光灯器具にLEDランプを取り付けて感謝されているとの話も聞いたことがあります。しかしながら、その善意の行為が、実はとんでもない危険なことにつながるお手伝いをしていることを誰も知らないのです。

 

業界団体である「一般社団法人日本照明工業会」のホームページを見ますと、「直管LEDランプ専用器具の電気用品安全法の適合可否について」というリーフレットの中で、「長期間使用した蛍光灯照明器具にそのまま直管LEDランプを装着し、さらに長期間使用するのは危険です」そして「ランプだけを直管LEDランプに交換するのではなくLED照明器具へ交換することをお勧めします」と記載されています。

 

つまり、蛍光灯器具に直管LEDランプを取り付けることは、不具合が発生する恐れ、即ち、最悪の場合は火災を招くことがあるということです。

 

これは事実かどうか、電気の専門家の答弁を求めます。

 

 

 

 

(公共建築課 主幹 答弁要旨)

 

洗面所等にあります棒状の蛍光ランプ、この部屋の天井にも直線状の蛍光ランプが入っていますが、これをソケットに、はまるからと言って、 LEDランプに安易に取り替えると、不点灯、器具故障、最悪の場合は発熱により、火災を招く恐れがあります。

 

器具本体とLEDランプは、一体的なものでありますので、ランプだけを直管 LED に交換するのは、事故につながる可能性があります。

 

今の答弁にあったような事実は、ほとんどの人は知らないのです。

 

県営住宅の入居者に、こうした不具合即ち、危険性があることを周知するべきではないでしょうか。その方法について答弁を求めます。

 

 

 

 

(県営住宅管理室 主幹 答弁要旨)

 

委員ご指摘のとおり、蛍光灯器具にLEDランプを装着すると不具合の恐れがあるということは、一般的には知られていない事項でございますので、入居説明会や掲示板などを活用して周知に努めてまいります。

 

 

 

 

県会議員 筒井 タカヤ

 

 きちんと分かりやすく、具体的に絵を描くなどして説明しないと分かりませんので、そうした周知を徹底してください。県営住宅だけでなく、県民に対する照明器具に対する危険性も周知することは、重要なことです。是非こうした広報を行ってください。

 

次に、汚水処理施設についてお伺いします。

 

汚水処理施設につきましては、昨年の12月の建設委員会でも取り上げ、質問させていただきました。

 

公共下水道に接続されていない住宅については、敷地内に汚水処理施設が設置され、その数は、平成27111日現在で、45団地に61基の汚水処理施設があること、これらは、法令等に基づき、県と自治会が互いの費用負担区分を決めて、専門の保守管理業者に委託して、しっかりと維持管理をしているとの説明がありました。

 

しかし、水質検査および点検に要する費用については県が負担する一方で、汚泥の抜き取り、消毒剤の投入に係る費用については、自治会の負担となっています。

 

この自治会の負担分は、入居者から集める共益費から支払っておりますが、共益費を支払わない入居者が増えてきたことや、高齢化によって自治会が弱体化してきたことなどによって、これからも汚水処理施設の管理に必要な多額の費用をちゃんと払っていけるのかどうか心配だという声が届いております。

 

県当局は、昨年度から共益費を県で徴収することについて検討を開始しましたが、汚水処理施設がある住宅は、ない住宅に比べて自治会の負担がどのくらい重いのか、答弁を求めます。

 

 

 

 

(県営住宅管理室 主幹 答弁要旨)

昨年度、自治会アンケートを行い、共益費の実態を調査しました。

 

その結果、自治会が集める共益費の額は、汚水処理施設及びエレベーターのあるなしによって、大きな差があることが分かりました。

 

分析した結果では、汚水処理施設の維持に伴う費用は、平均して戸あたり月額で1,800円程度であろうと見込んでおります。

 

 

 

 

県会議員 筒井 タカヤ

 

自治会の役員は、今、共益費を集めるのに非常に苦労しております。

 

今の答弁にもあったように、汚水処理施設のある住宅は、特に共益費が高額となっており、段々と共益費の徴収が困難になっています。近い将来、共益費が集まらず、汚水処理施設が維持できなくなってしまうのではないかと、心ある自治会の役員の方々は心配をされております。

 

一方、公共下水道へ切り替え、汚水処理施設を廃止した住宅では、下水道料金は水道料金に合わせて市町が徴収してくれるため、共益費が安くなった、汚水処理施設の維持管理費の支払いから解放されたと喜ばれております。

 

県営住宅においては、今後、公共下水道への切り替えをどのように進めていくのか、答弁を求めます。

 

 

公共下水道に切り替えることによって、自治会は汚水処理施設の維持管理から解放され、共益費も安くて済むようになる、県も汚水処理施設の維持管理や更新の心配をしなくてよいなど、公共下水道への切り替えは県や自治会にとって、非常にメリットのあることです。

 

今の答弁にもあったように、今後、公共下水道の供用区域の拡大に伴い、汚水処理施設から公共下水道への転換が進むことと思いますが、切り替えが終わるまでは、汚水処理施設を維持していかなくてはならないし、また、そもそも公共下水道が来ない住宅もあるわけです。

 

 

 

 

(県営住宅管理室長 答弁要旨)

 

県営住宅の汚水処理施設は、平成2861日現在、44住宅で60基の施設がございます。

 

今年度は、瀬戸市の西山住宅、松ヶ丘住宅、岡崎市の本宿住宅、豊田市の畝部住宅の4住宅5基の汚水処理施設につきまして、公共下水道への切り替えを計画しており、このうち瀬戸市の西山住宅では、既に今月に公共下水道への切り替えを完了したところでございます。

 

平成29年度から31年度までの、今後3年間におきましては、6住宅9基の汚水処理施設の公共下水道への切り替えを予定しております。

 

今後とも、市町による公共下水道の供用区域の拡大に伴い、県営住宅が公共下水道の供用区域に入った場合には、順次、速やかに切り替えを行うこととしております。

 

関係の市町及び自治会と、しっかり調整を進めてまいりたいと考えております。

 

 

 

 

県会議員 筒井 タカヤ

 

そのような住宅については、自治会に代わって共益費を県で徴収するなど、自治会の負担軽減を図っていただきたい。

 

これまで担当者の方に答弁をしていただきました。最後に建築局長に総括して考えを伺います。

 

特に、電気関係についての計画修繕費に関しては、財政当局と協議していく上で、県営住宅の入居者の命を守るんだとの強い決意のもと、いつまでに工事完了をさせるか計画表・目標を示して交渉していただきたいことを申し添えます。

 

答弁を求めます。

 

 

 

 

(建築局長 答弁)

 

県営住宅の共用設備のうち、今回は電気設備を中心にご意見をいただきました。

 

 計画修繕費については、平成8年の公営住宅法改正により、予算額が減少し、老朽化が進んできた昨今、十分な計画修繕ができなくなっている状況にあります。

 

 そうした中で、建物全体を一体的に給排水設備や防水・外壁等の改修を行う長寿命化改善工事や、エレベーター改修工事を実施するとともに、計画修繕では、今年度から、給水設備の改修を進めることとしております。

 

 今後も引き続き、計画修繕を始めとする修繕費・改修費の確保に努めていきたいと考えております。

 

 また、共益費の問題につきましても、汚水処理施設を例に挙げてご意見をいだだきました。引き続き、関係者等との調整を進めてまいります。

 

 

 

 

県会議員 筒井 タカヤ

 

施設の維持管理は事故があってはなりません。

 

おこさないようにしなければなりません。適切に維持管理されていて当たり前です。

 

何事も早め早めに手を打って、火災の危険性を除去し、生活衛生の維持ができなくなるような事故が起きる前にあらかじめ予防的な措置をとる。

 

そういう姿勢で県営住宅の維持管理をやっていただきたい。

 

県は財政的にとても厳しいです。その中で、命を守ると言う思いを心に秘めて、きちんと交渉を望みます。単に担当の課室長に財政当局に当たらせるのではなく、局長自身が責任を持って行っていただきたい。以上です。

 

 

今回は終わります。