平成29年9月
平成29年(9月:県議会)建設常任委員会
〈議事録〉 筒井 タカヤ
筒井タカヤ議員 質問
県営住宅の管理に関する問題についていくつか質問をいたします。
私は、これまで県議会の本会議や建設委員会の場で、繰り返し繰り返し、今日の県営住宅が抱える数々の問題点、即ち、住宅の「計画修繕」が従来はあったのが、県の財政が危機的な状況となったから定期的な修繕は全くなくなった。
古くなった県営住宅は周囲の住宅と比較するまでもなくボロボロです。若い世代の人は、なんと県営住宅だけはイヤだとまで言い出しています。
若者が入居し自治会に入ると、共益費の集金係にさせられるとの評判です。
こうした問題点を何とか早急に解決しなければいけないと議論を重ねてまいりました。その理由は、地域の住民の方々の声を聞く中で、今の県営住宅があまりに多くの問題を抱えていることを痛感し、手遅れになる前に何とかしなくてはいけないと考えているからです。
県営住宅は、高度経済成長期の住宅不足の時代に大量に建設され、住宅に困窮する多くの住民に提供され、大きな役割を果たしてきました。
しかし、今日、建設から相当年数が経過して老朽化が激しくなってきたにも関わらず、財政状況もあってか、やるべき計画修繕や制度改正を行わず放置してきたツケが、様々な問題として一気に回ってきたのです。
県営住宅のストックの多くは、外壁改修や塗装が満足に行われていないため住宅の外観がみすぼらしい上に、エレベーターや電気・給排水など共用部分の設備が更新されないまま。
さらに、居室部分の構造や設備も本当に時代遅れで、今日の賃貸住宅の水準から大きく立ち後れてしまいました。
また、急速に進む高齢化社会への対応が遅れ、建物などのハード面のみならず、高齢化で担い手がなくなりつつある自治会に共益費の徴収や共用部分の電気料などの支払いをさせたり、駐車場の管理を委託するなどの時代遅れの方法を未だに続けているのです。
前回の建設委員会では、県営住宅の空き家が一万戸も発生している問題、未だに県営住宅の家賃がコンビニで納付できない問題、そして住宅の連絡員が高齢化して機能しなくなっている問題などを取り上げました。私が幾多の提言を県議会でしても結局はお金(経費)がかかることは先延ばしで解決方向には進展していません。
今回の建設委員会では、県営住宅の抱える問題点を更に深掘りしてまいります。
私は、県営住宅の管理はどうあるべきか、県営住宅の管理の課題は何かを議論する前に、今日の県営住宅には、どのような方々が住んでいるのかについて実態を把握することが大前提であると思います。
今日の県営住宅は、自力では住宅を確保できない住宅に困窮する低額所得者のセーフティネットとして位置づけられており、家賃については、入居者の収入を基準として住宅の利便性等を加味して負担する「応能応益家賃制度」となっております。
そこでまず、改めて県営住宅の入居基準について説明して下さい。
(県営住宅管理室 主幹 答弁)
県営住宅の入居基準は、県営住宅条例において、収入が基準以内であること、現に住宅に困窮していること、原則、同居する親族があること、暴力団員でないこと、県営住宅に係る未納家賃等がないこと、とされております。
収入基準につきましては、全国の世帯収入を順に並べた収入分位に基づき設定されており、一般世帯は収入分位が25%以下、所得月額で15万8千円以下としており、特に居住の安定を図る必要がある高齢者、障害者、子育て世帯などについては、収入分位が40%以下、所得月額で21万4千円以下の世帯が対象となります。
筒井タカヤ議員 質問
次に、現在の県営住宅は、県内43市町村に、297住宅、58,301戸を管理し、うち入居戸数は48,269戸とお聞きしておりますが、入居者の収入の状況、世帯主の年齢層、外国人や生活保護費受給者の世帯数、平均の入居年数を答弁して下さい。
(県営住宅管理室 主幹 答弁)
まず、県営住宅の入居者の収入状況でありますが、一般世帯の入居階層となる収入分位が25%以下、所得月額で15万8千円以下の入居者が全体の約82%となっておりますが、一番最下位の収入分位が10%以下、所得月額で10万4千円以下の入居者は、全体の約71%となっております。
次に、世帯主の年齢層でありますが、就労世代である60歳未満の世帯主の割合が全体の約47%、60歳以上が53%となっております。また、年金の受給年齢である65歳以上では全体の約44%、更に75歳以上の世帯主は全体の約20%となっています。
次に、外国人の世帯数及び生活保護費受給者の世帯数でありますが、平成29年9月1日現在、外国人世帯が6,777世帯で全体の約14%、生活保護費を受給している世帯が3,007世帯で全体の約6%となっております。
最後に、県営住宅の平均入居年数でありますが、約16年となっております。
筒井タカヤ議員 質問
次に、県営住宅では、低額所得者の中でも特に所得の低い世帯を対象に、家賃を更に減額する制度を設けているとお聞きしておりますが、その状況についても答弁してください。
(県営住宅管理室 主幹 答弁)
家賃の減免減額制度についてでありますが、本県では特に低額所得である方に対して、所得月額に応じて家賃の減額を行っております。
具体的には、所得月額が2万6千円以下の場合は50%、2万6千円を超え5万2千円以下の場合は30%、母子世帯や高齢者世帯などで5万2千円を超え7万8千円以下の場合は10%をそれぞれ減額しております。
家賃の減額を受けている世帯の状況でありますが、平成29年9月時点で50%の減額を受けている世帯が15,485世帯で全体の約32%、30%の減額を受けている世帯が2,382世帯で約5%、10%の減額を受けている世帯が874世帯で約2%あり、家賃減額を受けている世帯は18,741世帯で全体の約4割となっております。
筒井タカヤ議員 質問
先ほどの答弁にあったように、県営住宅全体のうち4割以上の世帯主が65才以上の高齢者で、75才以上の方が実に2割もみえます。また、外国人世帯は6,777世帯で全体の14%、生活保護世帯は3,007世帯で6%を占めているのです。
更に、今日の県営住宅では、7割を超える世帯が収入分位で10%以下に属しており、その中でも、その半分程度の所得しかない世帯が、全体の4割も占めているのです。
そうした状況に対して、県も家賃減額制度を設けるなど、住宅に困窮する社会的弱者のセーフティネットとして、手厚い措置を講じているのです。私は、これを高く評価しています。
高齢化は今後も急速な勢いで進みます。県営住宅のセーフティネットとしての役割はますます重要なものになるはずです。
はたして民間の賃貸住宅が県営住宅と同様な役割を果たしていけるのか、私は疑問に思います。
私が、県営住宅について、常に県の姿勢を厳しく問い正すのも、今後も住宅セーフティネットとして、県営住宅がしっかりとしなければいけないと大いに期待をしているからなのです。
県営住宅の入居者が置かれている状況をしっかり把握した上で、維持管理を考えなくてはいけないのです。
そこで、今回は入居者の日常生活に不可欠な風呂の問題を取り上げます。
先日、私のところに、ある県営住宅への入居を希望される高齢の年金生活者のご夫婦が相談にみえました。
その方は、「希望する県営住宅にお風呂がついていないのでびっくりしました。今時、お風呂のない住宅ってあるんですね。年金暮らしで生活が苦しいので県営住宅に入りたいのに、お風呂をつけるのに20万円ものお金がいるなんて納得できません。」との相談でした。
そこで質問です。比較的新しい県営住宅は県で浴槽や風呂釜の風呂設備をつけているようですが、なぜ古い県営住宅には未だにないのか。
現在の風呂設備の設置の状況と、なぜ古い住宅には風呂設備がないのかについて、答弁してください。
(県営住宅管理室 主幹 答弁)
本県におきましては、昭和60年度建設の新築住宅から、県で浴槽などの風呂設備を導入してまいりました。
現在、管理戸数約5万8千戸のうち、浴室はあるが、県が風呂設備をつけていない戸数は約3万3千戸で、約57%となっております。
古い県営住宅に風呂設備がない理由でございますが、県営住宅を含む公営住宅は、昭和30〜50年あたりが建設ラッシュで、その頃は内風呂が普及する過程でありました。
今では内風呂は常識となっていますが、当時は、まだ一般の住宅に住む人も公衆浴場であるいわゆる銭湯を利用する方が多かったことから、浴室だけを設け、風呂の設備は入居者が負担するという仕組みであったと考えられます。
筒井タカヤ議員 質問
今、答弁していただきましたが、この約6割の県営住宅で風呂設備がないということです。そして、こうした住宅に入居する県民は、風呂をつけるために20万円ものお金が余計に必要なんです。
先ほどの答弁で明らかになったように、県営住宅の入居者は、愛知県民750万人、310万世帯のうち収入分位が10%以下の方々が大半なのです。
古い県営住宅には風呂の設備がない、これは、今日の状況に照らして如何なものでしょうか。
公営住宅で全国どこもこういう状況なのか、他府県の状況について答弁して下さい。
(県営住宅管理室 主幹 答弁)
主要な他団体の状況を申し上げますと、風呂の設備のない住宅は、東京都で28%、大阪府で79%、京都府で19%、兵庫県で24%となっております。
筒井タカヤ議員 質問
大阪府は別として、他府県は愛知県よりずっとましじゃないですか。 風呂設備のない県営住宅について、愛知県(57%)が京都府(19%)のような状況となるよう取組目標を掲げてください。
低額所得者にとって入居の際に風呂に20万円、これはすごい大きな負担ではないかと思います。
県営住宅に入居を希望する方が、風呂設備がないことにより入居を諦めなければならない状況にあることは非常に大きな問題ではないですか。
既設の県営住宅への風呂設備の設置についてどのように考えているのか、答弁を求めます。
(県営住宅管理室 主幹 答弁)
既設住宅の風呂設備の設置につきましては、住宅の長寿命化改善事業に際して、一部住戸に風呂設備を設置しております。
しかしながら限られた予算の中で、風呂設備をすべての住宅に県負担で整備することは、現時点では困難な状況であります。
筒井タカヤ議員 質問
空家住宅の募集で、高齢者・母子世帯を含む弱者のために「福祉向」で優先入居も行っている。
しかし、こうした人から真っ先に、風呂設備の整備をしてください。
建築局長の所見を求めます。
(建築局長 答弁)
風呂設備の設置についても、県営住宅の課題の一つであると認識しており、現在、建替住宅のすべての住戸に風呂設備を設置しております。
加えて長寿命化改善事業を行う際に、一部の住戸に風呂設備を設置し、福祉向け住戸として募集を行っているところでございます。
今後も建替事業と長寿命化改善事業を積極的に進め、風呂設備の設置を推進してまいります。
筒井タカヤ議員 質問
これまでも再三にわたり指摘してきました。平成8年の公営住宅法改正により、愛知県は「応能応益家賃制度」に移行して以来、家賃収入が大幅に減った分をそのまま修繕費を減額してしまったのです。
入居者にしわ寄せして、家賃が安くなったから我慢しなさいと言わんばかりの冷たい対応だったのです。
でも、東京都や京都府や兵庫県はちゃんとやっているんです。そうした団体だって本県と同様に財政状況は厳しかったはずです。しかし財政状況が厳しい中でも、住宅の風呂設備の設置を進めてきたのです。
愛知県だってやろうと思えばできるはずです。しっかりと対応して下さい。これは本当に義憤を感じます。
では、次に、駐車場の問題について伺います。
これもある入居者の方からの相談です。
県営住宅に住む入居者の方が高齢になって、近所に住む娘さんが介護のために県営住宅に毎日のように足を運ばれるようになりました。
交通の便が悪いので娘さんは車で通っているのですが、入居者である親は車を持っていないのにも関わらず介護に来てくれる娘のためにわざわざ駐車場を借りているとのことでした。
私は、従来から、福祉向けとしての駐車場を入居者用とは区別して県で整備するべきであるとずっと主張してきました。
なぜならば、超高齢社会を迎え、介護者用の駐車場や食事の宅配サービスのための駐車場が絶対に必要であるからです。
そこで伺います。現在、福祉向けの駐車場の設置状況について答弁してください。
(県営住宅管理室 主幹 答弁)
平成29年9月1日現在、県管理の駐車場は、243住宅で37,013台となっており、このうち、65歳以上の高齢者などの介護・支援のために県営住宅に訪問する方が利用する介護者専用駐車場は、51住宅で114台となっております。
筒井タカヤ議員 質問
そうした介護者専用駐車場については、県で設置基準や方針を定めているのではないのですか。
本来、県でしっかりとした基準を設けて、県の責任で設置するべきと考えますが答弁を求めます。
(県営住宅管理室 主幹 答弁)
平成21年9月に県営住宅の介護者専用駐車場整備要領を策定いたしました。
敷地内で用地が確保できない場合を除きまして、原則、介護者専用駐車場の整備は管理戸数100戸に1台を基準とし、1住宅に1台以上整備することとしております。
筒井タカヤ議員 質問
県が管理している駐車場が243住宅のうち、介護者専用駐車場が51住宅114台というのはまだまだ整備が進んでいないことをあらわしていますが、そのことについて、どのように考えているのか伺います。
(県営住宅管理室 主幹 答弁)
要領に基づく介護者専用駐車場の整備は、平成22年度からの実施であるため、現時点では介護者専用駐車場があるのは51住宅ですが、今後も県管理駐車場を整備する際には要領に基づき介護者専用駐車場の整備を進めてまいります。
なお、要領の策定前に自治会管理から県管理の駐車場となり、介護者専用駐車場が整備されていない住宅につきましては、自治会からの要望により設置をしているところでございます。
筒井タカヤ議員 質問
今の答弁では、自治会からの要望があれば介護者専用駐車場を設置しているとのことですが、自治会といっても、役員がリーダーシップを発揮して組織されている自治会もあれば、役員のなり手がなくて1年毎の選出の際にも揉めてばかりの自治会もあるわけです。
そうした自治会に対しては、県から積極的に働きかけて、介護者専用駐車場を整備していくべきと考えます。
自治会長の私的な判断じゃなく、介護者専用駐車場の確保は「県」が決断して実施してください。
答弁を求めます。
(県営住宅管理室 主幹 答弁)
県営住宅の高齢化を考えますと、今後ますます介護者専用駐車場の必要性は高まると予想されます。
駐車場整備は自治会との調整が不可欠でありますので、介護者専用駐車場のない住宅におきましても、自治会と連携しながら、整備を進めてまいりたいと考えております。
筒井タカヤ議員 質問
次は、共益費の問題について伺います。
この共益費の問題は、これまでも県議会の場で何度も議論されてきた問題ですが、今、県営住宅の自治会では、この問題が極めて深刻になっておりますので、改めてこれまでの経緯を含めて取り上げます。
共益費とは県営住宅の共同施設の維持運営に要する費用のことです。
具体的には、汚水処理場の清掃・消毒代、電気代、エレベーターの点検費、消耗品費、電気代、給水ポンプや共用灯の電気代、共用水栓の水道代、集会所の電気・水道・ガス等の経費、清掃や草刈りの経費などがあります。
現在、県営住宅のこうした共益費は、自治会が入居者から共益費を徴収して電気事業者等に支払うという自主管理を行っております。県営住宅は、賃貸住宅でありながら分譲マンションの管理組合と同じような仕組みになっているのです。
高度経済成長期に大量に建設された公営住宅は、狭いながらも安い家賃、老人・大人・子供も同居する多様な世代で構成され、住民同士が協力し合うような地縁関係もあって、自治会が共益費の徴収を行うことに協力的な体制でありました。
行政側にとっても、建設することに精一杯で、共益費の管理を自治会で行う仕組みを作って、事務負担を自治会側に転嫁する狙いがあったと思われます。
特に行政側がこうした仕組みを構築するのに決定的な影響となったのは、公営住宅法の「第20条」の規定でありました。
そこには、「家賃及び敷金を除くほか、権利金その他の金品を徴収し、又はその入居者に不当な義務を課することができない。」と定められており、本条項が共益費を県が徴収できない根拠規定として長年捉えられてきたからです。
この規定は、住宅不足であった戦後復興期から高度経済成長期において、権利金や礼金、更新料といった民間賃貸住宅市場での慣行を公営住宅では禁止するためのもので、共益費を想定したものではなかったのですが、この規定が共益費を県が徴収することを禁止していると解釈されておりました。
しかし、時代も変わり、現在では国土交通省も「共益費や駐車場などの共同施設についての使用料を徴収することまでを禁止しているものではない」と解されるようになりました。
もう制度上は共益費を県で徴収することには何の問題もないんです。
私は、この問題について、以前からずっと県の姿勢を問うてきました。そして、やっと2年前、当時の建築局長が「県で共益費を徴収することを検討する」と英断されました。
長年、自治会が共益費を徴収する制度に固執してきた県としては、大変勇気のいった決断であったと思います。
それまで県は、頑なに共益費を県で徴収することを拒んできました。
そして、自治会の不満に正面から対処することなく、空家住宅の共益費の一部を補助することでお茶を濁してきました。
そこで質問でありますが、この空家の共益費の一部を負担する制度について説明して下さい。
(県営住宅管理室 主幹 答弁)
空家住宅の共益費の一部を県が負担する制度についてですが、一般の既設住宅の場合には、空家率が10%を2ヶ月以上継続して超えた場合に、汚水処理場、エレベーター、共用灯、給水ポンプの電気代等について、自治会からの申請に基づき、空家率10%を超えた部分の共益費相当額を負担するという制度です。
この制度は、昭和55年8月に、新設住宅について募集してもすぐには空家が埋まらないという状況が生じたため、空家率が10%を超える部分について負担することとしたのが始まりであります。
これを発端として、昭和61年10月には、空家率が2か月以上10%を超える既設住宅まで対象を拡大いたしました。
そして、平成27年4月からは、建替事業などにより県が入居募集を停止している住宅については、空家率に関係なく共益費を負担することとしております。
このようにその時々に状況に応じて、自治会の負担を少なくするために制度を順次拡大してまいりました。
筒井タカヤ議員 質問
今の答弁で、空家分の共益費の一部を県が補填する制度は順次拡大してきたとこのことですが、建替対象以外の住宅は、今日でも10%の空家分は自治会が負担してることには変わりありません。
そもそも、外壁改修や塗装が満足に行われていないため住宅の外観がみすぼらしい上に、風呂設備がないなど募集をしても入居者が入らないため、空家となっています。
なぜ空家分の共益費を入居者が負担しなければならないのか私には全く理解ができません。
それでは次に、共益費を払わない者、この分の共益費は誰が負担しているのか。答弁してください。
(県営住宅管理室 主幹 答弁)
共益費の徴収は自治会が行っておりますので、滞納者については、自治会の中で解決していただいております。
筒井タカヤ議員 質問
はっきり言えば、滞納者の共益費は、善良な入居者がかぶっているのです。
県は一銭も負担していないじゃないですか。
県は、家賃を滞納する悪質な入居者に対しては訴訟まで起こして納付を求めたり、応じなければ退去させたりはしますが、共益費の滞納の面倒は見てくれないのではありませんか。
これでは、滞納をするような悪質な人を一方的に入れておいて、そのツケを自治会に回していると批判されても仕方がありません。
もう一度、お話します。
県が空家を埋めないから、10%の空家分の共益費は入居者が負担し、さらに悪質な滞納者の共益費は善良な入居者がかぶっているのです。
悪質な滞納者のために自治会役員がどれほど苦労しているのか知っていますか。暴言を浴びせられたり、時に暴力沙汰になったり、もうこんなことをやるなら自治会役員なんてやっていられないとの悲鳴が聞こえています。
民間の賃貸住宅は、オーナーが家賃と共益費を一緒に徴収しているのです。そして空家や滞納のリスクは、オーナーが負っているではありませんか。当然のことなんです。
県営住宅だけが自治会に負担を押しつけているのです。
もうこんな制度は実情に合っていないのです。先ほど、県営住宅の入居者の状況が明らかになりましたが、高齢化や低所得化が進み近隣関係も希薄になった県営住宅で、自治会が共益費を集める制度は破綻しつつあるのです。
このことに関して、県はどう認識しているのか、答弁を求めます。
(県営住宅管理室長 答弁)
共益費を自治会で徴収することが困難になってきたことは十分に認識しております。
これまで自治会の方々からは、実態調査やアンケート調査、あるいは日頃の話し合いの場において、様々なご意見を頂戴しております。
現在、県内297の県営住宅において300強の自治会がありますが、団地の規模や設備の状況の違い、入居者と自治会の関係など自治会ごとの違いが大きく、共益費のあり方についても様々なご意見があります。
共益費の徴収に関して本当に困って見える自治会がある一方で、特段困っていないというご意見もいただきました。
私どもとしては、共益費を県が徴収することにつきましては、自治会の状況を把握した上で、個々の状況に応じた柔軟な対応をとっていく必要があると考えているところです。
筒井タカヤ議員 質問
この問題が県議会で取り上げられるようなってもう10年以上の月日が経過しました。
私の当委員会における質問に対し、やっと2年前、当時の建築局長が「県で共益費を徴収することを検討する」と決断してから既に2年たちました。
今年の2月県議会の一般質問で自民党県議からの質問に対し、前任の建築局長は
@ 共益費の実態調査の結果を踏まえて、共益費のうち汚水処理場やエレベーターの維持費及び共用灯の電気代等について県が徴収する案をとりまとめたこと
A この案に基づき県が徴収することを全自治会に対して意向調査を行ったこと
B 県による徴収を希望する自治会と引き続き協議を行うなど検討を進める
と答弁されました。
そこで伺います。現在、どこまで検討が進んでいるのか答弁を求めます。
(県営住宅管理室 主幹 答弁)
県が共益費の徴収を行うことについて、平成27年度に行った共益費の実態調査をもとに、共益費のうち汚水処理場やエレベーターの維持費及び共用灯の電気代等、入居者の「ライフライン」や「安全安心」の確保に欠かせない項目について県が徴収する案を取りまとめ、平成28年度にすべての自治会に対して意向調査を行いました。
その結果、全体の4分の1ほどの自治会から県での徴収を希望するとの回答をいただきました。
そして、共益費を家賃と一括して徴収することが滞納防止や事務の簡素化のために重要であると考えており、そのためには電算システムの改修が大きな課題でございます。
現在、外部の専門家の意見も聞きながら、具体的なシステム改修内容の検討を進めていることころでございます。
また、県で共益費を直接徴収することにおいて、自治会内部での手続きや県内部での対応など、様々な課題を整理しているところでございます。
筒井タカヤ議員 質問
いろいろと難しい手続きはあるのでしょうが、自治会や入居者は、いつから実施してくれるのかと首を長くして待っています。
いつから実施していただけるのか。明快な答弁を求めます。
(県営住宅管理室長 答弁)
県が共益費の徴収を直接行うことについて、いつから実施するかは現時点では明らかにできませんが、来年度に向け、共益費を家賃と一緒に徴収するシステム改修の予算確保に努めるとともに、県での徴収を希望する自治会との調整をさらに進めてまいります。
筒井タカヤ議員 質問
かつて、昭和の時代には「住宅すごろく」という言葉がありました。「結婚して賃貸アパートを振り出しに、少しお金がたまれば、分譲マンションを買う。そのマンションが値上がりするから、マンションを売却して郊外の一戸建てを取得する。」
こんな絵に描いたような「住宅の住み替えパターン」が、かつてはあったのです。県営住宅もこの「住宅すごろく」のスタート地点にあって、若い世代の収入の少ない時代の一時的な住まいとしての役割を果たしてきたのです。
しかし、今、この「住宅すごろく」は完全に過去のものとなり、今や県営住宅は、所得が低いために自力では住宅を確保できない高齢者や障害者を始めとする社会的弱者の「終の棲家」となっているのです。
地域社会のつながりも昔とは様変わりです。老人、大人、子供、赤ちゃん、多くの世代が混在して集まり生活を共にしてきた時代はもう過去のものです。
赤ん坊の泣き声や子供が元気に走り回る姿を県営住宅で見かけることは本当に少なくなりました。
県営住宅の維持管理は、こうした時代の流れに的確に対応して、そこに住む人々の生活実態をしっかりと把握して進めなければなりません。
県営住宅は、住宅のセーフティネットであることを忘れず、しっかり取り組んでいただきたい。
最後に建築局長の答弁を求めます。
(建築局長 答弁)
今回、県営住宅の入居者の状況、風呂設備の設置及び介護者専用駐車場の問題、そして共益費を県が徴収することについてのご質問をいただきました。
それぞれの課題に対しては、主幹及び室長から答弁させていただきましたが、入居者の高齢化や低所得化が進むなど県営住宅を取り巻く環境は変化しており、県営住宅の管理者として、しっかりとした方針を立てるとともに、時代の流れに応じて柔軟な対応をしていくことが必要であると考えております。
今後も県営住宅が県民の住宅セーフティネットであることを十分に踏まえ、共益費を始めとした諸課題にしっかりと取り組んでまいります。