平成2912

平成29年(12月:県議会)建設常任委員会

           〈議事録〉      筒井 タカヤ

 

 

 

(質問 筒井 タカヤ議員)

 

県営住宅に関する問題についていくつか質問をいたします。

 

 

121日付けの朝日新聞朝刊に「公営住宅 入りたいけれど」   「進まぬ建て替え」と題した記事が掲載されました。

 

 

この新聞記事は、今日の公営住宅が抱える問題点を的確に指摘していると思われますので、本日の建設委員会で取り上げ、県の姿勢を問うてまいります。

 

 

当委員会にご出席の皆様もこの記事に目を通されたかとは思いますが、この記事に記載されている、県営住宅に関する部分を簡単に紹介します。

 

 

〇 愛知県県営住宅の昨年の応募倍率は5.1倍で、延べ1,627戸の募集に対して8,374戸の応募があった。新しい物件は人気が高く応募が殺到するが、人気にはばらつきが大きい。

 

 

〇 県営住宅58千戸のうち24千戸が昭和52年以前に建てられた築40年以上の物件で、現在75百戸の空き家があるが、大半は築年数の古い住宅で発生している。

 

 

〇 築年数の古い、昭和40年代から50年代に建てられた住宅は、  風呂桶がなかったり、エレベーターがなかったりして空き家が多い。

 

 

〇 県は年間350戸のペースで古い住宅を建て替えているが、財政難と将来の人口減がネックとなり、工事のペースを上げたり新設したりする予定はなく、老朽化対策が追いついていない。

 

 

〇 そのため、古い住宅は、2030年後、耐用年数の70年を迎えた時に廃止するかが検討課題。

 

 

〇 現在、県では建替え予定であるが、未着工の県営住宅が千戸以上ある。今後、県営住宅の適正規模を計算し、中長期的な建設方針を考えている。

 

 

とのことでした。そこで事実関係をまず確認します。

 

 

県営住宅の空家は、概ね1万戸と認識しております。記事の中では、空家は75百戸と報道されていますが、その違いは何か答弁を求めます。

 

 

 

 

 

(答弁 県営住宅管理室 主幹)

 

平成29111日現在、県営住宅は、297住宅、58,212戸を管理し、うち入居戸数は48,116戸で、空家戸数は10,096戸、入居率は82.7%となっております。

 

 

管理戸数の中には、建替や廃止を進めている住宅が含まれており、こうした住宅は、全部または一部について、新たな入居者の募集を停止しておりますので、これらを除きますと、管理戸数は53,397戸、空家数は7,726戸となり、空家率は、14.5%となります。

 

 

新聞報道において、空家数が約75百戸となっておりますのは、この募集を停止している住宅を除いた空家数でございます。

 

 

 

 

 

(質問 筒井 タカヤ議員)

 

次に、応募方法について、過去の建設委員会での答弁では、抽選募集と常時募集を併用しているとお聞きしていますが、どのような募集状況になっているのか、答弁して下さい。

 

 

 

 

 

(答弁 県営住宅管理室 主幹)

 

既設の県営住宅の入居者募集につきましては、年3回行う抽選募集と通年で応募できる常時募集がございます。

 

 

原則として、人気があって空家の発生が比較的少ない住宅は抽選募集、空家の発生が多く見込める住宅は常時募集を行っております。

 

 

募集方法や内容については、適宜見直しを行っており、抽選募集から常時募集への切り替えを進めてまいりました。

 

平成28年度の状況といたしましては、既設住宅の抽選募集は、1,598戸の募集に対し、8,199件の応募があり、倍率は5.1倍となっています。

 

 

常時募集は、1年間でのべ2,334戸を募集しており、申込件数は931件でございました。

 

 

 

 

 

(質問 筒井 タカヤ議員)

 

新聞報道では、県営住宅の応募倍率は5.1倍とありましたが、これは応募の期待できる住宅に限ったことなんです。

 

 

そして、今の答弁をもっとはっきり言えば、県営住宅の応募方法は、人気のある住宅は抽選募集、人気のない住宅は常時募集と分けていて、今は抽選募集より常時募集の方がずっと多いんです。

 

 

人気のある住宅の抽選募集は5.1倍の倍率が出ているものの、人気の低い住宅の常時募集は、2,334戸の募集に対して申込件数は931件にとどまっているのです。常時募集に切り替えても応募のない住宅がたくさんあるのです。

 

 

このように、人気のある住宅とない住宅には非常に大きな差が生じていて、人気のない住宅はいつまでたっても空家のまま、そしてその傾向は年々ひどくなっているのが実態なんです。

 

 

では、次に、建替などを進めている住宅を除いた住宅の状況について、3点お伺いします。

 

 

まず、建設年代別の戸数と空家の状況について答弁を求めます。

 

 

 

 

 

(答弁 県営住宅管理室 主幹)

 

平成29111日現在、建替等を進めている住宅を除く住宅の建設年代別の状況でございますが、 

 

 

〇 昭和40年代以前建設の住宅の管理戸数は11,528戸で、空家数2,739戸、空家率23.8

 

 

〇 昭和50年代建設の住宅の管理戸数は17,192戸で、空家数2,742戸、空家率15.9

 

 

〇 昭和60〜平成6年建設の住宅の管理戸数は11,169戸で、空家数1,309戸、空家率11.7

 

 

〇 平成716年建設の住宅の管理戸数は8,276戸で、空家数694 戸、空家率8.4

 

 

〇 平成17年以降建設の住宅の管理戸数は5,232戸で、空家数242戸、空家率4.6

 

 

となっており、繰返しとなりますが、合計で管理戸数53,397戸、空家数7,726戸で、空家率は14.5%となります。

 

 

なお、新聞報道にあります、築40年が過ぎました昭和52年建設以前で区切りますと、管理戸数は18,640戸で、空家数3,933戸、空家率21.1%となっております。

 

 

 

 

 

(質問 筒井 タカヤ議員)

 

次に、これまでの建設委員会での答弁や新聞報道にもあるように、築年数の古い、昭和40年代から50年代に建てられた住宅は、エレベーターがなかったり、風呂の設備がなかったりして設備が貧弱で、空家が多いとのことですが、エレベーターや風呂の設備の有無別に、その状況を答弁して下さい。

 

 

 

 

 

(答弁 県営住宅管理室 主幹)

 

建替等を進めている住宅を除く住宅のエレベーターと風呂設備の有無別の状況でございますが、

 

 

〇 まず、エレベーターも風呂設備も共にある住宅は、

管理戸数18,829戸、空家数1,504戸、空家率8.0

 

 

〇 次に、エレベーターがなくて風呂設備が有る住宅は、

管理戸数6,379戸、空家数791戸、空家率12.4

 

 

〇 次に、エレベーターが有っても風呂設備がない住宅は、

  管理戸数12,633戸、空家数1,890戸、空家率15.0

 

 

〇 最後に、エレベーターも風呂設備もない住宅は、

管理戸数15,556戸、空家数3,541戸、空家率22.8

 

となっております。

 

 

 

 

 

(質問 筒井 タカヤ議員)

 

エレベーターのない住宅とは、かつての集合住宅でよく見られた羊羹型の45階建ての中層住宅と思われますが、こうした形式の住宅は、階段で上り下りしなくてはならず、上層階は人気がないと聞いております。

 

 

そこで3点目ですが、こうした形式の住宅の建設年代別、階数別の空家状況をお答え下さい。

 

 

 

 

 

(答弁 県営住宅管理室 主幹)

 

建替等を進めている住宅を除いたエレベーターの無い中層住宅につきましては、21,884戸あり、4,325戸が空家となっております。

 

 

建設年代別でいいますと、

 

 

〇 昭和40年代以前建設の住宅の管理戸数は6,075戸で、空家数1,766戸、空家率29.1

 

 

〇 昭和50年代建設の住宅の管理戸数は9,586戸で、空家数1,784戸、空家率18.6

 

 

〇 昭和60〜平成6年建設の住宅の管理戸数は5,884戸で、空家数746戸、空家率12.7

 

 

〇 平成716年建設の住宅の管理戸数は339戸で、空家数29戸、 空家率8.6

となっております。

 

 

なお、平成17年以降はエレベーターのない中層住宅の建設はございません。

 

 

次に、階数別での空家状況ですが、1階が710戸、2階が735戸、3階が928戸、4階が1,090戸、5階が862戸となっており、3階以上での空家数は2,880戸となっており、エレベーターのない中層住宅の空家の3分の2を占めております。 

 

 

 

 

 

(質問 筒井 タカヤ議員)

 

これまでの答弁から、建設年次が比較的新しくて、エレベーターや風呂の設備が整備されている住宅は人気があって入居率が高く、古くて老朽化が進み、エレベーターや風呂の設備のない住宅は人気がなくて空家が多いことが分かりました。

 

 

そして、エレベーターのない中層住宅については、3階以上での空家が、こうした住宅の3分の2を占めている状況が示されました。

 

 

これは当然といえば当然の結果であります。

 

 

古くて設備が悪ければ入居を希望する人は少ない、新しくて設備が良ければ人気がある。誰だって、毎日、階段を4階や5階へ上ったり降りたりしたくはない、当たり前のことです。

 

 

エレベーターも風呂の設備もない古い住宅、こうした住宅は上層階を中心にして、空家が23%もあるんです。こうした形式の住宅はもう時代遅れ。高齢者はもちろん若者でも敬遠するのは当然のことだと思います。

 

 

そして、風呂の設備のない住宅の問題については、前回の建設委員会でも取り上げ、県の姿勢を問いただしました。

風呂の設備のない住宅は、東京都は28%、京都府で19%に対して  愛知県は57%もあります。

 

愛知県は昭和60年度建設以降、風呂の設備を導入しましたが、それ以前の住宅は相変わらず放置されたままなのです。

 

 

前回の建設委員会の答弁では、長寿命化改善工事の際に一部住戸に風呂の設備を設置しているとのことでしたが、担当者に聞くところによれば、実績は毎年わずかとのことです。

 

 

風呂の設備のない住宅は28千戸もあるんです。

 

 

そのうち、風呂の設備はないがエレベーターはある住宅13千戸の2千戸が空家となっているんです。

 

 

まずは、優先順位をつけて、エレベーターがあって風呂の設備のない住宅から風呂設備を設置していってはどうですか。

 

 

エレベーターがあれば風呂の設備をつけて、限られた修繕費を、  その住宅に集中的に使い、美観を維持していけば十分入居が見込めるではないのですか。

 

 

長寿命化改善工事で風呂の設備を設置した住戸の入居状況はどうですか。答弁を求めます。

 

 

 

 

 

(答弁 県営住宅管理室 主幹)

 

平成26年度以降、長寿命化改善工事の際に一部の空家に風呂設備を設置しており、これまでに6住宅20戸に設置し、福祉向けとして募集をいたしました。その入居状況は20戸中、18戸入居しております。

 

 

 

 

 

(質問 筒井 タカヤ議員)

 

ただ今の答弁の入居状況ではっきりわかるじゃないですか。風呂の設備を設置すれば入居率もあがると思います。

 

 

前回の建設委員会で建築局長から「風呂設備の設置を推進していく」との答弁をいただいております。

 

しっかりと取り組んで下さい。

 

 

こうしたことは、古い県営住宅が順次建替えられて更新されていけば何の問題もありません。

 

問題の根本は、建替が進んでいないことなんです。

 

 

新聞記事にもあるように、建替は、現在年間350戸のペースであり、財政難と将来の人口減がネックとなり、工事のペースを上げたり新設したりする予定はないこと。

 

さらに、建替予定ではあるが、未着工のものが千戸以上もあることも報道されています。

 

そこで伺います。現在、建替計画はどうなっているのですか。答弁を求めます。

 

 

 

 

 

(答弁 公営住宅課 主幹)

 

県営住宅の建替計画についてですが、昭和46年度から、県営住宅建替計画を5年ごとに策定し、平成18年度から22年度までを計画期間とする第8次建替計画までは、同計画に基づいて建替事業を実施してきました。

 

 

現在は、まだ第7次・第8次建替計画において対象となった住宅が残っており、それらの建替を順次実施している状況でございます。

 

 

 

 

 

(質問 筒井 タカヤ議員)

 

先ほどの答弁にもあるように、県営住宅58千戸のうち、建設から40年以上経った昭和52年以前の住宅で建て替えに着工していないものが19千戸もあるとのことでした。

 

 

一方で建替えは、年350戸しか行っていません。そして、財政難などを理由に、建替えのペースを上げることはしないと県は言っているとありますが、これが事実ならば、単純に計算しても、今後30年間で1万戸強しか建替えができないことになります。

 

 

すると30年後には、建替えできなかった9千戸は、耐用年限である70年を迎えることになるのです。これどうするんでしょうか。答弁して下さい。

 

 

 

 

 

(答弁 公営住宅課 主幹)

 

これまでに実施してきました建替事業においては、狭小住宅の解消や駐車場の確保等のために、一般に建替後の戸数は従前の戸数より減少しております。

 

 

 今後の県営住宅の建替につきましても、建替費用の縮減や事業期間の短縮などの取組も図りながら、耐用年限を迎える前に整備をしてまいりたいと考えております。

 

 

 

 

 

(質問 筒井 タカヤ議員)

 

先日、私のところに朝日新聞の記事を見た名東区にある高針住宅の入居者の方がこられました。

 

 

その方は、昭和50年代初頭に建設されたこの高針住宅にずっとお住まいなのです。

 

40年が過ぎ、外観もみずぼらしく、もうすぐ県が建替えをしてくれると信じて楽しみにしておられましたが、この新聞記事を読んで、県営住宅の建替えが進んでいないこと、そればかりか廃止も検討されていることを知って心配になり、自分の住んでいる住宅が将来どうなってしまうのか教えてほしいと訪ねてこられたのです。

 

 

「長年同じ住宅にずっと住んできた、娘の家族も近くにいるし、友達も住宅にたくさんいる。この年になって他に移転することはいやだ。できる限りこの住宅にずっと住み続けたい。それから、住宅の痛み具合も酷いので是非早く建替えてもらいたい。」

 

 

県営住宅を「終の棲家」と考えている老人はたくさんいるのです。年金暮らしの方には、県営住宅を出ていくなんてことは一般的には考えられないことなんです。

 

 

県は、こうした住民の声にもしっかりと応えていかなくてはなりません。

 

 

一番の問題は、県として県営住宅の将来像が未だに見えてこないことだと思います。

 

 

しかし、現状はもう既に待ったなしの状態になっているのではないでしょうか。

 

 

このままのペースでは、建替で県営住宅のストック全体を更新していくという方法は、もう破綻しているのです。

 

 

名東区にある猪子石住宅は、建替えが行われており、当時入居していた人が建替え後の住宅に入居した途端に古い住宅を取壊しました。

 

 

しかし、後に残った土地は、まだほったらかしの状態です。

 

 

地元の方からも、「この敷地はどうするのか」と質問を受けております。

 

 

何の計画もなく、ほったらかしというのであれば、怠慢以外の何物でもないではありませんか。

 

 

人気がなく、空家の多い住宅については廃止し、こうした住宅を集約していくとか、住宅ごとの計画を考えたうえで、県営住宅の計画が必要であると思いますが、どのように考えておられるのか答弁を求めます。

 

 

 

 

 

(答弁 公営住宅課 主幹)

 

これまでに実施してきた建替事業におきましても、同一団地内だけでなく、狭小な敷地に立地している老朽化した県営住宅を、他の県営住宅の建替に合わせて集約化するなどの対応を図ってきたところでございます。

 

 

将来につきましては、個々の住宅の空き家の状況、応募倍率、立地条件等を勘案しながら、集約化も図りつつ、計画的に整備を進めていきたいと考えております。

 

 

 

 

 

(質問 筒井 タカヤ議員)

 

財政状況から県営住宅の建替えが進まないといいますが、築40年を過ぎた昭和52年以前の県営住宅には、現在、15千世帯の入居者が生活をしています。

 

現に入居し、そこで生活している入居者に対する責任を県はどのように果たしていくのでしょうか。

今までの議論を聞いていてどのようなお考えをもっているのか、建築局長の答弁を求めます。

 

 

 

 

 

(答弁 建築局長)

 

更新時期を迎える県営住宅については、着実に更新を実施していくことが重要な責務であると認識しています。

 

今後、PFI手法による効果などを活かすことで、建替の推進に努めていきたいと考えております。

 

 

これからも、入居者の皆様が安心して暮らせるよう住宅セーフティネットとしての県営住宅の整備に取り組んでまいります。

 

 

 

 

 

(質問 筒井 タカヤ議員)

 

最後にもう一度答弁をお願いしたいのは、もう40年も整備されていない、建てたままの補修もされていない住宅がいっぱいあります。修繕計画は崩壊しているのです。

 

 

住んでおられる住民は、いつの日か、どうしたら自分たちの住宅が補修されるのかという議論ばかり毎日集まってしているのです。

 

 

是非とも財政当局と強い姿勢でもって臨んでいかないと住民の期待には応えられないし、県の貴重な財産である建物が崩壊しているのです。そのことを認識して、この新しい年度、予算、計画修繕にもっともっと早く真剣に取り組んでもらいたいと思います。

 

 

この答弁を待っている住民がいっぱいいるんです。

 

 

何か伝えたいと思うがどのようなお考えか。

 

 

 

 

 

(答弁 建築局長)

 

建替えの推進と合わせて計画修繕についても、更に予算が確保できるよう、しっかりと財政当局に要求してまいります。