平成29年6月 建設委員会質問

 

 

県営住宅の管理に関する問題についていくつか質問をいたします。

 

 

 

私は、平成27、28年度の2年間、当建設委員会に在籍し、今日の県営住宅が抱える多くの問題について、具体的に取り上げ、県当局の姿勢を厳しく問い正してきました。

 

 

 

まず、県営住宅に大量の空家が発生していること、そして計画修繕を実施していないことにより住宅本体の崩壊が急速に進んでいること。更には、入居者の高齢化が進み、県営住宅の自治会活動が著しく低下し、自治会による共益費の徴収がもはや困難であることなど、住宅セーフティネットとして社会的な大きな役割を担っている県営住宅が、危機的な状況にあることをお示ししてきました。

 

 

 

そして、私は、県営住宅が抱える様々な問題について、答弁記録を基に自費で啓発資料を作成し、県会議員の皆様や県営住宅の入居者の方々に配布するとともに、私のホームページにも載せて、広く県民の皆様に発信し、関心を持っていただき、共感とご支援をいただくようお願いをしてきました。

 

 

 

県営住宅は、戦後復興期における住宅の絶対的な不足を解消するため、昭和26年に制定された公営住宅法に基づき、住宅に困窮する低額所得者を対象に建設が進められ、戦後の復興期から高度成長の時代を通じて、住宅に困窮する県民の居住の安定と居住水準の向上に大きな役割を果たしてきました。

 

 

 

そして、平成8年には、住宅セーフティネットとして低額所得者層の支援強化を図ることを目的に、公営住宅法が大きく改正されました。

その主な内容は、家賃の決定方法について、建物の建設費等から算出する従来の「法定限度額家賃制度」から、入居者の収入と住宅の利便等に応じて決定する「応能応益家賃制度」に変更するというもので、その結果、家賃が大幅に下がりました。

 

 

 

政府が決断した、この社会的な弱者を対象とした福祉政策は、入居者から大歓迎されました。

 

 

 

しかし、大幅な家賃の引き下げは、当然ながら家賃収入の減少を招きましたが、本県はその家賃収入の減少分について、一般財源で補てんすることを怠り、家賃収入の減少分をそのまま修繕費を中心とする支出を減らすことで辻褄を合わせ、その結果、入居者サービスの低下を招いてしまったのです。

 

 

 

国は、家賃収入の減少に伴う補てんとして、県に対して相当額の費用を交付金として、そして平成17〜18年度の三位一体の改革後は、地方税の一部として措置したはずですが、県財政が深刻、危機的な状況もあり、県営住宅の維持管理費に充てられるべき一般財源を他の予算へ廻してしまいました。

 

 

 

今日の県営住宅の多くの問題の原因は、ここにあるのです。

 

 

 

計画修繕を先延ばした結果、外壁塗装や屋上防水は部分的にしか修繕されず、見た目はボロボロ、台所や洗面所の設備は古いままで壊れるまで取り替えてもらえない、そのため入居者が退去し、空家がどんどん増えていきました。

 

 

 

数年前は、空家を修繕する費用まで不足し、募集すらおぼつかない状況となってしまったのです。

 

ここ数年、次第に県営住宅の問題が明らかになりつつあり、県議会の場においても、取り上げられることが多くなってきました。

 

今回の委員会では、昨年度までの建設委員会における答弁を踏まえさらに議論を深めていきたいと考えます。

 

 

 

まず、県営住宅の空家の問題です。

 

最初に、県営住宅の入居や空家の状況、そして応募の状況について答弁してください。

 

 

 

(県営住宅管理室 主幹 答弁)

平成29年6月1日現在、県営住宅は、県内43市町村に、297住宅、58,399戸を管理し、うち入居戸数は48,262戸で、入居率は82.6%となっております。

 

管理戸数(58,399戸)の中には、建替や廃止が予定されている住宅が含まれており、こうした住宅は、全部または一部について、新たな入居者の募集を停止しておりますので、これらを除きますと、管理戸数は53,176戸、空家戸数は7,591戸となり、入居率85.7%となります。

 

次に、応募の状況ですが、県営住宅の入居者募集につきましては、年3回行う抽選募集と通年で応募できる常時募集がございます。

 

平成26年度からは、入居を希望される方が、随時入居できるよう、比較的多くの退去が見込まれる住宅について、募集戸数に達するまで、常時、先着順で入居申込の受付けをする「戸数限定の常時募集」の方法を新たに採用し、以後、毎年、抽選募集から常時募集への切り替えを進めております。

 

募集方法や内容については、適宜見直しを行っており、平成28年度の状況といたしましては、抽選募集は、1,598戸の募集に対し、  8,199件の応募があり、倍率は5.1倍となっています。

 

戸数限定の常時募集は、1年間で述べ2,334戸を募集しており、申込件数は931件でございました。

 

 冒頭でも説明しましたが、数年前には、修繕費が不足して空家の修繕ができなかったために募集に回すことができず、その結果、空家が累積したという状況があったと記憶しております。

 

 現状はどうなっているのでしょうか。今の答弁を聞く限り、空家の数と募集状況、入居者数との間に大きな差があるように思われます。

 

修繕費が足りないから募集できないのか、その結果空家になっているのではないか、答弁を求めます。

 

 

 

(県営住宅管理室 主幹 答弁)

一時、修繕費の不足から空家の修繕に遅れが生じ、募集が滞るという状況がみられましたが、平成25年度以降、空家修繕費を増額し、この問題の解消を図ってまいりました。

 

昨年度、抽選募集、常時募集を合せて延べ4,000戸募集しており、空家修繕の予算が不足しているため空家が発生しているものではないと考えております。

 

常時募集の多くは、昭和40年代、50年代に建設されたエレベーター並びに風呂桶、風呂釜がない住宅が多くを占めています。その中でも、交通の利便性の悪い住宅を中心に申込が少なく、こうした住宅を中心に空家の解消に至っていないものであります。

 

 

 

 

次に、県営住宅の家賃の支払い方法について伺います。

 

 現在、県営住宅の家賃の支払い方法は、銀行や郵便局の口座からの自動引落しと入居者が金融機関に出向いて現金を納付する直接納付があると伺っております。

 

 

 

そこで質問です。

 

 

 

県営住宅の入居者が登録している家賃の支払い方法の割合は、口座振替と直接納付それぞれどうなっていますか。また、直接納付のうち、銀行の窓口での支払い、郵便局の窓口での支払いを区分して、それぞれの件数と割合をお答え下さい。

 

 

 

(県営住宅管理室 主幹 答弁)

入居者が選択している家賃の支払い方法は、口座振替が約8割、直接納付が約2割となっています。

 

平成28年度に銀行窓口での納付された家賃の納付書件数は、月平均約11,300件、同じく郵便局での納付が月平均約2,000件となっており、割合は、銀行が85%、郵便局が15%でございます。

 

 

 

 

家賃の支払い方法の問題点は、直接納付でコンビニでの支払いができないことにあります。

 

今の答弁にもありましたが、今日でも2割の入居者が銀行や郵便局の窓口で家賃の支払いをしているのです。

 

しかし、銀行や郵便局の窓口は、土日祝日は開いていないし、入居者の中には夜間勤務で窓口に足を運べない入居者だってたくさんいるのです。こうした少数の方々も県営住宅の入居者であり、お客さんなのです。

 

 

自動車税は、平成17年にコンビニ納付が可能になり、今ではクレジットカードでの支払いもできるようになったのです。

 

私は、平成27年12月の建設委員会で、県営住宅家賃のコンビニ納付について早急に実施するべきだと主張し、県当局からは「費用対効果や他県の状況を調べて検討していく」との答弁がありました。

 

 

 

それに対して、私は、入居者の立場に立って、家賃を払う者の立場に立って考えてみるべきだと厳しく指摘した経緯があります。

 

県当局は、入居者はお客様であるという意識が欠けているのではないでしょうか。役人の都合でしか物事を考えられなくなっているのではないでしょうか。

 

 なぜ、県営住宅の家賃は未だにコンビニ納付ができないのか。現在の検討状況はどうなっているのか。いつになったらできるのか答弁してください。

 

 

 

(県営住宅管理室 主幹 答弁)

家賃の支払いに関しまして、入居者の方にとって一番利便性の高い方法は、口座振替であると考えております。

 

そのため、入居者説明会や家賃滞納者への納付指導の際に、口座振替による家賃納付をお願いしているところでございます。

 

しかしながら、口座振替にすることができない入居者の方にとって、コンビニで家賃を支払うことができるようになれば、利便性の向上に繋がるということは理解しております。

 

コンビニ納付により、入居者の方の利便性が向上し、少しでも滞納が解消され、家賃徴収率が上がることも期待できると考えております。

 

現在、共益費の県徴収について検討を進めておりますが、その検討の中で、コンビニ納付を含めた電算システムの構築や徴収方法などについても、併せて検討しているところであります。

 

 

 

 

次に、今議会の自民党議員の一般質問でLGBT性的少数者の問題が取り上げられました。

 

LGBTへの理解が進んでいることが世界的な流れであり、県の取組姿勢を求める質問に対して、教育長と振興部長からは、LGBTへの正しい認識を持ち、理解を深めること、そしてそのための支援や取組を検討していく旨の答弁がありました。

 

そこで質問です。

現在、県営住宅では、同性のカップルの入居を認めているのでしょうか、答弁を求めます。

 

 

 

 

(県営住宅管理室 主幹 答弁)

現在、県営住宅では、原則として同居する親族がいることを入居時の資格要件としております。

 

現在の我が国では、国内での同性の結婚を認めていないため、同性カップルは県営住宅への入居資格がございません。

 

LGBTへの先進的な取組を行っている自治体では、公営住宅への入居を認めていると聞いたことがあります。

 

建築局ではこうした先進事例を把握していると思いますが、現在把握されている状況を答弁してください。

 

 

 

(県営住宅管理室 主幹 答弁)

 同性のカップルを公的に認めるパートナーシップ制度を設けている自治体の一部では、それぞれの自治体で定めたパートナーシップ制度等に登録された同性のカップルであれば、当該自治体が管理する公営住宅への入居を認めているところがございます。

 

近隣の事例といたしましては、三重県伊賀市が同性パートナー宣誓をした方々の市営住宅への入居を認めております。

 

また、6月22日には、東京都世田谷区が、同性のカップルの区営住宅への入居を認める、区営住宅管理条例の改正案を議決しております。

 

 

今後、県営住宅においては、LGBTへの取組をどのように進めていくのか答弁して下さい。

 

 

 

(県営住宅管理室長 答弁)

先ほど主幹が答弁しましたように、現在の我が国では、国内での同性の結婚を認めていないため、親族の同居を入居要件としている県営住宅では同性カップルは入居資格がありません。

 

今後LGBTに対する社会の認識や理解が進み、同姓のカップルの事実上の婚姻関係が、異性間の婚姻関係と同様に取り扱われるようになる場合も想定して、県営住宅の入居資格について研究してまいります。

 

 

 

次は、県営住宅の修繕について伺います。

 

県営住宅を維持、管理していくうえでは、住宅の修繕が当然必要となってきます。

 

修繕の内容は多岐にわたり、入退去に伴う空家修繕、生活の中で発生する水漏れや軽微な不具合などに対処する緊急修繕、建物本体である外壁改修や塗装、屋上防水の施工、給排水設備や電気設備を定期的に交換・改修する計画修繕などがあります。

 

そこで、県営住宅の修繕はどのようになっているのか、どれだけの修繕を実施しているのか伺います。

 

 

 

(県営住宅管理室 主幹 答弁)

県営住宅の修繕は、一般修繕と計画修繕に区分しています。

 

平成29年度予算では、一般修繕22億円余、計画修繕は10億7千万円余を計上しております。

 

一般修繕の内容は、退去後、新たな入居に向け行う空家修繕のほか、水漏れなどの緊急対応や小規模な修繕であり、一方、計画修繕は、外壁・手すりの改修、給水設備の改修及びエレベーターの改修を実施することとしております。

 

それでは、公営住宅法の改正で家賃収入が大幅に減少する以前は、どのくらいの規模の修繕を実施していたのでしょうか。

 

計画修繕、一般修繕のそれぞれの額を答弁して下さい。併せて、当時の入居状況についても答弁を求めます

 

 

 

(県営住宅管理室 主幹 答弁)

平成8年の公営住宅法の改正後、本県では平成10年に条例改正を行いましたので、改正前年度の平成9年度予算の内容を説明しますと、一般修繕は12億7千万円余、計画修繕は52億9千万円余を計上しておりました。

 

また、平成9年度末の管理戸数は61,102戸、入居戸数     53,802戸で、入居率は88.1%でした。

 

今の答弁にあったように、応能応益家賃制度に移行する前までは、計画修繕を52億9千万円も実施していたのです。それに対して一般修繕は12億7千万円です。

 

これは、計画修繕をしっかりとやれば、一般修繕は、少なくて済むということを意味しているのです。

 

入居率にしても、現在の82.6%とは比較にならないほどではありませんか。

 

今は、計画修繕をやらないから、悪くなった箇所だけを一般修繕で事後的に修繕しているだけなのです。それも計画修繕を20年間やらなかったため、今は、修繕箇所が多く小規模な修繕に追われているのが実情ではないでしょうか。

 

 

 

答弁を求めます。

 

 

 

(県営住宅管理室 主幹 答弁)

本来の計画修繕が実施できていないことは十分に認識をしております。

 

屋上防水や外壁塗装、電気設備や排水設備など、本来は住宅ごとに建物ごとに、計画的に取り組むことが理想的であります。

 

しかしながら、現状の予算においては、個々の建物や設備の老朽化の度合いや不具合の頻度など、緊急性、重要性を勘案し、入居者の安全確保や利便性維持の観点から、優先順位をつけて実施しており、その他の項目については、一般修繕で対応しているものです。

 

 

予防保全的に計画修繕をちゃんとやれば、建物や設備の美観は守られ、機能も十分に維持できるのです。

 

今は、悪くなったら、壊れたらやっと修繕する状態、それも部分的にだけです。ですから、建物や設備はボロボロで、これでは入居者が減るだけです。

 

過去から指摘をし続けておりますが、今答弁のあった計画修繕の内容は、外壁改修であれば、コンクリートが剥離するなどの危険性が高い部分を緊急的に補修するだけで外壁全体の塗装もしないから、つぎはぎだらけのまだらな状態のままとなっています。 

 

手すりの改修は、支柱が錆で腐食して危険がある部分のみを改修するだけで、危険性がなければ塗装もしないので、布団すら干せない状態になっている住宅が数多くあります。

 

給水設備も昨年度からやっと計画修繕に組み入れられたばかりで、エレベーターについては、型式が古くなってメーカーから部品供給が受けられない恐れが出てきた場合に改修するといったレベルなのです。

 

 

このほか、屋上防水、電気設備、排水設備など、本来は計画修繕を実施しなければならない項目が手つかずで、応急措置で部分的にしか行われていないのです。

 

これでは計画修繕とは名ばかり。本来の計画修繕は、一定のサイクルで悪くなる前から予防保全的に実施しなければなりません。

 

これ以上、放置しておくことは許されません。

来年度予算に向けてどう対応していくのか、答弁を求めます。

 

 

 

(県営住宅管理室長 答弁)

計画修繕の必要性につきましては、十分に認識をしており、これまでも相当の努力を重ねてまいりました。

 

外壁や手すりの改修を平成26年度から、給水設備は平成28年度から、エレベーターにつきましても必要な改修を実施してきたところです。

 

今後とも、計画修繕の必要性をしっかりと主張するとともに、財源の問題も踏まえて必要な予算を要求してまいります。

 

真剣に計画修繕について考え、しっかりと予算を措置して下さい。

 

 

 

次に、県営住宅の連絡員制度について伺います。

 

県営住宅の連絡員制度が高齢化の影響などから時代遅れになっている現状を訴え、県当局と議論してきました。

 

まず、県営住宅の連絡員制度について答弁してください。連絡員の業務の内容、人数や平均年齢等の現状についても説明してください。

 

 

 

(県営住宅管理室 主幹 答弁)

連絡員制度は、県営住宅の維持管理業務を、合理的かつ円滑に処理するため、住宅供給公社理事長が入居者の中から適当と認める者に委嘱しているものです。

 

連絡員の主な業務は、入居者への鍵の交付、入居関係書類の経由、不正入居の連絡などの入居等に係る業務、入居者からの修繕申出への対応など維持修繕に係る業務、退去者からの鍵の受領などの退去等に係る業務等を行っております。

 

連絡員は、住宅ごとの状況を勘案して必要と思われる人数を配置しておりますが、平成29年6月1日現在で、全体で647名の方に連絡員をお願いしております。

連絡員の平均年齢は、66歳5ヶ月となっております。

 

 

連絡員は、住宅を管理する者の一員として、公社から入居者への連絡業務を行っているのですから、日中も対応できるよう、仕事を定年した方などある程度年齢が上の方になることは仕方がないことであるとは理解しますが、あまりに高齢となり、業務そのものに支障が出る事態に至っていないか危惧するところでもあります

 

そこで伺うが、連絡員の高齢化により、業務に支障が出た場合はどうするのか。答弁してください。

 

 

 

(県営住宅管理室 主幹 答弁)

連絡員の業務を遂行に際しては、同居の親族が協力することも認めておりますが、連絡員が、病気など業務に支障がでる場合には、面談の上、その委嘱を解くことになります。

 

次の連絡員を委嘱するまで間は、住宅供給公社が業務を代行するとともに、連絡員が長期不在とならないよう、隣接する棟の連絡員の方に業務の兼務や自治会に連絡員の推薦の協力をいただき、早期に連絡員を確保するよう努めております。

 

その昔、県営住宅に公務員が多く住んでいた頃には、公務員が管理人として、入退去の手続や修繕の取次をやっていた時代がありました。

 

管理人は、県営住宅の現場における管理者の代理人として立派に機能していたのです。

 

県営住宅が高齢者などの社会的弱者が多く住む住宅となって、管理人制度から、より業務を簡易化した連絡員制度に移行してきたのですが、この連絡員制度も、これほど高齢化が進むともはや機能しなくなってきたと思います。

 

連絡員制度が破たんする前に、制度のあり方について、真剣に考える時期に来ていると思います。答弁を求めます。

 

 

 

(県営住宅管理室長 答弁)

連絡員の高齢化や欠員が増えていけば、適切な住宅管理に様々な影響が生じてきますので、将来の住宅管理のあり方について、従来の認識にとらわれることなく、管理代行者である住宅供給公社や自治会と協力し、連絡員制度のあり方について、幅広く検討を進めてまいりたいと考えております。

 

 

私の地元である名古屋市名東区には、県営高針住宅始め4住宅  1,236戸の県営住宅があります。

 

私は、昭和50年に県会議員に当選して以来、こうした地元の県営住宅の建設や建替計画の段階から、常に現場に足を運び、入居者や地域の住民の声に耳を傾け、県営住宅のあり方はどうあるべきか住民と一緒になって考え、県当局との協議を重ねてまいりました。

 

県営住宅に対する取り組み姿勢は、今日においても、少しも変るところはありません。

 

 

 

高度成長期の住宅不足の時代には、県営住宅に対する社会の期待も非常に大きく、住宅を建設する度に、地域から大きな反響がありました。

 

しかし、今日、住宅のストックが充足するとともに人口が減少し、空き家が問題になるようになるなど、住宅を巡る状況は様変わりしました。県営住宅に対する社会の関心も大きく低下し、行政の取り組み姿勢も全く消極的なものになってしまったようです。

 

そこに今日、県営住宅にちゃんとした予算が付けられない大きな原因があるのではないでしょうか。

 

私は、県営住宅に関する問題点について、県当局ばかりではなく県議会もしっかりと把握し、的確に予算に反映させる努力が必要であると考えます。

 

入居者や県民から幅広く意見を聞き、県営住宅行政にしっかりと反映させていく必要があります。そこで、提案ですが、年一度県営住宅に関する公聴会を開催してはどうかと考えます。答弁を求めます。

 

 

 

(県営住宅管理室長 答弁)

 現在、県営住宅に関するご要望につきましては、様々な機会を設けております。

 

 平成28年度の事例を取り上げますと、県営住宅の自治会との方々の意見交換を8住宅16回、県営住宅自治会連絡協議会の方々との意見交換を5回、外国人との共生を考える会との意見交換を7回実施いたしました。

 

 また、153住宅の自治会から、共用部分の修繕、共益費の滞納、外国人に関することなどの要望や相談を受けており、それぞれ対応に努めております。

 

県営住宅は県内に297住宅ございますが、個々の住宅の状況も、住宅の歴史、規模、地域性などによって様々で、また、一つの住宅に複数の自治会を設けている住宅もあります。

 

私どもとしましては、今後も、個々の住宅、自治会の状況に応じ、きめ細かく対応していく必要がありますので、様々な機会、チャンネルを通じて意見をお聞きしていきたいと考えております。

 

 

 

これまで県営住宅管理室の担当者の方に答弁をいただきました。

 

 

 

最後に建築局長にお答えいただきたい。

 

 

 

 

繰り返しますが、県は、平成8年の公営住宅法の改正によって低所得者層のセーフティネットとして「応能応益家賃制度」へ移行して以来、県営住宅の家賃収入が大幅に減少したことに合わせて、そのまま修繕費を減らすことによって、入居者サービスを一方的に低下させてきました。

 

住宅に困窮する低所得者に寄り添うことなく、県営住宅は家賃が安いから入居者は我慢しろと言わんばかりの冷たい行政であったと言わざるを得ません。

 

特に、計画修繕を始めとして修繕をしっかりやって空家を減らすこと、また、今回は議論しませんでしたが、入居者の高齢化によってもはや維持できなくなりつつある自治会を助けるために共益費を県で徴収することは、一刻も早く実現しなければならない課題です

 

 

 

やっとここ数年は改善の努力は見受けられますが、計画修繕は未だに手が付けられず、共益費をいつから県が徴収するのか具体化していないなど、解決の見通しは立っておりません。

 

こうした状況の中で、今年度、海田建築局長は新たに就任されました。

 

海田局長は、長年建築局の幹部職員として部下職員を引っ張ってこられましたので、県営住宅の問題については十分に認識されていると思います。

 

今後、どのような姿勢で、どのようなお考えで、県営住宅の問題に対処し、リーダーシップを発揮されていくおつもりなのか、答弁してください。


 

 

 

(建築局長 答弁)

 今回の委員会におきましては、県営住宅に関して様々なご質問をいただきました。

 

 それぞれの課題に対する対応は、これまで担当から答弁させていただいたとおりでございます。

 

いずれの課題に対しましても、しっかりと検討し一歩一歩前進させていきたいと考えております。

 

 特に、県営住宅の計画修繕の問題、共益費の県での徴収の問題については、最優先課題として位置づけ、関係部局との調整を進めてまいります。

 

 最後に、低額所得者のセーフティネットとして、県営住宅の果たす役割は今日においても極めて重要であります。県民からの期待に応えられるよう、担当職員共々、精一杯頑張ってまいります。引き続き、ご指導、ご支援をお願いいたします。

 

海田局長から答弁をいただきました。ともすると従来、数年前は、建築局長は部下に委任という形で丸投げし、財政当局との交渉に当たってきました。

 

こうした結果がこのような計画修繕もできない状況になってきたわけです。前局長は一生懸命取り組んでくれました。

 

それをあなたも実際にしっかりとみてこられました。ですから、今回あなたが就任され、期待しておりますが、財政当局との交渉は、あなたが前面に立って一生懸命取り組んでいただくことを心から期待し、要望して終わります