平成30年9月議会 建設委員会
(質問)筒井タカヤ議員
県営牧野ヶ池緑地の中にある牧野池の管理について、お尋ねします。
1点目は、環境対策としての生態系の保全に関する質問です。
牧野池には、ブラックバス、ブルーギルやミドリガメなどの外来種が多く生息しています。これら外来種により、ヨシノボリやモツゴなどの在来種が捕食されたりして、生態系が脅かされています。
これら外来種は、転勤や転校により、飼っていたミドリガメなどのペットの処分に困った人たちが牧野池に放流していったものや、自らの釣りを楽しむためにわざわざブラックバスなどを放流したりする人たちがいることが原因であります。
牧野池も以前は、農業用のため池として利用され、県の所有になる前は、農業用水の確保とヘドロの堆肥利用のため、10〜15年に1回は池の水を抜いて、いわゆる池干しをして、この時に外来種の除去ができていたと聞いておりますが、県の所有になってからは一度も池干しを行っておりません。
池の管理者として、まずは池の生態系調査を行い、そのうえで、池干しをして外来種の除去を行うべきと考えますが、どうですか。
答弁を求めます。
【答弁 公園緑地課 主幹】
生態系の調査を行うためには、池の植物や動物の全種類について、どこに、どういう形で、生育・生息するかなどを調査する必要がありますが、牧野池は約16ヘクタールと広大な水面があるため、調査には多額の費用を要します。
一方、牧野ヶ池緑地を始めとする県営都市公園では、施設の老朽化が進んでいるため、利用者の安全確保を優先して対策を行う必要があります。
そのため、限られた予算の中で、まずは施設の修繕や更新を計画的に実施していく必要があると考えているため、現在のところ生態系の調査を実施することは困難であると考えます。次に池干しについてでありますが、牧野池で保全活動を行っている「牧野ヶ池緑地保全協議会」に相談したところ、過去池干ししていた時代と比べ、周辺の宅地開発により、生物の避難先となっていた周辺の水路がなくなり、池干し後に水位が回復しても生物が戻ってこない可能性があること、また、在来種の保護をしっかり行うことが必要で、これに要する労力が多大であることなどから、池干しを実施することは難しいのではないかとの意見をいただいております。
その他にも、費用面や地域の方々の理解など多くの課題があることから、外来種の除去については、引き続き「なごや生物多様性センター」や、「牧野ヶ池緑地保全協議会」に相談しながら研究していくとともに、牧野池に外来種を持ち込ませないよう周知を徹底してまいります。
(質問)筒井タカヤ議員
生態系の調査は、県財政の状況から考えてみるとまったく予算が付くことがないような状況と聞いておりますが、こういったことを放置するだけではいけないので、環境問題を考えていただき、ご配慮していただけるよう要望する。
また、転勤とか学校の転校の時期に、子供が母親と一緒にカメを、牧野池に放すことがある。小中学校に、キチンとこういったことをしないように要請す
ることをしていただきたい。
さらに、犬の野犬と同じようなものであるので、ミドリガメの大きくなったものだとか外来種の魚だとかを一旦、管理事務所の方で回収するという水槽等を設けて、持ち主がそこへ持ち込むことによって心を整理できるようにして、その後に処分するということを考える回収窓口が必要であると思う。
これ以上、生態系を悪化させないために必要である。費用がそれほどかかるとは思えないので、こういったことも含めて、対策を講じていただきたい。
2点目は、牧野池の防災対策に関する質問です。
先週の日曜日に大型の台風24号がこの地域を通過しました。この台風では幸いにもこの地域に大きな被害は発生しませんでしたが、本年7月の西日本豪雨や今月初めの台風21号を始め、近年、全国各地では集中豪雨などにより大きな被害が発生しています。
牧野池のある名古屋市名東区付近においても、昨年7月に1時間に約100ミリの猛烈な雨が降り、道路が冠水するなどの被害が発生しました。また、平成12年の東海豪雨では、牧野池の下流河川である天白川が満杯で、支川の植田川の水は下流に流れずに溢れたとも聞いております。
牧野池が農業用水として利用されていた時代は、5月の田植えの時期に池の水を利用したあとは水位が下がり、雨のたくさん降る夏場に、池に水を貯めることにより下流への雨水の流出を抑える洪水調節機能がありました。
ところが、周辺が宅地開発され、農業用水として池の水が利用されなくなった現在では、そういった洪水調節機能は見込めません。
そのため、池の管理者としても公園の景観としてだけではなく、大雨が降った場合に備え、出水期前にあらかじめ水位を下げ、少しでも貯水能力を高めることにより、下流河川に流れ込む雨水の量を抑えるなどの対策を行うべきと考えますが、どうですか。
答弁を求めます。
【答弁 公園緑地課 主幹】
大雨に備えて、事前に牧野池の水位を下げることは、治水の観点から、まずは下流の河川管理者が判断すべき内容であると考えております。
仮に河川管理者が牧野池の水位を下げる必要があると判断した場合は、牧野池の管理者としても、協力していく必要はあると考えておりますことから、このことと委員のご意見もあわせ、牧野池の水が流れ込む前川の管理者である名古屋市にしっかり伝えてまいります。
(質問)筒井タカヤ議員
次に、牧野池の管理体制に関する質問です。
先週のような大きな台風が来ると、地域の方々からは、川の水や池の水が溢れるのではないかと心配の声もあがっています。先週の台風では、幸いにも大雨にはなりませんでしたが、近年の気象の傾向ではいつ何時大雨が降るかもしれません。
地域の方々の命を守ることは、何よりも優先して考えなければなりません。
そのためには、大雨の時に、ため池の管理者としても、地元の区役所や消防署などの関係機関と連携してしっかり対応していくことが必要と考えますが、牧野池の管理体制、特に大雨時の管理体制はどうなっていますか。
答弁を求めます。
【答弁 公園緑地課 主幹】
牧野池の管理については、指定管理者が、通常時は1日2回巡視を行うとともに、大雨時は夜間においても随時巡視が可能な体制を整えており、水位情報などを尾張建設事務所に報告することとなっております。
また、牧野池が名古屋市の水防計画書に重要水防箇所として位置づけられていることから、大雨時には、名東消防署が池周辺を巡視し、水位情報などを名東区役所を通じて、尾張建設事務所に報告することとなっております。
水位情報などの報告を受けた尾張建設事務所は、必要に応じて防災協定締結業者に、池の巡視・点検や緊急対応等を指示し、その結果を名東区役所にも通知することとしており、県、名古屋市、指定管理者の間で情報の共有化を行い、住民の安全確保を図ることとしております。
今後も、万全の体制がとれるよう、出水期前には再度連絡体制などを確認、周知徹底するなど、関係者と連携し、責任を持って対応してまいります。