議会議事録

 

令和元年624

                           委員 筒井 タカヤ

 

 

令和元年6月議会 県民環境委員会

 

 

 

 

(筒井タカヤ議員)

 

東京福祉大学系列の専門学校である「保育・介護・ビジネス名古屋専門学校」問題についてご質問をさせていただきます。

 

この専門学校については、大量の留学生を受け入れて定員オーバーになっていることから、6月6日に県と名古屋入管局による実地調査が行われたと聞いております。

 

この専門学校については、県が認めた定員1,116名のところへ5倍近い人数の学生を受け入れていたということで、マスコミでも大きく取り上げられているところです。

 

この件については、大村知事が、6月17日の定例記者会見で、「極めて遺憾である」「事実関係を把握したうえで、出入国在留管理局と相談しながら、適切に対応したい」と述べておられます。そこでいくつか質問をします。

 

 

当該専門学校が、認可された定員の5倍近い学生が受け入れていたということは、たしかに不適切であったと思います。一方で、6月17日の記者会見で大村知事は、学校側から「定員を増やすため、貸しビルを校舎と認めてほしい」と2年前から相談されていたことを明らかにされています。

 

ということは、学校側も、県と相談しながら、定員の適正化と自己所有の校舎の確保等に向けて準備をしてきたというふうに見受けられるのですが、この点はいかがでしょうか。

 

 

 

 

(私学振興室 主幹 答弁)

 

委員ご質問のとおり、この学校から、「民間から借用した建物を校舎として認められないか」という相談がありました。

 

しかし、本県の認可基準では、学校運営の安定性・継続性の観点から校舎は原則自己所有としておりまして、特例として認めるような社会的要請があるのかなどを学校に確認していたところでありました。

 

なお、相談内容は、「賃貸を認められないか」という相談であり、「大幅に定員を増やしたい」という相談ではありませんでした。

 

 

 

 

(筒井タカヤ議員)

 

専修学校については、校地校舎の自己所有ということが原則になっておりますが、平成16年6月21日に施行された「専修学校設置基準の一部を改正する省令」が公布された際に、文部科学省生涯学習政策局長通知ということで、「校地校舎の自己所有の原則については、弾力的に取り扱うこととする」ことになったと承知しておりますが、そのような理解でよろしいでしょうか。

 

今申し上げた専修学校設置基準の一部改正と、これにかかる文部科学省局長通知とはどういう内容のものでしょうか。

 

くわしく教えてくだされば幸いです。

 

 

 

 

(私学振興室 主幹 答弁)

 

 委員ご指摘のとおり、専修学校については、校地校舎の自己所有ということが原則になっておりますが、平成16年6月21日に「専修学校設置基準の一部を改正する省令」が公布され、「専修学校は、特別の事情があり、かつ、教育上及び安全上支障がない場合は、他の学校等の施設及び設備を使用することができる。」という条文が追加されました。

 

 また、同日付けの文部科学省生涯学習政策局長通知の中で「専修学校の設置認可の際の校地及び校舎の自己所有要件の審査を行うに当たっては、近年の規制改革の動向を踏まえ、より弾力的な取扱いにつきご配慮願います。」と記載されておりました。

 

 

 

 

(筒井タカヤ議員)

 

文科省局長通知の内容は、「今回の改正の趣旨は、規制改革の動向を踏まえ、専修学校及び各種学校の校舎面積基準に弾力化規程を設け、また校地、校舎その他の施設については、一定の条件の下に、他の学校等の施設を使用することができることとするものです」「原則として自己所有とすることが望ましいとされておりますが、これらの通達は、校地及び校舎等の自己所有につき例外的な取扱いを認めないという趣旨ではなく、自己所有要件を満たすことが困難な場合で、借地権又は賃借権の設定登記や借用契約などにより長期間にわたり使用できる保障がある場合など、認可権者において学校経営の安定性、継続性が担保できると認めたときは、自己所有を求める必要がないこともその内容に含まれております。

 

 

ついては、専修学校又は各種学校の設置認可の際の校地及び校舎等の自己所有要件の審査を行うに当たっては、これらの通達の趣旨を基本としつつ、近年の規制改革の動向も踏まえ、より弾力的な取扱いにつきご配慮願います。」と、専門学校側の関係者は、私の質問に再三主張しているが、つまり、「一定の条件の下に、他の学校等の施設を使用することができる」ということを求めているようであります。

 

保育・介護・ビジネス名古屋専門学校の1号館と2号館は、系列校である東京福祉大学名古屋キャンパスからの賃貸物件です。

 

ということは、平成16年に改正された設置基準の「他の学校等の施設を使用することができる」に該当し、1号館と2号館について定員増を認めることが可能なのではないのか答弁してください。

 

 

 

 

(私学振興室 主幹 答弁)

 

委員ご質問の1号館と2号館でありますが、学校から「この建物を校舎として認めてほしい」という相談を受けておりませんので、詳細がわからないため、この場で認めるかどうかの回答は、申し訳ありませんが、控えさせていただきます。

 

なお、この1号館と2号館は、現地調査の際に、学校から「東京福祉大学の所有ではなく、東京福祉大学も民間から借用している建物」との説明を受けました。

 

それが事実であれば、専門学校も民間から借用していることとなりますので、県の設置基準では特別な事由がなければ認められないものであります。

 

 

 

 

(筒井タカヤ議員)

 

ただいまの回答で、特別な事由がなければ認められないとのことでしたが、特別な事由とはどのようなものがあるのでしょうか。

 

 

 

 

(私学振興室 主幹 答弁)

 

特別な事由とは、社会的要請がある場合、例えば、地元市町村から校舎を借用してでも定員を増やしてほしいというような要請があった場合などが考えられます。

 

 

 

 

(筒井タカヤ議員)

 

次に、当該専門学校の3号館と5号館については、購入する方向ですでに所有者と合意がなされており、3号館についてはすでに手付金を支払っております。

 

つまり、学校としては自己所有物件の確保に向けて鋭意努力してきたものであり、県としては、3号館と5号館を購入させ、定員の適正化を図る方向で指導すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 

 

 

 

(私学振興室 主幹 答弁)

 

指導につきましては、現在、調査の途中でありますし、名古屋出入国在留管理局や文部科学省と相談をしながら進めているところでありますので、今の段階では具体的なお答えはできません。

 

 

 

 

(筒井タカヤ議員)

 

今申し上げた以外に、当該専門学校の8号館は賃貸物件となっております。県の私立専修学校設置基準によると、賃貸物件の場合、原則として校地については借地権、校舎については賃貸権の設定登記がなされていなければなりません。

 

ただし、「登記をすることができない特別の事由がある場合には、公正証書をもってこれに代えることができる」とあります。

 

8号館については、これに該当し、公正証書をもって代用できるのではないでしょうかとの考えのようであるが、県はこの見解をどう受け留めるのか。

 

 

 

 

(私学振興室 主幹 答弁)

 

「公正証書をもって代える」というのは、県の設置認可審査基準の細則に定められているものでありますが、それは、設置認可審査基準で定めている「借用することについて特別な事由」があり、借用を認めた場合の定めであります。

 

8号館については、学校からの相談がありましたので「借用することについて特別な事由」があるのかを確認をしていたところでありました。

 

 

 

 

(筒井タカヤ議員)

 

さきほど特別な事由とは社会的要請だと答弁がありましたが、8号館についても、社会的要請があるかを確認していたということでよろしいでしょうか。

 

 

 

 

(私学振興室 主幹 答弁)

 

そのとおりであります。

 

 

 

 

(筒井タカヤ議員)

 

さきほどの平成16年6月21日付けの文部科学省生涯学習政策局長通知のなかに、校地校舎の自己所有については、弾力的に扱うようにと周知されているわけです。

 

したがって、当該専門学校については、賃貸物件の購入を促進すること、ならびに、系列学校の校舎を使用している部分や、長期賃貸物件についても校舎として認可し、定員の適正化を図っていくような改善指導が望ましいのではないでしょうかとの考えのようであるが、どう評価するか。

 

 

 

 

(私学振興室 主幹 答弁)

 

平成16年の文部科学省生涯学習政策局長通知は、当時の規制改革の動向を踏まえ、学校の新規参入をしやすくするためのものだったと伺っております。

 

しかし、本県では学校運営の安定性・継続性の観点から校舎は原則自己所有としておりまして、特例として認めるような社会的要請があるのかなどを学校に確認していたところであります。

 

 

 

 

(筒井タカヤ議員)

 

東京都や埼玉県では、さきほどの「専修学校設置基準の一部を改正する省令」を根拠にして、賃貸物件であっても長期安定的に確保されている場合は、校舎として認可されている実例がございます。

 

愛知県ではこれまで同様の形での認可はなされていないようですが、さきほどの省令の趣旨や、実際に認可された実例に照らしても、愛知県が認可しないということには合理的な理由がないように思われますが、この点についてのご見解をうかがえますでしょうか。

 

県としての考え方は不変であろうが、東京都、埼玉県の取扱いをどのように見ているのか。

 

また、今回の事案によって再検討する方向に向かうことは可能か。

 

 

 

 

(私学振興室 主幹 答弁)

 

他県との認可基準の違いにつきましては、その違いの理由、事例などを研究していきたいと考えております。

 

 

 

 

(筒井タカヤ議員)

 

いま、研究していきたいとのお答えをいただきましたが、ここで一つ提案があります。

 

今回の専門学校の問題は、ソフトランディングさせなければならないと思っています。

 

そこで今いる留学生が卒業するまでの期間限定で一時的に借用の校舎を認めるなどの対応を考えていただきたい。学生ファーストの立場から要望します。

 

次に、当該専門学校の留学生について、今後、新たに在留期間の更新を認めないという措置を取ることはありうるでしょうか。

 

もし認めないとなると、学生たちはどのようになるのか。これらの学生たちの相談窓口は必要と考えますが、県の見解を求めます。

 

 

 

 

(多文化共生推進室 室長 答弁)

 

留学生の相談窓口について、お答えします。

 

本県では、本年4月から、本県の外国人相談窓口の対応言語につきまして、従来の5言語に、留学生に多いアジア圏を中心に、ベトナム語、ネパール語、インドネシア語、タイ語の4言語を加えて9言語に拡充し、新たに「あいち多文化共生センター」として運営しております。

 

当センターでは、相談対応の中で、各種制度の概要や手続の説明、生活、医療・福祉、教育等に関する情報提供を行っており、今回、補正予算による機能拡充により、名古屋出入国在留管理局と連携して、出入国、在留手続等の専門相談を実施していくこととしております。

 

さらに、センターを設置・運営する愛知県国際交流協会のホームページについても充実いたしますので、留学生の方にも御利用いただけるよう、引き続き、しっかりと情報発信してまいります。

 

 

 

 

(筒井タカヤ議員)

 

留学生はどこの国の出身者が多く、何人いたのか答弁してください。

 

 

 

 

(私学振興室 主幹 答弁)

 

留学生が多い国につきましては、学校からの報告によりますと、ネパール、ベトナム、中国、スリランカとなっております。

 

なお、人数につきましては、現在、調査中であり、名古屋出入国在留管理局と調整しているところでありますので、今の段階では、申し訳ありませんが、お答えを控えさせていただきたいと思います。

 

 

 

 

(筒井タカヤ議員)

 

国別の人数は、わかり次第、示していただきたい。なぜ、私がこういうことを聞いているかと申しますと、多くの国から集まっているのであれば問題ありませんが、特定の国に偏っているのなら、その理由をおもんばかってしまうからです。

 

なぜ、名古屋の専門学校だったのでしょうか。東京や大阪ではなくなぜ名古屋なのか。

 

東京が飽和状態だから名古屋に流れてきているのではないか。

 

その背景にあるものを分析していただきたいと思っています。

 

次に、生徒たちの住まいは学校が斡旋しているのか。それとも仲介業者やバイト先が斡旋しているのか。

 

また、アルバイト先はどういった業種が多いのか答弁してください。

 

 

 

 

(私学振興室 主幹 答弁)

 

現地調査の際に、学校から聞いた話では、住居について、斡旋を望む生徒には学校が賃貸アパートなどを紹介しているということでした。

 

また、アルバイト先は飲食関係が多いとのことでした。

 

 

 

 

(筒井タカヤ議員)

 

昨今、名古屋でも、夜のコンビニなどで、外国人留学生のアルバイトを見かけることが多くなりましたが、彼らは、学業のかたわら、週に 28時間以内という枠内でアルバイトをしているわけです。

 

今、日本ではさまざまな分野で人手不足が深刻化しており、コンビニの長時間労働も問題になっています。

 

地域の活性化、人手の確保という意味でも、今や留学生の存在は地域に欠かせないものになっているのではないかと思います。

 

学校側の説明によると、「保育・介護・ビジネス名古屋専門学校」の留学生は、国際教養学科を卒業後、同じ学校の国際ビジネス情報学科へ内部進学することも可能だそうです。

 

仮に、当該専門学校の留学生には在留期間の更新を認めないとした場合、留学生の行き場がなくなるのではないかと心配する声が出ております。

 

当該専門学校では、教員も確保し、授業も適正に実施され、留学生支援室を設置するなどのサポート体制もしっかりしております。

 

現に多くの留学生が在籍している以上、彼らを卒業までサポートすることを中心に、在籍管理の徹底と定員の適正化を図っていくような改善指導が望ましいのではないでしょうか。

 

 

 

 

(私学振興室 室長 答弁)

 

この学校への指導につきましては、現在、調査の途中でありますし、名古屋出入国在留管理局や文部科学省と相談をしながら進めているところでありますので、今の段階では具体的なお答えはできませんが、まじめに勉強をしている生徒のことを考慮して、検討してまいりたいと考えております。

 

 

 

 

(筒井タカヤ議員)

 

学校に追加調査を行う際は、「留学生はどこに住んでいるのか」、「誰が斡旋しているのか」、「家賃は誰が負担しているのか」という点も調査していただきたい。

 

彼らの来日目的が、就労目的かどうかを知るための基本であり、その分析をするために調査項目に入れていただくことを要望します。

 

また、是正指導を行ったために、生徒が不法滞在者になってはいけません。愛知県は是正指導し、生徒数が減れば終わりかもしれませんが、それでは問題をすり替えただけで解決したことにはなりません。

 

今後、是正指導を行う際は、学生ファーストの気持ちを忘れずに実施してもらうことを要望して終わります。