令和239

    令和2年(2:県議会) 議案質疑(39日)

<議事録>

 

 

 

 (質問)筒井タカヤ議員

 

 次に、令和2年度愛知県県立病院事業会計予算のうち、第1款 病院事業費について質問いたします。

 

 まず、愛知県がんセンターの院内感染対策について、お尋ねいたします。

 

 最近、新型コロナウイルス感染症にかかわるニュースが、連日報道されております。

 

 特に、和歌山県の済生会有田病院における院内感染事例を聞きますと、本来病気治療のために訪れる病院で、逆に病気になってしまうという、何とも痛ましい事例でありまして、医療機関における院内感染対策の重要性を再認識しているところであります。

 

 こうした中、本県の県立病院においては、しっかりとした感染症対策が行われているのでしょうか。

 

 

 

 特に、私の地元付近にあります愛知県がんセンターには、免疫機能の落ちている患者も多く入院しておられますので、通常の病院よりもしっかりした対策が必要と考えております。

 

 ここで、質問に入りますが、質問の1つ目は、がんセンターの病室の清掃であります。

 

 現在では、この清掃は2年ごとの入札でもって、最も入札額が低い清掃業者が決定しております。入札制度と言えば、これは妥当なことであります。

 

 これまでの入札実績を調べた時、異常なほど低い額を示した清掃業者の中に、シッカリした内容がともなっていないこともあり倒産したような企業もありました。

 

こうした例もあって、県がんセンターとして従来のような大ザッパな内容を、更に詳細な清掃の区分をされ、衛生・安全な作業とされ、近年において、入札価格の見直しを実行されたことを評価いたします。

 

 

 

 それでも、室内清掃を見ていると、どうしても気になる点があります。

 

 

 

 がんセンター病院の患者は、特に感染に気使いしなければならない患者が多くおられます。更に免疫力が低い患者が多いようです。このような患者に対応するために、どのように清掃されているのか、答弁を求めます。

 

 院内感染対策には、常日ごろの対策と、今回の新型コロナウイルス感染症発生時のような、特別な対策があるかと思います。

 

 まずは、基本的な院内感染防止対策がとられていることが大前提でありますが、臨時的、突発的な事例が発生した場合には、迅速かつ臨機応変な対策も求められると思います。

 

 

 

 そこでお伺いいたします。

 

 

 

 愛知県がんセンターにおいて、新型コロナウイルス感染症をはじめ、院内感染対策はどのように実施されているのでしょうか。答弁を求めます。

 

 開かれたがんセンター病院ですが、これまで病院に来訪される見舞客も含めた人のために、病院入口で、マスク等の自動販売機も設置されています。

 

又、院内の販売店でもマスクを販売していたが、現在、在庫がゼロのままであります。

 

免疫力の少ないがん患者を考えれば、見舞客、付添人の対応を再考すべきです。答弁を求めます。

 

 

 

 次に、がんセンターの院内保育について、お尋ねいたします。

 

 

 

 院内保育所については、私は以前から、看護師確保対策のために必要な施設であるとして、その設置を訴え続けてまいりました。

 

 その後、平成26年度からがんセンター内に院内保育所が設置され、業務委託により運営されております。

 

 対象者はがんセンターに勤務する医師及び看護師で、現状で15名程度の方が利用されていると伺っておりまして、医師及び看護師確保・定着対策に早速効果が現れているものと考えております。

 

 しかしながら、設置場所においては、研究所北館の1階の1室に設置している状況でありまして、以前お聞きした時には、早期に設置することを第一に考え、当面の措置として研究所の1階に開所したものである、とのことでありました。

 

 一方、がんセンターの研究所については、私は以前から、その重要性、必要性を訴えてまいりました。病院と研究所は車の両輪であり、両方が充実してこそ、がんセンターはその機能が果たせるものと考えております。

 

 平成12年度頃、県において、県がんセンター研究所のあり方が議論され、廃止という声も聞かれたのですが、私はその必要性を強く訴え続けてまいりました。

 

 最近では、がんゲノム医療の推進のため、病院と研究所の協働による重点プロジェクトを実施されるなど、研究所の存在意義が認識されているということで、うれしい限りと思っております。

 

 研究所は、以前は、西館と東館の2棟でありましたが、昭和63年に生物工学総合実験棟を整備しており、その後、平成14年に西館と東館を研究所本館1棟に整備し、あわせて従来の診療管理棟を改修して研究所北館とし、現在、3棟で運営されております。

 

 さらに、生物工学総合実験棟については、平成28年度以降は、随時、バイオバンクやがんゲノム医療に関わる研究など、新しい研究需要に対応するため、棟内を改修し、研究所機能の充実を図っておられます。

 

 こうした、研究所の充実は、非常に重要なことであり、県の取組を評価するものでありますが、そうであるならば、研究所1階に院内保育所をそのまま残しておくのではなく、研究所機能の更なる充実のために使用すべきであります。

 

 

 

 そこでお伺いします。

 

 

 

 現在、がんセンターではがんゲノム研究に重点的に取り組んでいるところと聞いておりますが、今後、さらにがん研究を進めていくためにも、現在の院内保育のスペースを研究所に戻し、院内保育所は別に設けるべきと考えますが、病院事業庁としてどのように考えておられますか。答弁を求めます。

 

 県議会の議案説明会において、木下病院事業庁長が胸を張って、がんゲノムへ病院とがん研究所が連携して取り組むと言っておられるのに、実体は研究所に保育室では悲しすぎます。

 

 最後に、がんセンターの未来図について、お尋ねいたします。

 

 先ほど、研究所の機能充実については触れましたが、その時々の必要性に応じた施設の改修も、もちろん必要であります。

 

 しかし、愛知県がんセンターが今後も、最先端の医療と研究を提供し、県民の期待に応え続けていくためには、県がんセンター全体の未来図が必要ではないかと考えます。

 

 今、がんセンター敷地内に役割を終えた、旧看護宿舎が無人のまま放置されたままの状況を見る時、すみやかに建物を取壊すと共に、跡地利用を考えるべきだと存じます。

 

 病院事業庁としてどのように考えておられるのか、答弁を求めます。

 

 

 

 以上です。

 

 


 

(病院事業庁長 答弁)

 

 

 はじめに、がんセンターにおける病室の清掃についてでありますが、厚生労働省令で定める基準に適合した事業者に委託して実施しております。

 

 まず、病室の床については、真空掃除機等により埃や汚れを取り除いた後、モップを使用しますが、オフロケーション方式といって、1病室ごとにスペアのモップに交換し、使用後に一括して洗濯機で洗いますので、常にきれいなモップで拭くことになります。

 

 また、病室の手すり等の拭き掃除につきましても、同じくオフロケーション方式で実施しております。

 

 

 

 次に、がんセンターにおける新型コロナウイルス感染症を始めとする院内感染対策についてであります。

 

 

 

 がんセンターでは、感染対策マニュアルを定めて、針刺し事故への対応や、機材の滅菌・洗浄、手洗い、咳エチケットといった日常の感染予防対策を職員に周知徹底するとともに、院内感染対策チームが、毎週、院内巡視を実施するなど、平時から感染防止に努めております。

 

 新型コロナウイルス感染症については、これらの対策に加え、厚生労働省からの通知に基づき、職員は、出勤前の体温測定を徹底し、面会者は、感染経路遮断の観点から一定程度、面会を制限し、また取引業者等には、体調の悪い方は施設に入らないなど、対策を徹底しているところであります。

 

 

 

 続いて、見舞客等への対応についてであります。

 

 

 

 がんセンターでは、免疫力が低くなっているがん患者さんの感染防止を図るため、院内掲示やホームページを通して、面会時には、マスクの着用や手指消毒をお願いしてきたところであります。

 

 こうしたなか、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、厚生労働省の通知に基づき、当面の対応として、面会の方法を見直しました。

 

一般の面会者には極力遠慮していただき、家族等を中心とした面会のみとし、その場合においても、お一人ずつで、できるだけ短時間での面会をお願いしております。

 

 今後とも、がんセンターの入院患者の感染防止にしっかりと取り組んでまいります。

 

 

 

 次に、がんセンター研究所内の院内保育所についてであります。

 

 

 

 院内保育所については、当時、新築も検討しましたが、多大な資金と時間が必要なため、以前は事務室として使用していた研究所1階の空き部屋に整備したものです。

 

 一方、研究所については、2016年度以降、生物工学総合実験棟の改修工事を進め、バイオバンクや共同実験室の整備など、必要な研究スペースの拡充等を図ってきたところであり、保育所が研究開発の推進の支障とはなっていないものと考えております。

 

 また、保育所の利用職員からも、設置場所についての苦情や要望は出ていないことから、院内保育所については、当面、現在の場所で運営してまいりたいと考えております。

 

 最後に、がんセンター全体の未来図についてであります。

 

 これからのがん医療は、遺伝子レベルで患者さんの体質や病状に合わせた個別化医療を推進し、治療に加え、予防や診断も含めた新しいがん医療の創出に取り組む必要があります。

 

 こうした中、病院と研究所を併せ持つがんセンターを更に発展させ、日本をリードし、世界に向けてがん医療を発信していかなければなりません。

 

 また、がんセンターの病棟等の建物については、来年度末までに、老朽化対策などを盛り込んだ長寿命化計画を策定することとしておりますので、当面は、この計画により、施設・設備の維持・向上に取り組んでまいります。なお、看護宿舎の取壊し等については、必要に応じて検討してまいります。

 

 

 

 

(質問)筒井タカヤ議員

 

 

 再質問です。

 

 県がんセンターの総長さんが、勤務されている研究所を訪ねて、お話も聞いてまいりました。

 

 今、がんセンターは、愛知県でも誇れる、研究と医療の融合が行われていると、自信を持って語ってくださいました。

 

 私はそういう思いを大切にし、心から支え、応援したいと心に誓いました。

 

 でも、そこの中に見えてくるのは、ゲノムだ、IPS細胞だ、がんの撲滅にもっと県全体で皆が一体となって、取り組む必要があるんじゃないかと思った次第です。

 

 そのためにも、旧看護宿舎が、建ったままなんです。あれを早期に撤去すれば、今、患者さんが多く、見舞客も多くて駐車場が、いつも満杯になるという、解決策にもなります。

 

 又、じっくりと、研究所も、病院も、更に病院事業庁としても、県のがんセンターの先生のご意見を拝聴する中で、協議をして、旧看護宿舎の跡地を有効的に活用する構図を、描いていただきたいです。

 

 それががんセンターの未来図を構想する、原点になると思います。

 

 老朽化した看護宿舎を取り除くにも予算が要ります。早急に財政当局とも打合せをして、取り除いてください。

 

 以上、病院事業庁長からの答弁を求めて終わります。以上です。

 

 


 

(病院事業庁長 答弁)

 

 がんセンターの病棟、研究所も含めた、建物につきましては、私が先ほど答弁いたしましたように、来年度末までに、老朽化対策などを盛り込んだ長寿命化計画を策定することとしておりますので、その計画により、施設・設備の更新・維持に関して、計画しながら行っていく、ということでございます。

 

 看護宿舎の取り壊し等に関しては、必要に応じて検討してまいりますが、さらに、将来、がんセンターの病棟等の建て替え整備が必要になった際にも検討することになると考えております。

 

 今後とも、高度で先進的な医療を提供し、県民の皆様に信頼されるがんセンターの整備を目指してまいります。