(2024.10.4)

令和69月 建設委員会質問

委員 筒井 タカヤ

 

 

 

(質問)筒井タカヤ

 

 

私は、県議会議員として、これまで地域住民との交流の中で、県民の方々が置かれた状況を率直にお伝えして、県当局に対し、今後の改善を提案してきたところです。

 

 

 

 

前回の6月議会の建設委員会では、県営住宅は、国から計画の確認を受けたうえで、国の補助を受けて、県の一般会計で整備されるわけですが、近年は、用地を取得して新しい住宅を建設するのではなく、建替と長寿命化改善が主体で、PFI手法による建替も行われていること、県営住宅の家賃は、公営住宅法に基づく方式の応能応益方式で家賃を決定し、その会計は特別会計を設けて管理していることの説明がありました。

 

 

 

また、現在では考えられないことですが、(いま)だに風呂設備が設置されていない県営住宅が多くある現状について質問し、管理する県営住宅の半数しか風呂設備が設置されていないことが明らかとなり、風呂設備が未設置の住戸への風呂設備の設置を進めていくとの答弁がなされました。

 

 

 

そして、入居している方が取り付けた風呂設備が老朽化して非常に苦労されている状況や生活保護を受けている世帯は「住宅扶助」で風呂設備を設置できることも紹介し、県当局の答弁では、社会福祉協議会の「生活福祉資金貸付制度」が利用できることや生活保護制度の「住宅扶助」について、しっかりと周知していくとのことでした。

 

 

 

今回も、6月の建設委員会でお伝えしたとおり、引き続き、県営住宅に関する問題についていくつか質問をいたします。

 

 

 

風呂設備が設置されていないこと以外にも、今日(こんにち)の県営住宅が抱える問題は数多くあり、私は、これまでも県当局に対して本会議や建設委員会の場で、繰り返し、繰り返し質問してきました。

 

 

 

その結果、ほんの少しだけ進んだものもありますが、まだまだ多くの課題があります。

 

 

 

前回も少し触れましたが、79年前の戦争によって日本各地は壊滅的な状態となり、国民は住宅を失い、命がけで厳しい冬を越すことを強いられていました。

 

 

国は、国民が安心して暮らせる住宅を提供することが急務であり、昭和26年の6月に公営住宅法を制定し、全国各地に、県営住宅、市営住宅、町村営住宅の整備を進めていきました。

 

 

愛知県も昭和28年の3月に「愛知県県営住宅条例」が公布され、住宅に困窮する県民に提供するため、公営住宅法に基づく県営住宅を整備してきました。

 

 

 

 

条例が出来た当時の県営住宅は、木造やコンクリートブロックを積み上げて造った簡易耐火構造の住宅も多くありました。

エレベーターが設置された高層住宅は、昭和40年代中半(なかば)の高度成長期になって、ようやく建設され始めましたが、この当時は、まだまだ、エレベーターが設置されていない4階建て、5階建ての、いわゆる階段室型の中層住宅の建設が中心でした。

 

 

 

また、法律の変遷を見ていくと、昭和26年の公営住宅法の制定により低額所得者に対する住宅供給制度が確立され、公営住宅の種類を第1種公営住宅と、より低額所得の者に向けた第2種公営住宅に分類され、国からの建設費の補助率も第1種公営住宅は2分の1、第2種公営住宅は3分の2と、第2種公営住宅の方が手厚いものとなっていたわけです。

 

 

その後、平成8年の法改正によって、住宅の種別区分が廃止となり、建設費の補助率も2分の1に統一され、更には、家賃も住宅の建設原価を元にした限度額家賃方式から、入居者の収入と住宅から受ける便益により定める応能応益家賃方式に改められました。

 

 

公営住宅法の制定から73年が経ち、この間、公営住宅法は様々な改正が行われてきましたが、法の目的は、国と地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することで、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することは変わっていません。

 

 

 

 

愛知県の県営住宅も長い歴史の中で、住宅の新設、入居、維持管理、そして建替といったサイクルで、その役割を担ってきました。

しかし、高度成長期に集中、大量に供給された県営住宅は、今、50年を経過して、建替を実施する時期となっていますが、その対応が追いついていないのが現状で、多くの県営住宅は老朽化が進んでいるのが現実です。

 

 

 

 

そこでまず、県営住宅の建設年代別に見た状況についてお聞きします。

 

 

昭和49年度に建設された県営住宅は、今年、建設から50年を迎えるわけですが、昭和40年代以前、昭和50年代、昭和60年代以降に分けた管理状況、空き家の状況はどうなっていますか

 

 

 

 

 

【県営住宅管理室 答弁】

 

 

本年81日現在で、県営住宅は56,686戸あり、空き住戸は13,060戸となっております。

 

 

これらの戸数には、住棟を建替えることとしている住宅も含まれ、建替の対象となっている住棟には、新たな入居者の募集を行っておりません。

 

 

また、現在入居されている方は、順次、新しく建設された住棟などに移転していただき、入居されている方の移転が完了すると、すべての住戸が空き住戸となり、取壊し工事に着手することとなります。

 

 

こうした建替予定となっている住棟を除いた管理戸数は50,909戸で、空き住戸は9,899戸となっており、空き家率は19.4パーセントでございます。

 

 

これを建設年代別で見ますと、昭和40年代、1974年以前までの年度で建設された県営住宅で、管理戸数7,122戸、空き住戸2,278戸となっており、空き家率は32パーセントでございます。

 

 

次に、昭和50年代の年度に建設された県営住宅の管理戸数は16,862戸で、空き住戸は4,053戸となっており、空き家率は24パーセントでございます。

 

 

最後に、昭和60年度以降に建設された県営住宅でございますが、管理戸数は26,925戸で、空き住戸は3,568戸あり、空き家率は13.3パーセントとなっております。

 

 

 

 

 

(質問)筒井タカヤ議員

 

 

次に、エレベーターが設置されていない県営住宅の各階の空き状況はどうなっているかお答えください。

 

 

 

 

 

【県営住宅管理室 答弁】

 

 

エレベーターが設置されていない県営住宅は、建替予定となっている住棟を除いて17,165戸ございますが、そのうち4,555戸が空き住戸となっており、空き家率は26.5パーセントでございます。

 

 

各階の空き住戸の状況は、1階は管理戸数4,218戸に対して、空き住戸816戸、空き家率19.3パーセント。

 

 

2階は管理戸数4,211戸に対して、空き住戸888戸、空き家率21.1パーセント。

 

 

3階は管理戸数4,203戸に対して、空き住戸1,103戸、空き家率26.2パーセント。

 

 

4階は管理戸数3,235戸に対して、空き住戸1,095戸、空き家率33.8パーセント。

 

 

5階は管理戸数1,298戸に対して、空き住戸653戸、空き家率50.3パーセントとなっております。

 

 

 

 

 

(質問)筒井タカヤ

 

 

現在の県営住宅は、全体で56,686戸あり、そのうち昭和49年度以前に建設され、建設から50年を経過する住宅で、建替が予定されていないものが7,122戸もあり、そして、こうした県営住宅の空き家は2,278戸、空き家率32パーセントにもなっているわけです。

 

 

前回の建設委員会で明らかになりましたが、県営住宅に風呂設備を設置し始めたのは昭和614月からで、当然、これらの建設から年数が経った、古い住宅には風呂設備がないわけです。

 

 

 

また、答弁にあったようにエレベーターが設置されていない県営住宅の空き家率は26パーセントを超え、その空き家は、3階、4階、5階に集中し、とりわけ5階に至っては、その半分が空き家となっているわけです。

 

 

 

風呂設備が設置されていない住宅、エレベーターが設置されていない住宅に空き家が集中している。それが今の県営住宅の実態です。

 

 

 

既に建っているエレベーターが設置されていない住宅は、その住宅の構造上の問題やエレベーターの設置に必要な敷地などに制約があり、エレベーターを後から設置することは難しいとは理解しますが、風呂設備は前回の建設委員会でも問い正しましたが、浴室スペースは、既にすべての県営住宅にあるんです。

 

 

そこに風呂設備を設置することは簡単なことなんです。

 

 

それをいつまで経っても入居者に設置させていることが問題なんです。

 

 

 

エレベーターが設置されている住宅も一緒です。

 

 

エレベーターが設置されていても、大規模な改修がなされずに長年放置されていることは、いくら県財政が厳しいといっても、行政の怠慢であると言わざるを得ないのではありませんか。

 

 

 

県は、20203月に策定された「愛知県営住宅長寿命化計画」で、エレベーターが設置されていない老朽化した5階建て以下の中層住宅は、高層住宅に建替えて入居者を集約し、また、老朽化した高層住宅は大規模な改修、すなわち、外壁や屋根、配管等の改修に加え、段差の解消や手すりの設置等のバリアフリー化をする長寿命化改善工事を実施して、住宅の長寿命化を図っていくとしています。

 

 

 

 

中層住宅を建替えれば、エレベーターも風呂設備も設置され、エレベーターのある高層住宅は、長寿命化改善工事で風呂設備を一緒に設置していけば、設備面の問題は解決されるのではないですか。

 

 

 

建設から50年が経過しても、建替が予定されていない県営住宅が7,122戸あるわけですが、「愛知県営住宅長寿命化計画」における県営住宅の建替と長寿命化の状況はどうなっているか。答弁を求めます。

 

 

 

 

 

【公営住宅課 答弁】

 

 

愛知県では、既存県営住宅の有効活用と長寿命化を図ることを目的として、20203月に「愛知県営住宅長寿命化計画」を策定し、2020年度から2029年度までの10年間を計画期間として、効率的に事業を実施することとしております。

 

 

計画では、老朽化した住棟の建て替えと長寿命化改善を組み合わせて事業量の平準化を図ることとし、計画期間中に約6,900戸の建替えと約4,000戸の長寿命化改善を実施することとしております。

 

 

 2020年度から2023年度までの4年間の事業実績としましては、建替え事業では2,620戸の既存住宅の用途廃止と新たに1,137戸の建設を行い、進捗率は約38%、長寿命化改善事業は1,431戸で進捗率は約36%となっております。

 

 

また、現在建替工事着手中の住宅は5住宅、359戸、現在長寿命化改善工事着手中の住宅は3住宅、325戸であります。

それぞれ概ね順調に進捗しているものと考えております。

 

 

 

 

 

(質問)筒井タカヤ議員

 

 

20203月に策定された「愛知県営住宅長寿命化計画」では、2020年度から2029年度までの10年間で、6,900戸を建替えるとしており、開始から4年間で2,620戸が廃止され、新たに1,137戸が建設され、現在、5住宅、359戸で建替を進めており、長寿命化改善工事は、4年間で1,431戸工事が完了し、現在、3住宅、325戸で工事を進めているとのことです。

 

 

説明を聞くと長寿命化計画の上では順調に進んでいるように窺えますが、昭和40年代に建設され50年以上が経過した住宅で、今なお建替の予定が示されていないものは今後どうするのでしょうか。

 

 

このままいけば、耐用年限の70年を超えても使わざるを得なくなるのではないかと不安を覚えます。

 

 

しっかりとした予定を県民に示す責任が県にはあると考えるためお聞きするものです。

 

 

 

 

 

【公営住宅課 答弁】

 

 

昭和40年代に建設され50年が経過した建替の予定を示していない住宅につきましても、今後、長寿命化計画に基づき、順次、建替、長寿命化改善や用途廃止に関する具体事業の実施計画を作成し、円滑な事業が実施できるよう努めてまいります。

 

 

 

 

 

(質問)筒井タカヤ議員

 

 

続いて、私の地元である「名東区」の「高針住宅」は、昭和50年、51年に新設された7階、8階建ての高層の5棟からなる県営住宅ですが、今まさに、1棟から順に長寿命化のための大規模改修工事、長寿命化改善工事が進められています。

 

 

先月、910日になりますが、今年度、長寿命化改善工事に入る高針住宅の2棟の入居者の方に対して、長寿命化改善工事の工事説明会が実施され、私もその説明会に出席しました。

 

 

その説明会では、工事内容や工期、作業の進め方と入居者へのお願いがなされました。

 

 

この工事は、工事期間が1年以上となる、まさしく大規模改修工事です。

 

 

ただ、当初は一緒に進めるはずだった給排水管工事の入札で不調が続いて、当日は具体的な説明がありませんでした。

 

 

今も入居者の生活に重要な給排水管工事の入札が落札されず、(いま)だ工事に着手できない状況になっています。

 

 

なぜ、この給排水管工事の入札が不調となったのか、県はどのように分析し、どのように対応するつもりであるか。

 

 

 

答弁を求めます。

 

 

 

 

 

 

【公営住宅課 答弁】

 

 

高針住宅長寿命化改善給排水工事(第2工区)は、当初の発注が不調でしたので、入札参加資格の地域要件を緩和し発注しましたが、再び不調となりました。このため、一般競争入札から指名競争入札に変更し3度目の発注をしましたが今回も不調でした。

 

 

3度目の発注の前に入札辞退者等への聞き取りを行ったところ、入札不調の理由としては、技術者が不足し現場に配置できないことが挙げられており、配置する技術者の範囲が拡がる指名競争入札としましたが不調となりました。

 

 

今後は、指名した業者から辞退理由を聞き取り、設計内容等に反映させ、契約に至るよう検討いたします。

 

 

 

 

 

(質問)筒井タカヤ議員

 

 

給排水管は生活する上で最も大切な設備であり、万が一でもこれが機能しない事態が起こることは、あってはならないことなんです。

外壁は、もちろん綺麗にこしたことはありませんが、多少汚れていても、すぐには生活に困りませんが、「給排水管が壊れる」、すなわち「断水、漏水が発生する」とその日のうちに困ります。入居者は断水、漏水の恐れがある中、生活をしているのです。

しっかりと分析してもらい、速やかに契約できるよう取り組んでいただきたい。

 

 

 

ここからは、県営住宅の入居者の現状を踏まえ、入居者が組織し、日常の住宅の管理を担っている自治会の現状を中心に、県営住宅の管理がままならないことについて、質問してまいります。

 

 

 

県営住宅では、入居者からの家賃を原資に住宅の修繕等を行っているわけですが、平成8年の公営住宅法の改正により、県営住宅の家賃は、繰り返しになりますが、入居者の収入に応じた応能応益の家賃となり、結果的に県の収入が激減しました。

 

 

県は、この減収に対応するため、それまで行ってきた住宅の計画的な修繕を取りやめました。安い家賃で住んでいるから仕方ないと言わんばかりです。

 

 

古くなった県営住宅は、見た目も中身もボロボロです。こんな計画的な修繕が出来ていない古い県営住宅に、誰が入居しようと思いますか。

 

 

きちんと修繕もされず、建替の予定も示されない老朽化した住宅が多く存在しているのが、今の県営住宅です。

 

 

そして入居者はどんどん高齢化し、県営住宅が最後の家、いわゆる「(つい)棲家(すみか)」になっている入居者が多くいるのが現実です。

 

 

建替が済んだ新築の県営住宅は、見た目も中身もピカピカの最新で、入居を希望する若者もいますが、実際は、建替で移転した高齢の入居者ばかりで、そこに若者が入居すると、すぐさま自治会の役員を押し付けられるとの噂です。

 

 

こんな噂が広まっていれば、県営住宅に入居したいと思う若者はますます減り、せっかく新しい住宅に入っても、何でもかんでも押し付けられて、嫌になってすぐに退去してしまうんです。

 

 

 

 ここで、確認のため、県営住宅の入居者の高齢化を端的に表していると思われる「高齢の単身者」の入居状況はどうなっていますか。答弁を求めます。

 

 

 

 

 

【県営住宅管理室 答弁】

 

 

本年81日現在で、県営住宅に入居する43,626世帯のうち、65歳以上の単身者世帯は、10,734世帯となっており、全入居世帯の24.6パーセントを占めております。

 

 

 

 

 

(質問)筒井タカヤ議員

 

 

県営住宅の入居者のうち25%、4分の1が高齢の単身者になっているんです。

 

 

このように高齢者ばかりとなった県営住宅の自治会は、もう限界になっているんです。

 

 

このことは、今まで何回も取り上げてきました。

 

 

 

入居者の高齢化によって自治会役員のなり手がない上に、共益費を払わない納付意識の低い入居者の増加により、自治会役員は共益費を徴収することが大きな負担となっていると、私のところには、自治会の役員の方からの声が届いておりました。

 

 

 

公営住宅法では家賃以外の金品徴収を禁止していると解釈され、共益費を県が徴収できないと長年の間捉えられていましたが、共同施設の維持管理費用である共益費について、その費用を徴収することを禁止しているものではないと解されるようになり、私は、自治会役員の負担の軽減につながる県による共益費の徴収を何年も繰り返し求めてきました。

 

 

その結果、県もようやく重い腰を上げ、共益費の県徴収に踏み切ったのです。

 

 

県による共益費の徴収制度は、令和2年度から始まったわけですが、県が徴収する項目は、自治会が徴収している共益費の一部しか徴収していません。

 

 

そこで確認します。県は、共益費、県では、「附帯設備使用料」と呼んでいますが、分かりやすいよう「共益費」で質問しますが、共益費のうち、どの項目を、そして、どうしてその項目を徴収することにしたのか。

 

 

また、共益費の徴収を県徴収へ移行した住宅数はどれくらいあるのか。

 

 

 

答弁を求めます。

 

 

 

 

 

【県営住宅管理室 答弁】

 

 

現在、県で徴収できる附帯設備使用料、いわゆる共益費の項目は、愛知県県営住宅管理規則で5項目を定めており、具体的には、1.汚水処理施設に係る電気料、清掃費、消毒費及び消耗品費、2.排水用中継ポンプに係る電気料、3.エレベーターに係る電気料、保守点検費及び消耗品費、4.揚水ポンプに係る電気料、並びに5.廊下灯、階段灯及び街路灯その他これに類するものに係る電気料となっております。

 

 

これらの5項目につきましては、入居者が生活する上で欠かせない設備で、住宅を維持していくためのライフライン及び入居者の安全安心に関連する重要な項目として、県で徴収を行うことといたしました。

 

 

次に、県が附帯設備使用料を徴収している住宅は、県営住宅295住宅のうち、今年度から県徴収を開始した11住宅を含め、104住宅となっております。

 

 

 

 

 

(質問)筒井タカヤ議員

 

 

今、ライフライン及び安全安心に関連する項目である汚水処理施設やエレベーターは入居者の生活上、重要な項目であるため、徴収の対象としたとの答弁があったが、「排水管の清掃」が項目に入っていません。

 

 

「排水管の清掃」は生活する上で重要な項目ではないのですか。

 

 

先程も給排水管の工事が入札不調となった理由の説明があったが、給排水管を扱えるのは専門業者であり、なんの知識もない素人である自治会役員が、排水管の清掃を悪徳業者に依頼してしまい、排水管が破損するなど取り返しのつかない事態になるかもしれません。

 

 

「排水管の清掃」も住宅を維持管理する上での重要項目であると認識しているのであれば、住宅管理者が責任を持って行うべきものではありませんか。

 

 

「排水管の清掃」を住宅管理者で行うつもりはあるのか。答弁を求めます。

 

 

 

 

 

【県営住宅管理室 答弁】

 

 

附帯設備使用料として徴収する対象項目の検討にあたっては、県営住宅の自治会が共益費を徴収して行っている項目について、自治会へのアンケート調査や自治会役員へのヒアリングを行いました。

 

 

その結果、排水管の清掃は、住宅の維持管理上、重要な項目であるものの、汚水処理施設やエレベーターの保守とは異なり、住宅ごとで実施する時期や回数、清掃の方法が違い、掛かる費用にも住宅ごとで差があることがわかりました。

 

 

このため、まずは速やかに附帯設備使用料の県徴収制度の導入を図り、自治会役員の負担を少しでも軽減できるよう、全住宅で一律の実施が可能で、重要性の高い5項目を対象として、令和2年度に制度開始したものでございます。

 

 

排水管の清掃は住宅を適切に維持していくうえで欠かせない作業でありますので、各自治会と協議を進めながら、研究をしてまいりたいと考えております。

 

 

 

 

 

(質問)筒井タカヤ議員

 

 

排水管の清掃は、エレベーターの保守と同じぐらい住宅の維持管理には重要なんです。

 

排水管が破損すれば入居者は日常の生活を維持することが出来なくなるんですよ。

 

 

県は、こうした排水管の清掃の重要性を理解するならば、入居者から必要な費用を徴収してでも、県が責任をもって排水管清掃を実施すべきではないですか。

 

 

県営住宅の自治会の多くは、入居者の高齢化によって役員のなり手もなく、既に崩壊状態にあり、住宅の維持管理は住宅管理者が入居者から必要な費用を徴収し、住宅管理者が行うべき時代に入っているんです。

 

 

なぜ、今なお自治会に排水管の清掃をさせているのか。

 

 

もう一度言います。入居者が組織する自治会が住宅を維持管理していく古い制度は破綻しているのが現実です。一刻も早く、この現実に向き合い、共益費のすべてを住宅管理者が徴収して、住宅を維持管理すべきです。

 

 

答弁を求めます。

 

 

 

 

 

【県営住宅管理室 答弁】

 

 

現在、全体の3分の1を超える104の県営住宅で附帯設備使用料の県徴収が始まっており、来年度から新たに県徴収へ移行を予定している住宅もあり、この制度についての理解が得られ、一定の成果が出ていると考えております。

 

 

このため、まずは共益費の徴収に苦労をされている自治会の役員の方の負担が少しでも軽減できるよう、県徴収に移行していない県営住宅の自治会に対して、引き続き、丁寧に制度の説明を行い、県徴収に移行していただくことが重要と考えております。

 

 

しかしながら、自治会への制度説明の際などに、実際に苦労されている自治会の役員の方からは、排水管の清掃や草刈りなどについても費用徴収の対象として県による実施をしてほしいとの御意見もいただいておりますので、自治会へのアンケートの実施や他の団体が対象としている項目とその実施方法などの調査を行い、附帯設備使用料の県徴収制度が効果的に運用でき、自治会役員の一層の負担軽減となるよう、しっかりと対象項目の研究を進めてまいりたいと考えております。

 

 

 

 

 

(質問)筒井タカヤ議員

 

 

自治会は住宅の維持管理以外にも、駐車場の管理を県から委託を受けて行っています。

 

 

元々、県営住宅には入居者用の駐車場はありませんでした。

 

 

昭和40年代、昭和50年代のモータリゼーションの進展によって、自家用車を持つ入居者も増えてきました。

 

 

このため、不法駐車で周辺住民に迷惑を掛けないよう、県営住宅でも駐車場が必要になり、自治会が県営住宅の空きスペースに白線で区画して駐車場を整備し、併せて、不足する分は近隣の民地を借りて、自治会が入居者から駐車場料金を徴収して、管理、運営してきたわけです。

 

 

 

しかし、長年、自治会が管理し続けると、多額のお金が自治会内で留保されるようになり、自治会内のトラブルや不祥事が発生した住宅もありました。

 

 

私は、こうしたことを防ぐためには、県営住宅の駐車場は県が管理すべきであると主張してきました。

 

 

 

駐車場は、平成8年の公営住宅法の改正によって、ようやく公営住宅の共同施設として位置づけられ、県営住宅でも駐車場を共同施設として、県が整備して有料で入居者に貸付けることが可能となりました。

 

 

平成11年度以降に建替えた県営住宅は、建替に合わせて駐車場を整備し、既設の県営住宅は、自治会との合意が得られた住宅から順次、県が有料駐車場として整備してきました。

 

 

そこでまず、現在の県が行った県営住宅の駐車場の整備状況はどうか。

 

 

 

答弁を求めます。

 

 

 

 

 

【県営住宅管理室 答弁】

 

 

本年81日現在、駐車場の整備状況は、建替によって整備したものと、自治会との合意により既設住宅の敷地内に整備したものを合わせて、295住宅のうち、250住宅で整備を行い、40,014台が県の管理する駐車場となっております。

 

 

 

 

 

(質問)筒井タカヤ議員

 

 

県営住宅の駐車場は、県管理に随時移行しているわけですが、県が駐車場料金を徴収すれば、自治会は多額のお金を扱わなくて済み、役員の不正など、お金に絡む自治会内の不要なトラブルを防ぐことができて、駐車場の管理、運営からも解放されることになるのです。

 

 

しかし、県は、県営住宅の周辺の駐車場と同じような駐車場料金を取っておきながら、管理は1区画あたり月額313円と安い委託料で自治会に丸投げし、何の管理もやっていないのです。

 

 

県営住宅の管理を代行している愛知県住宅供給公社も駐車場の管理をしていないから、誰がどこに駐車しているかの実態を把握せず、トラブルが起きれば、「それは自治会に言ってください」と、自治会の役員に押し付けて、無責任な対応を取っているんです。

 

 

自治会へは駐車場管理の何を委託しているのですか。

 

 

県や愛知県住宅供給公社は何をやっているのか。

 

 

 

答弁を求めます。

 

 

 

 

 

【県営住宅管理室 答弁】

 

 

県が整備した駐車場は、県営住宅の共同施設として県営住宅の管理を代行する愛知県住宅供給公社が管理を行っておりますが、自治会は、県管理に移行する前において、駐車場を管理しており、自治会の協力を得ることできめの細かい対応が期待できることから、駐車場の巡回や清掃、迷惑駐車の確認など秩序保持や環境美化に関する業務の一部を自治会に委託しております。

 

 

具体的には、月1回以上の夜間巡回、駐車場清掃、巡回による施設点検及び不正使用の確認などの業務を委託しており、駐車場の使用方法についての指導や不正使用に対する警告なども含まれております。

 

 

一方、愛知県住宅供給公社は、駐車場の使用契約、各種証明書の交付、使用料の徴収及び滞納者への指導等を行っているほか、自治会からの報告や公社職員の巡視で把握した損傷箇所の補修、区画線の引き直しなどの改修を行っております。

 

 

また、自治会の指導等に従わない悪質な使用者に対しては、公社の職員が直接指導を行い、不正使用対策として車止め柵を設置するなど、自治会と連携して県営住宅の駐車場の適正な管理に努めております。

 

 

 

 

 

(質問)筒井タカヤ議員

 

 

 県営住宅の入居者の高齢化はどんどん進んでいるのです。自治会の役員も高齢者ばかりです。自治会が機能しなくなっているのです。

それなのに、住宅の維持管理や駐車場の管理を自治会にすべて任せていることは時代錯誤が甚だしいんです。

 

 

何度も言いますが、高齢者ばかりが入居する県営住宅の自治会が、住宅の維持管理をすることは、もう無理なんです。

 

 

自治会に住宅の維持管理や駐車場の管理を任せるのではなく、県が住宅ごとに管理を担当する業者を決めて、維持管理すべき時代になっているのです。

 

 

例えば、駐車場であれば、入居者から徴収する駐車場料金で民間の駐車場管理会社などに外部委託し、自治会の負担を軽減するべきなんです。答弁を求めます。

 

 

 

 

 

【県営住宅管理室 答弁】

 

 

県営住宅の入居者の高齢化が進んでおり、入居者で組織する自治会による従来の住宅の維持管理手法が、以前に比べて機能しなくなってきている住宅もあることは承知しております。

 

 

このことから、自治会役員の負担軽減のため、附帯設備使用料の県徴収制度を令和2年度より開始したところでございます。

制度開始から5年を迎え、現在、3分の1の住宅で附帯設備使用料の県徴収を実施しておりますので、引き続きより多くの県営住宅で県徴収に移行していただけるよう努めてまいります。

 

 

また、附帯設備使用料の県徴収に関しましては、自治会から徴収項目の拡大など様々な御意見をいただいておりますので、排水管清掃などを徴収項目とすることが出来るか、その可能性について、研究し、検討してまいりたいと思います。

 

 

駐車場の管理につきましても、すべての県営住宅で駐車場の整備を終えておらず、未だ途上にありますので、まずは駐車場の整備を進めてまいりたいと考えております。

 

 

加えて、県営住宅の駐車場のより適正な管理に向けて、他の都道府県などの事例を調査し、駐車場管理の外部委託のメリット、デメリットについて、愛知県住宅供給公社と共に研究してまいりたいと思います。

 

 

 

 

 

(質問)筒井タカヤ議員

 

 

県営住宅は、時代、時代によって求められる役割やあり方が変わってきたわけです。そして、時代に合ったやり方が求められているんです。

 

 

戦後の住宅難から始まり、高度成長期の住宅不足、そして現在は、高齢者など住宅を確保するのが難しい方に向けた住宅、言い換えれば高齢者向け住宅になっているのです。

 

 

去る915日に総務省が公表した人口推計によると、65歳以上の高齢者は、前年比2万人増の3,625万人と過去最多を更新し、総人口に占める割合も過去最高の29.3%となり、日本の3割の方が高齢者になっているんです。

 

 

高齢化は急速な勢いで進んで、県営住宅は、子供、若者、老人、様々な世代が住んでいた時代から高齢者が多く住む住宅に変わっています。

 

 

県営住宅の間取りや仕様も時代によって変わってきたと思います。

 

 

昭和50年代前半に建設された高針住宅は、50平米程度の3DKを中心に建てられています。

 

 

そして、室内は3部屋すべてが和室か、2部屋が和室の作りとなっています。

 

 

そこで伺います。今、建てている県営住宅に和室はありますか。

 

 

 

 

 

【公営住宅課 答弁】

 

 

県営住宅を整備するにあたり、本県では、建築標準図を定めており、台所食事室に隣接する一室を和室にすることとし、従来は、この標準図に基づき設計を行い、和室を整備しておりました。

 

 

一方、現在は、県営住宅の建替事業の多くを民間事業者のノウハウの活用などを図るためPFI方式により実施しており、和室とするか洋室にするかについても民間事業者からの提案によることとしております。

 

 

この結果、PFI方式による場合は、住戸の間取りに和室を設けていない提案がほとんどとなっております。

 

 

 

 

 

(質問)筒井タカヤ議員

 

 

現在建設されている県営住宅は、高針住宅が建てられた時代とは違い、室内の段差が少ないなど、見た目はバリアフリーになっていますが、県営住宅には和室があり、畳に布団を敷いたり、押し入れに布団を片付けたりすることは、高齢者にとっては大変なことであることを県は認識していますか。

 

 

高齢者は畳敷の和室が好きであると勝手に決めつけているんではないですか。

 

 

フローリングであれば、そこにベッドを置けば、ソファー代わりにも使えるし、高齢者にとっては、床に布団を敷いて寝るより、ベッドに腰掛け、横になる方がずっと楽なんです。

 

 

設備のバリアフリーに加えて、「生活環境のバリアフリー」も考えるべきなんです。

 

 

和室がなくなれば、退去するときの畳替えや襖の張り替えもいらなくなり、入居者にとっては金銭面の負担も少なくて済むのです。

 

 

今も県営住宅では和室を作っているが、何故和室が必要なんですか。

 

 

 

答弁を求めます。

 

 

 

 

 

【公営住宅課 答弁】

 

 

和室に用いられる畳には、クッション性や断熱性、吸音性に優れているという長所があり、また、和室には居間としても寝室としても利用できる使い勝手の良さがあるとされています。

 

 

本県が、新たに建設された住宅の入居者91名に行ったアンケートにおいて、和室が欲しいか否かをお伺いしておりますが、その結果は、和室が欲しいとの回答と和室はいらないとの回答が同じ割合の約39%、どちらでもよいが約22%で、その内70歳以上では和室が欲しいが約44% 和室がいらないが約33% どちらでもよいが約23%でした。

 

 

この結果によると現在の生活において、和室が不要であるとは一概には言えないと考えられます。

 

 

いずれにいたしましても入居者にとって、安全・安心で暮らしやすい住まい方ができるよう、県営住宅における居住環境の整備に努めてまいります。

 

 

 

 

 

(質問)筒井タカヤ議員

 

 

今回は、県営住宅では(いま)だ和室が作られていることについて取り上げましたが、このほかにも時代に合っていない仕様になっていないか、今後も県営住宅の整備の考え方を順次取り上げていきたいと思っています。

 

 

今の県営住宅は、建設から相当年数が経過して老朽化が激しくなってきたにも関わらず、財政難を理由にして、外壁の改修や塗装など、やるべき修繕を行わず放置し、エレベーターや電気・給排水などの設備が更新してこなかったから、そのツケが一気に回ってきたのです。

 

 

住宅内の設備も本当に時代遅れで、民間賃貸住宅の水準からすると、不便極まりない住宅が多くあります。

 

 

そして、建物などのハード面だけではなく、高齢化で担い手がなくなりつつあり、崩壊の危機にある自治会に、住宅の管理を任せている時代遅れの方法を(いま)だに続けているのです。

 

 

最近は、民間の賃貸住宅にも住宅セーフティネットの役割を求められる時代にはなってきましたが、本当に民間住宅が、県営住宅と同様な役割を果たしていけるのか、私は疑問に思いますし、今後も、県営住宅は住宅セーフティネットの中心として、しっかりと役割を果たしていかなければならないと強く思っています。

 

 

県は、県営住宅の入居者が置かれている状況、生活実態をしっかり把握し、時代の流れに的確に対応していかなければならないのです。

 

 

今委員会での質問は以上とさせていただきますが、これまでの議論を踏まえ、最後に、建築局長に総括してお答えいただきたい。

 

 

 

 

 

 

【局長】

 

 

 今回は、県営住宅の長寿命化計画、長寿命化改善工事、また、入居者の高齢化に伴う共益費、駐車場、住宅の仕様についてご質問をいただきました。

 

 

 これらの課題につきましては、県営住宅の整備や管理において、大変重要であると考えており、担当課室からお答えしましたとおり、課題解決に向けて着実に進めてまいります。

 

 

また、県営住宅が県民の住宅セーフティネットであると同時に、そこでの住まい方について、時代の流れとともに変化していると認識しており、その変化を的確に捉え、安心できる住まいとなるよう職員が一丸となって取り組んでまいります。

 

 

 

 

 

(質問)筒井タカヤ議員

 

 

県は、県営住宅の大家であり、建物もエレベーターや排水管などの設備も大家である県の財産なんです。

 

 

その財産の管理を入居者に任せることは、もう時代に合っていないのです。

 

 

建築局長からも、県営住宅は時代の流れと共に変化していると認識しているとの答弁がありましたが、まさしく時代の流れと共に変化しているんです。

 

 

建築局長の決意が建築局全体に行き渡り、局を挙げて時代に合った県営住宅の整備や管理に向けた取組を進めていただくことを熱望します。