平成23年11月議会 健康福祉員会議事録

平成23年12月7日 第1委員会室

【筒井委員】 

先日、私が患者の見舞いのため、がんセンターを訪問した際、大変静かであった。静かな工法で工事をしていると思っていたが、工事が10月からストップしていたということだった。大変重要なことなのでお聞きする。資料に、11月22日の第2回目の協議の概要が記載され、旧病棟撤去工事を受注した際の契約書の設計書の内容が記載されている。

 

当時は建築部が所管していたと思うが、この時の契約としては、杭を残す形で撤去工事を行っていたのか。設計事務所が悪いとか、大手で工事をずっと請け負ってきた竹中工務店が悪いという議論にはなるが、時間経過しており、関係者それぞれ状況がわからない中で、ポイントはどういう契約だったのかということである。県も合意して旧病棟の基礎を残したまま埋めてよいとしたのならば、県にも相当な責任があると思うし、問題のとらえ所が違ってくると思う。この点ははっきりしているのか。

 

 

【病院事業庁長】

平成6年当時の担当職員及び書類について徹底的に調べた。業者にも当時の状況を聞いた。県としては、仕様書は「撤去工事一式」というだけで詳細は何も残っていない。さきほどの設計図で「撤去工事一式」というのが、何を意味するのかを竹中工務店にも聞いた。私は「一式」といえば、全部とることではないかと思ったが、竹中工務店はそうとは限らないとの返事であった。

 

担当者も「当時は仕様書にはそんな細かいことまでは書かない」との返事であった。竹中工務店は、「当時の担当者はいない。設計図が残っていない」と証拠物件はないということであった。自分のところでやった工事でありながら、そういう認識であり、これが実態である。

 

 

【筒井委員】

撤去しないと工事は進まない。撤去するとなると費用がかかる。費用の負担をどうするかが決まらないと工事ができない。5か月くらい遅れていて、見通しがないというのが現状か。患者の立場からすると、早く作ってほしいということである。県は、誰が所管し、相手と交渉するのか。

 

 

【病院事業庁長】

私もそれなりの知識があるので、私が先頭に立って全部調整している。弁護士との対応も私が行っている。

 

 

【筒井委員】

意気込みはわかるが、庁長はさまざまな仕事を抱えており、専門的な部署に任せないと無理ではないか。

 

 

【病院事業庁長】

このような事態への対応を知っているのは誰もいないので、私がやるしかない。私にはそれなりの経験がある。

 

 

【筒井委員】

基礎の状況とか撤去工事のことについては、責任があるとすれば、病院事業庁でなく、建築部であることをきちんとしておく必要がある。

 

 

【病院事業庁長】

平成6年当時に埋設物の下半分を全部撤去するのか残すのかという判断をだれがやったのか建設部に聞いたが、「主査か主任主査ぐらいでしょうか」とのことだった。これが当時の実態ではないかと思う。約1億円もかかる工事で、税金で行う工事であるので、簡単には済ますわけにはいかない。工事は延びるかもしれないが、うやむやにはしたくない。

 

 

【筒井委員】

これから、いろいろなことが出てくると思うが、相当な覚悟をもって相手に付け込まれないようにお願いしたい。設計事務所は委託料の1割を返還したいと言っているそうであるが、これが責任かという議論になる。建築業者は当時の資料がないというが、昭和39年から工事を請け負っており、簡単には責任を逃れられないと思う。

 

 

【病院事業庁長】

平成6年といえは、それほど古い話ではないが、仕様書の詳細がないという時代である。それを理解していただきたい。

 

 

【筒井委員】

この議会で、コロニーについては代表でも一般でも質疑があったが、城山病院の話は一切なかった。本来ならば12月には予算計上されるべきものである。2月の段階の答えによっては、強い態度で知事を刑事告発することもありうると9月議会で訴えたとおりであり、この信念は変わっていない。

9月議会において、城山の改築計画が止まっていることについて、健康担当局長は「関係者の意見を十分に聞いて適切に対応していきたい」という答弁をしたが全く納得していない。

 

加藤局長は、前の実施計画に至るまで一生懸命取り組んでいた。知事が変わらなければ6月議会で承認されていたはずである。それを、いまさらなぜ関係者の意見を十分に聞いて対応していくということになるのか。城山の計画はじっくりと時間をかけてつくられたものであった。民間の医療団体からは、2年の間、何も意見が出ていない。県の提案に納得していたから黙っていたのではないのか。私は長くこの委員会を所管してきて、自分自身やこの委員会が否定されたような思いを抱いている。

 

なぜ、実施設計費が11月議会に補正案件として計上されていないのか。凍結となったのか、審議をする時間が必要なのか、教えてほしい。

 

 

【経営課長】

城山病院の改築については、その機能や整備の内容、本県の精神科医療での位置付けなどについて、これまでも関係者の意見を伺いながら検討を進めてきたところであるが、こうした中で今回、実施設計を行うに当たり、改めて関係者の方々から意見を頂いたところ、精神科救急医療体制や城山病院の果たすべき役割などについて様々な意見が示された。

 

このため、これまでの検討を踏まえた上で、本県の精神科医療において官民の役割分担の観点から県立病院としての城山病院が果たすべき役割を精査することとした。こうした検討の中で、県の行革の重点改革項目のひとつに「県立病院のあり方の検討」が掲げられ、先月には公開ヒアリングの8項目のうちの1つとして選出され、実施されたところである。

 

具体的には、まずは、喫緊の課題である県下の精神科救急の中で、城山病院の果たすべき役割を十分に検討し、明確にする必要があると考えている。また、同時に、精神科救急以外の城山病院の機能について、民間医療機関との役割分担の観点から、どのような機能を持たせるのかも検討していく必要もあると考えている。公開ヒアリングでは、改革の方向性は是とされ、スピード感を持って取り組むこととの意見であった。

 

こうした手続きを経ていたため、11月議会において、実施設計の予算の計上ができなかったものである。

 

 

【筒井委員】

実施設計の予算計上の段階で出てきた「様々な意見」とは何か。これまで様々な意見などなかった。様々な意見が急に出るようなっただけである。その意見を出してきたのは、民間の医療団体である。いままで黙っていたのに急に発言するようになった。

 

知事は12月までにやると言っていたのに、今まで何をやっていたのか。精神救急の話が強調された。確かに課題がないわけではないと思う。しかし、なぜこの期に及んで急にそれだけが問題になったのか納得できない。現在の城山病院は、救急対応できる施設ではない。救急対応をやってほしいと言われて、それをやると言ったら患者をとられて困ると言っている。

 

それが本音ではないか。精神科救急だけと理解していいのか、ベッド数を減らせとも言っている。城山は当初392床あったが、時代の要請から342床にした。今回いろいろ話し合って303床にした。どんどん減らしている。もう一度減らすのか。

 

 

【病院事業次長】

今後の城山病院の改築に向けて取り組む課題として、まずは、精神科救急における城山病院の役割について今後検討していくということである。それ以外に城山病院が公的病院として担っている様々な役割についても、精神科救急の検討と同時に民間からも意見をいただいているので、必要があれば検討していきたい。

 

 

【筒井委員】

ベッドの数だけ減らせばいいのか、そうではなくエスカレートしている。我々が一生懸命作った基本計画の4つの柱をがりがりかじっている。そこも含めて検討ということなら、我々が決めた基本の構想までストップするということになる。そんなことが許されるのか。

 

なぜ、こんな検討会になるのか。4つの柱は侵してはいけない。単なる改築ではないことをうたったはずである。これを後退することのないようにすると明言してもらいたい。

 

 

【健康担当局長】

3月まで自分も病院事業次長として関わってきた。4月から健康担当局長に職を移し、精神科医療のあり方を違う立場から見ている。城山は、まずは救急が必要である。19年の地方精神審議会の意見として民間の夜間救急の体制が疲弊しつつあるので、県立病院でしっかり精神科救急をやってほしいという意見が出た。当時の神野委員長が審議会の委員として参加され、それを踏まえて本会議で質問された。よって、城山は救急をしっかりやらないと民間病院との関係が成り立たないと考えて進めてきたが、こちら側へ来て精神科救急の実態についていろいろなデータをみたところ、夜間の3床のバックアップを1年間で159日断っている。3月まではそんなに多いとは思いもかけなかった。

 

精神科救急の情報センターについて、精神科病院協会が医師会の依頼を受けて立ち上げ、民間主導でやられてきた。これを県が医療行政の中で補助金を出して対応してきた。この実態を踏まえた上で、城山病院がどう関わっていくか、患者を城山と民間とでどういうふうに振り分けるか、こういう課題もある。情報センターの委託事業を見直ししていく必要がある。これは大学の精神科の教授からも指摘をいただいている。意思疎通を図り、民間と県で精神科救急をしっかり担っていくことが肝要であると考え、9月議会で救急についてしっかり検討していきたいと申し上げた。

 

愛知県の精神科救急をどうするかという議論を始めたいと思っている。その中で、城山病院がそれに関わって、改築するのであればどこまでの機能を運用できるかという議論を進めていきたい。

 

 

【筒井委員】

城山病院で音楽療法などいろいろやっているのを見学してきた。民間の病院も見た。民間の精神科病院は休日や夜間はやらない。城山もやらない。城山がそれをやれるようにしようとしたら反対するという点が納得いかない。精神科救急医療システム検討会ではどんなことを検討するのか。検討会は城山の改築とどのように関わっていくのか。

 

 

 

【こころの健康推進室長】

本県の精神科救急医療に関しては、城山が老朽化を理由に後方支援の役割を十分に果たしていないことが課題として指摘されてきたが、改めて本県の精神科救急医療体制の運用上の課題を洗い出して、今後のあり方を検討する場を設けようとするものである。本県の精神科救急医療は民間病院中心で対応しているが、夜間の医師の確保の課題がある。

 

今後も城山の後方支援は欠かすことができないと考えている。検討会では、城山の後方支援を前提に、民間と城山が車の両輪となって円滑に救急を行っていくための検討をするとともに、精神科救急情報の収集と伝達についても課題の整理と対策について検討していきたい。

 

 

【筒井委員】

話の内容は理解できるが、この話は2年間ずっとしてきている。改めて検討する必要があるのか。彼等の目的は、城山病院の病床を減らしてほしい、救急は、日曜祝日夜間は城山病院にやってもらうが、他の救急患者まで奪うなという考えである。そんな程度の低い話はだめである。単なる改築ではない。4本の柱は絶対に守っていく。本来なら実施設計をしているはずであった。11月に実施設計を計上しないということは、改築が1年遅れることになるが、本当に1年だけなのか。

 

以前、コロニーの改築計画も基本設計までいきながら、全てだめにしてしまった。城山病院が救急だけでなく、根幹に関わる4つの柱まで削らなければ、凍結するということにならないか。それを危惧している。遅れるといっているが、私は凍結であると思う。不当な医療団体の圧力に屈してはならない。コロニーの二の舞にならないことを願う。現状の劣悪な状態が1年間放置されると、医師は意欲をなくして去っていく。前の委員会でも言ったが、看護師や医師がいなくなれば病院は潰れてしまう。こんなことがないように強く要望する。病院事業庁長から発言はないか。

 

 

【病院事業庁長】

早く進めたい一心である。

 

 

【筒井委員】

春日井市にある心身障害者コロニーは、心身の発達に障害のある方に対して、中央病院を中心として、医療、療育、教育等を行うなど、障害の程度やライフステージに応じた支援を行う総合施設として、障害者福祉の中心的役割を果たしてきた。知事は、心身障害者コロニー、特に「医療支援部門」を発達障害を含めた県内の障害者医療の拠点として、地域医療再生計画に位置付け、障害のある方たちの地域生活を支援するために再編整備し、平成25年度中の着工を目指して取り組んで行きたいと、コロニーの再編整備について本当の意味での、初めて表明があった。

 

私も、障害福祉の関係者も県民もこれを信じて期待している。コロニーにおける医療については、医師の確保、既に名古屋大学の三浦教授を始めもう対応していると聞いているが、大変難しい問題を抱えている状況もあるので、しっかりとした取組が必要である。そこで、次の3点について伺う。始めに、コロニーの改築整備は、平成5年に改築に向けた基本構想を策定し、平成9年度には基本設計をしたにも関わらず凍結され、平成19年3月に再び、新たな計画として「愛知県心身障害者コロニー再編計画」が策定された。

 

このような経緯から、コロニーの改築整備は、本県の障害者福祉にとって長年の課題となっていたものである。再編計画が策定されて5年以上経過したこの時点で、ようやく、平成25年度中の着工を目指すことを表明することになったのは、突然で私も戸惑っている。この間どのような経緯があったのか。

 

 

【障害福祉課主幹(地域移行・コロニー)】

平成19年3月に策定した「愛知県心身障害者コロニー再編計画」は、平成18年度から27年度までの10年間を計画期間としている。これまで、知的障害者施設などの施設入所者の地域生活移行の取り組みなどを進めてきた。しかし、一方で、地域医療を取り巻く環境変化による医師不足などもあり、再編計画による「医療支援部門」の機能を再検討する必要が生じた。

 

このため、平成22年5月から7月にかけて、コロニー及び県内の医学部のある4大学における障害児者の医療に関わる医療関係者と、今後の「医療支援部門」の目指すべき方向性を検討し、将来的なビジョンを取りまとめたところである。こうしたビジョンがまとまったことが一つの経緯である。また、厳しい財政状況のなかで、どのように建設資金を捻出するのかも課題としてあったが、国の平成22年度補正予算において、都道府県単位の医療供給体制を対象とする、地域医療再生基金に係る交付金の拡充が盛り込まれた。

 

そこで、検討した「医療支援部門」の将来的ビジョンを、「地域医療連携のための有識者会議」などでご意見をお聞きしながら、地域医療再生計画における「小児・周産期医療体制の構築」の一つとして位置づけ、この再生計画を本年6月に国へ提出した。その後の国の審査を経て、本年11月にコロニーの整備分として36億75百万円の交付金を充当することとし、この交付金を活用したコロニーの再編整備を進めていくことといたしたものである。地域医療再生計画の計画期間が、平成25年度までとされているので、この期間内の着工を目指して取り組んでいく。

 

 

【筒井委員】

次に、一般質問とも重複するが、確認の意味を含め、地域医療再生計画における、あいち小児センターとコロニーとの役割分担や、小児・周産期医療の分野でのコロニーの担うべき具体的な役割は何か。

 

 

【障害福祉課主幹(地域移行・コロニー)】 

今回の地域医療再生計画において、小児医療に関しては、あいち小児保健医療総合センターは小児救急医療の拠点として、心身障害者コロニーは発達障害を含む障害児医療の拠点として役割分担し、機能再編していく。コロニーの新たな「医療支援部門」の役割としては、県内の発達障害医療の拠点機能と、小児・周産期医療の後方支援を担う機能がある。

 

まず、発達障害医療については、現在、知的障害を伴う患者はコロニーで、知的障害を伴わない患者はあいち小児センターで、診断と治療を行っているが、それを一元化し、新たな「医療支援部門」を発達障害を含む障害者医療の拠点としていく。次に、小児・周産期医療では、県内のNICUにおける長期入院患者をコロニーで整備する在宅支援病床で受け入れ、NICUの後方支援を行うことにより、県全体の周産期医療システムの円滑な運営に貢献していこうとするものである。

 

コロニーがこれまで、在宅支援事業で蓄積したノウハウを生かして、在宅支援病床から在宅生活へ円滑に移行していくための支援を行う。また、在宅支援病床から在宅生活へ移行した患者に対しては、在宅からの一時的な入院である「レスパイト入院」を保障し、家族の負担を軽減することにより、安定した在宅生活を支援していく。これらの発達障害者の医療体制を確立するため、コロニーを中心とした医療ネットワークを構築し、発達障害者の早期診断・治療及び、障害者が地域で安心して医療を受けられる体制の構築を図っていく。

 

 

【筒井委員】

昨年の2月議会でも、私がこの委員会でも質問したこともあったが、これまでも、脳神経外科などの必要な医師の確保ができず、計画変更を余儀なくされた経緯を忘れてはならないと思う。必要な医師の確保をしっかりやっていく必要がある。そこで、最後に、障害者医療に携わる医師の養成と確保のため、名古屋大学に設置した「障害児()医療学寄附講座」の内容と役割はどのようなものか。

 

 

【障害福祉課長】

ただいま主幹から、コロニーを中心とした医療ネットワークの構築を図っていくとお答えした。しかしながら、障害者、特に発達障害を熟知し適切に対応できる医師が不足しているため、障害者への対応は必ずしも十分とはいえないが現状である。このため、今回の地域医療再生基金を活用して、本年11月1日から、名古屋大学に、「障害児()医療学にかかる寄附講座」を設置し、障害者医療を担うことができる医師の養成を進めることにしたところである。

 

障害者の医療には、様々な診療科が関係してくることから、この寄附講座には、小児科、精神科、整形外科など関係する複数の診療科の専門医が担当教員として参加している。具体的には、医師を目指す医学部の在学生に対して、障害者医療に関する講義を行い、障害者医療に対する理解を深めてもらうとともに、卒業後の医師に対しても研修等を実施し、これら教育、研修の実習の場としてコロニー中央病院や重症心身障害児施設「こばと学園」等を活用することとしている。

 

また、名古屋大学の他、名古屋市立大学など他の県内3大学とも連携した合同研修なども進める予定である。大学の担当教員や関係診療科医師、コロニー、障害福祉課とで構成する「寄附講座に関する連絡会議」を設置しており、関係者間の連絡を密にしながら、寄附講座による医師養成やコロニーに新たに設置する研修センターなどを通じ、医療ネットワークの構築や、コロニーで必要な医師の確保を図っていくこととしている。

 

 

【筒井タカヤ委員】

コロニーは再編整備においても、障害者福祉において重要な役割を担っていく必要があるので、現場の医療従事者の士気が高まるような、再編、整備となるよう、特に、医師の確保を含め、平成25年度の着工に向けて、しっかり取り組んでいただくよう強く要望して終わる。

 

 

【筒井委員】

前回の9月議会の健康福祉委員会で、がんの治療体験者が、がんの正しい知識を身につけて自身の経験を生かして、がん患者さんの悩みを傾聴し、その悩みを和らげていくという「ピアサポート活動」に対する支援、「ピアサポーター」の養成について質問をした。

 

現在は県がんセンター中央病院のほか7つの拠点病院で実施されており、今後ともこの活動が他の拠点病院にも拡大されるよう、がん診療連携協議会を通じ、ピアサポート活動の受入と協働について強く働きかけていくと答弁をいただいた。

 

そこで尋ねるが、県のがんセンター中央病院では今年の4月からこのピアサポート活動を実施していると聞いたが、実施状況はどのような状況なのか、また、患者さんやその家族に対するピアサポート活動のPRをどのようにされているのか。

 

 

【管理課長】

ピアサポート活動の実施状況であるが、中央病院では、今年の4月11日から始めて、現在は週1回の午前の時間に実施しており、毎回NPO法人の各がん種のピアサポーター6〜8名の方がチームを組み活動している。利用状況ですが、4月が62名、5月が104名、6月が96名と11月末現在で延567名の方が利用しており、最近はリピーターの方も増えていると聞いている。

 

次にピアサポート活動のPRですが、より多くの方に利用していただくため、相談支援室や外来掲示板、全ての病棟の掲示板にリーフレットを掲示するとともに、アトリウムに見える患者さんや家族の方に声掛けをするなどして活動の案内をしている。また、来年1月発行予定の院内誌「がんセンターNEWS」にピアサポート活動を掲載し、連携医療機関などに送付するなどしてPRに努めていきたい。また、がんセンターのホームページでピアサポート活動を紹介していきたい。

 

 

【筒井委員】

ピアサポート活動のPRについては、今後とも更なる積極的な協力をお願いしたい。利用状況を聞いたが、現在は、週1回の午前中のみの実施で、月に約50名から100名の方が利用されており、リピーターの方も増加しているとのことだが、今後のピアサポート活動の実施についてどのように考えているのか。

 

 

【管理課長】

このピアサポート活動は、がん患者さんとその家族の方々が、がんをより良く理解し、少しでも前向きな気持ちでがんと向きあえる大きな支援になると考えている。

今後のピアサポート活動に対する考えですが、今年の4月からの実施であり、まだ、8か月が経過したところである。サポーターの皆さんなどから週末にも活動を行いたいという話や、新たにがんと診断された方にピアサポートをしてほしいとのご要望もあることから、今後は院内で、ピアサポート活動の評価検証を行い、不備な点を改善し、ピアサポート活動を充実させていきたい。

 

 

【筒井委員】

がんセンター中央病院では、15年度に、原則として全ての患者さんの診察を予約制にし、患者さんの待ち時間の短縮に取り組んでいる。しかしながら、患者さんの状況を見ていると、医師によっては、予定の診察時間で患者さんの診察が終了せずに遅れが生じて、後の診察時間の患者さんが予約をした時間に合わせて病院に行っても、予約時間に診察ができないことがある。

 

診察の内容のこともあり、また、医師が一生懸命、丁寧に、患者さんのために診察をしていることから診察に遅れが発生していることであれば、やむを得ない面もあると思う。しかし、そういった遅れが発生すると、待つ側となる患者さんは、いつ自分の番が来るのかはっきりせず、呼ばれるまで待合いでじっと待つことに相当イライラしているのではないかと思う。体力的に弱っている患者さんであるだけに心配である。

 

そこで伺うが、診療科によって異なるとは思うが、予約時間からの待ち時間は現在どのようになっているのか。

 

 

【管理課長】

中央病院での患者さんの診療までの待ち時間の最近の状況ですが、患者さんに案内した予約時間から実際の診療開始までの待ち時間の平均は39分でした。また、診療科別にみると、平均して長い診療科で51分、短い診療科で21分です。予約時間を守るのも医師の務めであるので、予約時間に正確に診察を行うよう、現場ともよく調整していきたい。

 

 

【筒井委員】

実際には、それ以上に待ち時間がある診療科もあるようである。もうすぐ診察の順番がきますよと、連絡が入るようなシステムがあれば、病院内を患者さんが自由に動くことができ、順番待ちのイライラも和らぐのではないかと思う。調べたところ、私どもが数年前に委員会で視察に行った、国立成育医療研究センターでは、受付した患者さんに呼出受信機を渡して院内で待ってもらい、診察時間が近づくと連絡が入るシステムを導入していた。中央病院では、患者さんの診察までの待ち時間について、どのような取組をしているのか。

 

 

【管理課長】

患者さんの待ち時間が長くなった場合には、待合いでじっと待つことができなくなることも考えられるので、待合から離れる場合には、診療科受付窓口に申し出していただければ、患者さんの携帯電話番号を聞いて、その携帯電話へ案内をしている。以前は、院内でポケットベルを渡し、診察の案内をしていたが、ポケットベルが老朽化するとともに、ポケットベルの製造が中止されたことから、このポケットベルに替えて携帯電話へ案内をしている。

 

また、22年2月以降に、患者呼出案内のディスプレー20台を患者待合いに設置し、その時に診療を受けている患者さんの番号と予約時間を表示し、予定時間からの遅れの状況が分かるようにしている。診療科受付窓口には、医師の診察の遅れの状況を書いた案内を掲示し、診療時間がいつ頃になるかが分かるようにしている。この結果、待ち時間についての患者さんの苦情はかなり減少してきたと聞いている。

 

一方、診療待ちの時間を有効に活用していただく試みとして、昨年から、外来3階エスカレータ前にがん医療についての書籍を置き、ご覧いただけるようにしているほか、本年6月から、火曜、木曜の午前中、診療待ちの時間を活用した専門看護師による患者相談を実施している。

今後とも、こうした試みを充実させ、患者さんの待ち時間の対応について取り組んでいきたい。

 

 

【筒井委員】

6、7年前から要望してきたことが、改善されてきており良かったと思うが、病院では携帯電話の電源を切るというのが、一般的だと思う。みんな電源を切っている。がんセンターでは、携帯電話が使用できる場所についての張り紙がしてあった。一方、他の病院では、携帯電話は使用禁止とされている。患者や家族からは、本当にがんセンターでは携帯電話を使用しても良いのかと思ってしまう。この病院のここの場所では携帯電話を使用しても大丈夫だということをわかりやすく表示してほしい。愛知病院はどうなっているのか。

 

 

【病院事業次長】

がんセンター中央病院の場合、院内のアトリウムや各階のロビーなどで携帯電話は使用できる旨の掲示をしている。もう少し見やすくすることについては今一度、検討する。愛知病院の状況については、承知していないので、後日、報告させていただく。

 

 

【筒井委員】

良いことは対応してもらえると信じている。民間の病院もあるため、どこの病院でも携帯電話が使用できると誤解されないように、この病院では、携帯電話が使用できるということを誰もが理解できる内容で表示してほしい。

 

 

【筒井委員】

読売新聞に、抗がん剤の使用による脱毛の予防についての記事が載っていた。イギリス製の機械を使って頭を冷やすと脱毛が防げるというものである。病院事業庁長に聞いたところ、以前はがんセンターでも行っていたとのことだった。カツラがあるし、髪はまた生えるとのことであるが、女性の脱毛に対する恐れについて、医者も、医療従事者も少し配慮が足らないのではないかと思った。患者への優しさがあってもよいのではないかと思う。現在、がんセンター中央病院で脱毛予防の治療を行っていないのはなぜか。

 

 

【管理課長】

脱毛を予防するために頭部を冷やす方法については、がんセンター中央病院で20年度程前、一部の診療科で実施していたと聞いている。当時の方法は、抗がん剤治療の際、頭髪部の抗がん剤を含んだ血液の流れを悪くする方法で、患者さんに氷で冷やしたキャップを被ってもらうというものであったが、頭が非常に冷えすぎて苦痛を感じ、患者さんがこの治療に耐えられない状況があった。

 

また、頭髪の脱毛予防について、使用する抗がん剤の種類によって効果があいまいであること、患者さんによる個人差なのか、効果について科学的評価が定まらなかったので、現在は実施していない。

 

 

【筒井委員】

このような新聞記事を見ると、このような治療をやったほうがよいのではないかという議論になるが、効果がはっきりしないということであるようだ。ただ、がんセンター中央病院は愛知県の都道府県がん診療連携拠点病院であり、県民に最新・最先端のがん医療を提供していくことが大切であり、がんにより心身ともに苦痛に苦しんでいる患者さんに対し、優しい病院であってもらいたい。

がんセンター中央病院では、今後、抗がん剤の副作用による脱毛を予防する治療を検討する考えがあるのか問う。

 

 

【管理課長】

読売新聞に掲載された、国立がん研究センター中央病院の試みは、効果を証明するための臨床試験の段階のものである。臨床試験の結果、効果が証明された場合には、がんセンター中央病院での実施についての検討をしていきたい。

 

 

【筒井委員】

本年10月の3日から5日まで、名古屋市において第70回癌学会学術総会が開催された。

この学会の開催については、県がんセンター研究所の田島所長が学術会長として、企画段階から本番の運営まで担い活躍されたと聞いている。

 

がんは昭和56年以降、日本人の死因の第1位となっている。3人に1人が、がんが原因で亡くなっており、この課題に取り組むため、国では3次にわたる「がん10か年総合戦略」に基づき、研究・予防・医療の総合的な対策が実施されているが、予防対策や早期発見のための検診事業、がん診療連携拠点病院の指定など、その普及や実施体制などには、まだまだ課題が残されていると思っている。

 

日本癌学会の幾つかある役割の中に、日本のがん対策推進への寄与が記載されており、癌学会での基礎的な研究、臨床に応用できる研究、予防に役立つ研究は、日本のがん対策の推進に寄与するところが大きいと思っている。

 

今回の開催内容について、簡単に教えてほしい。

 

 

【管理課長】

今回の癌学会学術総会は、本年10月3日から5日まで名古屋国際会議場において開催された。本総会には国内外から4,869名のがん研究者が参加し、成功裡に終了した。

近年におけるがん研究の躍進、近未来におけるがんの予防・診断・治療への期待などを考慮し、テーマを「がん研究の躍進−共存から克服へ、そして未来へ」と題し、シンポジウム35課題を含む、2,327演題が発表された。

 

また、本学術総会と連動して市民公開講座、若者向け教育セミナー、東日本大震災復興支援チャリティーコンサートなど各種イベントも実施され、一般市民や若者に対して最先端のがん研究情報が提供されるとともに、がん研究の重要性についてメッセージが発信された。

 

 

【筒井委員】

国内外から多くの研究者が参加され、専門家の間の研究発表・議論などが行われただけでなく、一般市民や若者に対しても、各種イベントを通じて、がんの最新の研究情報が提供されたようで、次世代の人たちが、愛知県がこういうことに取り組んでいる、県のがんセンターだけのことはあると意識づけられたと高く評価している。

 

今回の癌学会学術総会の特徴や成果について教えてほしい。

 

 

【管理課長】

学術総会では「温故創新」「国際化」「市民向けイベント」の3つの特徴が盛り込まれた。「温故創新」は、過去のがん研究を振り返り、将来の発展を展望する特別プログラムを用意し、これからのがん征圧の国際活動をどのように進めていくべきか意義ある議論がなされ、高い評価が得られたと聞いている。

 

「国際化」については、全てのシンポジウム、一般演題の半分以上を英語発表として、アジア地域を中心に海外から若手研究者も招待するなど、参加者も幅広く総会に参加でき、国内外のがん研究に関する情報交換が可能となり、日本のアジア国際化にも大きく貢献でき、最先端の研究情報の交換ができた。

「市民向けイベント」では、日本人の2人に1人はがんにかかるという時代を迎え、研究情報は一般市民とも共有すべきとの考えから、市民公開講座などを開催し、がんの予防・診断・治療に関する最先端の研究内容から、がんと共に生きる「天寿がん」という思想まで紹介し、がんと共存しながら克服していくことの重要性を理解できたということで大変好評を博した。

 

 

【筒井委員】

研究者だけでなく、イベントに参加された一般市民からも高い評価が得られたとのことである。大変意義深い学会となったと理解するが、それを一過性のものとしてはならない。

今回の学会開催に大きく関わられた県がんセンター研究所として、学会を通じて得られた成果を、今後、どのように活かしていこうと考えているのか。

 

 

【管理課長】

今回の学術総会の開催に当たっては企画段階から総会運営まで、学術会長の田島研究所長はじめ県がんセンター研究所や中央病院の多くのスタッフが取り組んできた。総会にも約100名が参加しており、国内外の第一線の研究者から先端的ながん研究の実績を学び、情報交換や意見交流を図ることができた。本総会開催を機に、がんセンター研究所と中央病院との一体化をさらに強化し、先進的ながん医療に貢献できる先端的研究を推進していきたいと考えている。

 

また、がんセンター研究所は、名古屋大学医学部及び名古屋市立大学薬学部の連携大学院として大学院生の研究教育に当たっており、有能な若手研究者の継続的確保とその育成に当っている。

本学術総会の特徴の一つでもあった、若手研究者やがん専門医の育成など、中央病院との協力体制をさらに強化しながら、積極的に取り組んでいきたい。

 

 

【筒井委員】

今回、適切な時期に学会から具体的な要請がなかったため、愛知県から直接的な補助金は全くなかったと聞いている。がんの予防や新たながん治療の開発につながる本学会の開催は、愛知県としても非常に名誉なことであり、本学会の成果は、今後のがん対策の施策の推進に重要な役割を果たすと考える。今後、愛知県でがん学会のような全国レベルの学会が開催される場合は、学会からの要請を十分聞き、人の面でも予算の面でも県が強力に支援されることを切に要望する。

 

 

【病院事業庁長】

学会の運営資金は、学会長が計画を持って集める。学会長は2年から3年前に決まり、2年以上かけて運営資金を集める。私も大きな学会や国際的な会を運営した経験もあり、寄付金の集め方や学会運営会社との交渉について、事務局である研究所の先生方に詳しく説明した。

 

しかし、寄付金集めの時期が遅れてしまい、書類を受け取ったのが今年の夏頃になった。これでは予算計上できるわけがない。学会開催の数ヶ月前であり、県への要望も同じ頃だと思う。研究所の先生方には、1年以上前に、できれば2年くらい前から関係部署を回って予算を出してもらう準備が必要だと話していたが、それがうまくいかなかったと思う。県が応援しなかったということではないので、誤解がないように御理解をお願いしたい。

 

 

【筒井委員】

よく理解している。以前、開催したときに補助金を出していたことがあった。心配するのは、県が補助金を出さない実績が残り、補助金を出さないのが当たり前ということがないようにしてほしいということである。研究所もバックアップする県側も理解していただきたい。